The Home Depot、セルフサービスのクラウド ソリューションを Workflows でオーケストレート
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
世界最大級のホームセンターである The Home Depot(THD)では、オンラインと実店舗の両方で最高級のリテール エクスペリエンスを提供するために、多種多様な IT システム全体でワークフローをシームレスに管理する必要があります。当社では、2017 年にクラウドへの移行の取り組みを開始しました。早期の取り組みの成功を受け、さらに多くのワークロードをクラウドに移行してきました。この変化により、社内全体でエンジニアリングとテクノロジーのイノベーションが促進された一方で、コンプライアンスと強固なサイバーセキュリティを確保するためのガバナンスの必要性も増しました。
「クラウド イネーブルメント」チームは、社内のエンジニアリング チーム全体でクラウド リソース作成プロジェクトを効率化できるワークフロー管理システムを必要としていました。主な課題は、ワークフローの安全性を維持し、ベスト プラクティスを実施しながら、円滑な開発者エクスペリエンスを実現することでした。最重要課題として、私たちはワークフローの自動化とガバナンスのニーズを満たすフルマネージド ソリューションを探していました。そうしたソリューションであれば、開発者がインフラストラクチャの管理から解放され、リソース自体のプログラミングに集中できるので、クラウド プロジェクトの作成が効率化され、費用効果も上がります。また、エンジニアが開発プロセスの全段階でワークフローをすばやく追跡できるようになることも重要でした。特に、処理が完了しなかった場合や、トラブルシューティングやリソースのダウンタイムの際に社内効率を向上させる必要がありました。
候補となるワークフロー システムを厳密にテストした結果、Google の Workflows が当社のニーズを満たす理想的なソリューションであるという結論に至りました。Workflows は、サービスの統合とオーケストレーション、軽量データと機械学習パイプラインのオーケストレーション、さらにはクラウド プラットフォームの自動化を可能にするフルマネージドの Google Cloud サービスです。ローコードのサーバーレス ソリューションであるため、開発者はインフラストラクチャの管理ではなくコアビジネス ニーズに集中でき、より復元力のあるクラウド ソリューションの開発が促進されます。Workflows は、あらゆる内部または外部の HTTP エンドポイントを呼び出せるだけでなく、再試行への対応や、オペレーションの完了まで課金なしで最大 1 年間の待機が可能など、ワークフローの耐性が優れている点も特長です。その他の主要機能には、中間者承認フローのサポートや、アトミック変数を使用した並列反復処理とブランチ処理のサポートも含まれています。ワークフローの実行をイベントによりトリガーできるため、開発者はアプリケーションとパイプラインをイベント ドリブン アーキテクチャで構築できます。IT チームやクラウド プラットフォーム チームは、開発者からのクラウド リソース リクエストなどのイベントに基づいて自動ワークフローを起動できます。
Workflows の強力な自動化およびオーケストレーション機能を活用して、The Home Depot は開発の前 2 世代のテスト環境と開発環境上に構築された Galaxy システムの実用化に成功しました。Workflows プロセスの最大の利点の一つはコンポーザビリティです。これにより、マイクロサービスのアプローチが実装可能になり、IT チームは一連のビルド済みカスタム ワークフロー タスクを利用して新しいクラウド サービスをすばやく作成し、この新しいセルフサービス システムを活用できるようになります。
Google の Workflows は、The Home Depot の Galaxy システムのバックボーンとなり、ServiceNow での承認と、Terraform Enterprise を使用した GitOps ワークフローでのクラウド リソースの作成をオーケストレートしています。Galaxy のユーザー フレンドリーなインターフェースは、クラウド リソースの高速プロビジョニングに対応しています。また、Workflows のサブワークフロー機能を有効に活用することで、認証と認可の要件を確実に満たしながら、エラー処理の一般的な問題を容易に解決可能にしています。さらに、pull リクエスト フローを自動化して、開発者へのフィードバックを送信するリアルタイム トラッカーに入力するためのステータス エンドポイントを提供します。
このセルフサービス Galaxy プラットフォームにより、The Home Depot の開発者は、必要なすべてのサブワークフローをクラウド プロジェクト作成プロセスの一環として簡単に統合できるようになりました。この結果、開発者は一般的なリクエスト フローを記述し直したり、ガバナンス目的で必要なすべての権限を確保したりするために貴重な時間を割くことなく、ビジネスの問題に取り組み、顧客のニーズに応えるために必要なリソースを作成することに集中できるようになりました。一時期はカスタム ワークフロー自動化エンジンのオーサリングも検討したのですが、Workflows を活用することで、GCP のネイティブ サービスだけでワークフローのオーケストレーションのニーズを満たせることが判明しました。また、開発者は独自のカスタム ドキュメントを作成するために時間とリソースを費やすことなく、Google の既存の高品質な技術ドキュメントとトレーニング リソースを利用することができます。
The Home Depot の Galaxy システムは、社内のクラウド コミュニティにおける新たなリソースおよびサービスの開発とテストのプロセスを確実に加速して、エンジニアリング チームを成功へと導いてくれます。Google Workflows の効率性とコンポーザビリティを活用することで、この新しいセルフサービス システムは、The Home Depot のガバナンスとワークフローの既存ソリューションと同等の機能をすでに実現しています。現在は、これらのリソースと The Home Depot のセキュリティ ポリシーおよびコンプライアンス ポリシーとの完全な適合を確保しながら、マルチテナントと単一テナントの GKE クラスタでサービス ウェブ アプリケーションを実現する簡単なセルフサービス プロセスの構築に注力しています。
Workflows と Google のサーバーレス オーケストレーション エンジンの詳細については、今すぐ Workflows のランディング ページでご確認いただけます。直接 Google Cloud コンソールにアクセスして、最も一般的なパターンの中から 3 種類をお試しいただくこともできます。
- The Home Depot シニア ソフトウェア エンジニアリング マネージャー Evan Wood 氏