Catalyst Black: Google Cloud 上に構築された次世代のモバイル マルチプレーヤー型アクション ゲーム
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 11 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Super Evil Megacorp では、ビデオゲームにおける創造性と技術の限界を押し広げることをビジョンとして掲げています。このような考え方が、2014 年にリリースされた Vainglory の原動力となり、モバイルでのマルチプレーヤー型オンライン バトルアリーナ ゲームのギャップを克服することで、AAA 品質のゲームがモバイルで成功できる例を示しました。私たちのビジョンは、Google Cloud でホストされる AAA モバイル マルチプレーヤー型アクション ゲームである次作の基本プレイ無料ゲーム Catalyst Black の開発に受け継がれています。
これまでにないタイプのリアルタイム モバイルゲームの基盤を整える
当社のゲームのコミュニティは、ゲームをプレイしながら、複雑なスキルや戦略をレベルアップさせることを楽しんでいます。コミュニティのメンバーは、自分たちの素早く機敏な操作とクリエイティブな思考に見合った、素晴らしいゲームの登場を待っています。Catalyst Black は、それを念頭に置いて開発されました。
プレーヤーの期待に応えるために、開発プロセスの非常に早い段階で Google Cloud と連携しました。Google Cloud への移行に際しソリューション面での原型となった Vainglory の開発から学んだことが数多くあります。手始めとして、私たちは独自のデプロイ プロセスを展開し、インフラストラクチャ管理の特定の側面を自動化したいと考えていました。以前は、5 人のエンジニアがオンコールでローテーションしていたため、プレーヤーが突然急増した場合に、サーバーがダウンすると、誰かがサーバーを復旧させるか、新しいサーバーを手動で起動していました。現在では、Google Kubernetes Engine を使用して、必要に応じてサーバーのスケールアップやスケールダウンを自動的に行っています。
自律的なインフラストラクチャを活用することで、代わりにエキサイティングな機能を備えた魅力的なゲームの制作に集中できるようになります。これにより、私たちのチームは、プレーヤーが最小限の遅延で友人の試合に参加できるドロップイン / ドロップアウト機能などの新しい開発を行い、モバイルのマルチプレーヤー ゲームが人間のつながりを育む方法をより充実させることができます。このゲームはクロス プラットフォームでもあります。つまり、Android と iOS のプレーヤーが、使用するデバイスに関係なくチームを組むことができるのです。
データ分析を使用してプレーヤーに合わせてゲーム体験を調整する
優れたゲームを作成するには、プレーヤーから学ぶ必要があります。そのためには、低レイテンシの堅牢な分析パイプラインが必要です。データ分析により、個々のプレーヤーとそのプレイの趣向を認識できるため、それぞれに合わせた、関連性のあるゲーム体験を提供できます。たとえば、プレーヤーがログインすると、分析パイプラインでプレーヤーのプロファイルを作成して、どのようなプレーヤーなのかを理解します。ゲーム チュートリアルとその後の対戦でのパフォーマンスに基づいて、プレーヤーのスキルレベル、プレー中のロードアウト用装備の購入に興味があるかどうか、プレイスタイルの好みなどを理解できます。これにより、同じスキルレベルのプレーヤーとの対戦をマッチングし、ゲームに参加する頻度に応じてプッシュ通知を調整できます。
製品に関するすべての決定事項の裏付けとなるデータ分析パイプラインでは、BigQuery と Looker を使用して分析フレームワークをスケーリングし、ライブ オペレーション、統計モデリング、A/B テストを通じてプレーヤー ジャーニーを理解しています。また、オブザーバビリティについては Looker を大いに活用しています。クラッシュ率、アプリケーションの応答率、すべてのサービスの稼働時間、すべてのリージョンのレイテンシを確認して、プレーヤーがほぼリアルタイムでお互いにやり取りできるようにすることもその一部です。これは、格闘ゲームにおいて不可欠な要素です。
プレーヤーの行動やゲーム自体のパフォーマンスを理解するには、膨大な量の詳細データを取得することが重要です。Google Cloud のおかげで、私たちは日常的に依存しているこの種のビッグデータ分析をサポートするために必要なスケーラビリティとコンピューティング能力を手に入れました。Catalyst Black のベータ運用では、小さなユーザーベースであるにもかかわらず、1 日に数百万件のイベントが生成されました。リリース後には、イベントの件数は桁違いに増加するでしょう。そのような分量を処理するのは大変な作業ですが、Google Cloud に任せているということは、技術面については対応可能かどうかを心配する必要がないということです。Google Cloud によるスケーリングを信用しています。
また、基本プレイ無料ゲームを提供し続けることができるように、ビジネスを維持するためのマーケティングとプロダクトに関する効率的な意思決定を行うためのデータも必要です。Google アナリティクスを使用して、従来のソーシャル メディアや広告チャネルを通じて有料メディアの ROI を最大化しています。また、BigQuery ML モデルを使用してユーザーのプレイ期間を推定し、ROS と ROI を予測して、広告費を最適化できるようにもしています。
Google Cloud では、分析およびインフラストラクチャ ソリューションが Google Cloud 環境と緊密に統合されているため、データの分析と潜在的な問題への対処において、卓越したパフォーマンスと速度が実現できるということもわかりました。たとえば、プレーヤーのアクティビティをモニタリングすることで、世界中のいずれかのリージョンでレイテンシが突然低下した場合にそれを検出し、Compute Engine を使用して新しいサーバーを起動してプレーヤーにサービスを提供できます。Google Cloud に移行したことにより、Vainglory に取り組んでいた際に以前のプロバイダで費やした金額と比較して、DAU ごとの費用がわずか 5 分の 1 にまで削減されました。
素晴らしいゲーム体験を普及させる
新しいゲームのリリースは私たちにとってとても大切な日ですが、そこからまた長期間の取り組みが始まります。Catalyst Black のリリース時にはプレーヤー数の大幅な増加が見込まれますが、その数は次第に減少して、1 日あたり数十万で落ち着くと予想されます。それまでには、Catalyst Black のプレーヤーや、ゲームの将来に対するプレーヤーのビジョンについての理解を深め、そのビジョンを共に実現していくことが可能になっているはずです。
さらに、当社独自の E.V.I.L. ゲームエンジンにより、かなり古いデバイスでも優れたパフォーマンスが得られます。2016 年に最初にリリースされたデバイスである Samsung S7s で、最新のデバイスと同じ 30 フレーム/秒での実行が可能です。根底にあるのは、場所やデバイスに関係なく、誰でも素晴らしいゲームにアクセスできるようにする、という考え方です。
2022 年 5 月 25 日、Catalyst Black をリリースしました。Google Cloud とのコラボレーションにより、グローバルなスケーラビリティに対しても態勢を整えることができました。当社のゲームは常に有機的に変化し、成長し続けます、GCP を活用することで、世界中のプレーヤーをサポートするインフラストラクチャのニーズを、その運用全体を通じて予測することが可能であり、今後の成長に期待しています。
- ゼネラル マネージャー Ian Fielding 氏
- オペレーション担当シニア ディレクター Craig Wells 氏