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データベース

Spanner 向けのアジアとヨーロッパの新しいマルチリージョン構成

2020年8月17日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 8 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


Cloud Spanner は Google Cloud の非常にスケーラブルなリレーショナル データベース サービスです。Spanner のビジョンの基本原則は、外部の強整合性によるアプリケーションの高可用性の確保です。これを裏付けるものとして、99.999% の可用性を提供する Spanner の新しい 2 つのマルチリージョンをリリースしました。それが、アジアのマルチリージョン(asia1)とヨーロッパのマルチリージョン(eur5)です。マルチリージョンが増えると、高可用性を確保しながら、高品質で統一されたカスタマー エクスペリエンスを世界中のユーザーに提供できます。

マルチリージョン構成の主な利点は次のとおりです。

  • 99.999% の可用性: Spanner のマルチリージョン アーキテクチャは高いビジネス継続性をサポートし、リージョンのエラーに対する保護を提供します。新しい asia1 と eur5 のマルチリージョンでは、Spanner のリージョン インスタンスと比べて可用性がさらに向上し(99.99% が 99.999%)、Spanner のスケール保証や強整合性の保証を犠牲にせずに済みます。
  • データの分散: Spanner は、リージョン間でデータを自動的に複製します。これにより、強整合性が保証されます。これにより、ユーザーの近くにあるコンピューティングとデータを同じ場所に配置し、低レイテンシのデータアクセスを提供することで、グローバルな顧客ベースに対応できます。
  • 外部整合性: Spanner によって自動的に複数のマシン間でデータがシャーディングされ、レプリカが地理的に離れた場所に分散していても、1 台のマシン上でデータベースを実行している場合と同様に Spanner を使用できます。トランザクションはシリアル化が保証され、データベース内のトランザクションの順序に従って、commit されたトランザクションがクライアントに表示されます。

Spanner はアジアの金融サービス、小売、医療、メディア、エンターテイメント、ゲームなどのさまざまな業界で強い支持を得ています。新しい asia1 リージョンにより、リージョン内の企業は消費者が望むパフォーマンスと可用性を備えた新たなデジタル サービスをリリースし、高いビジネス継続性を実現できるようになります。

Spanner の新しいリージョンで高可用性とスケーラビリティを実現する方法

Spanner を選んだ理由について、日本の大手銀行金融機関であるふくおかフィナンシャルグループ(FFG)のご担当者にお話を伺いました。

「現在開発中のデジタル ネイティブ バンキング システムでは、オンデマンドでシームレスにスケールでき、外部の強整合性と優れたパフォーマンスを発揮し、比類のない経験をお客様に提供する極めて高い可用性を備えたデータベースが必要でした」と、ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社(FFG の子会社)のマネージング ディレクターである宮本昌明氏は言います。 「Spanner は私たちのニーズを満たす唯一のリレーショナル データベースであることがわかりました。Spanner がアジアのマルチリージョン構成の提供を開始したことで、99.999% の可用性 SLA を実現できるようになったことに感謝しています。おかげで、ビジネス継続性の高いアプリケーションを無限の規模で構築できます。バンキング システムの開発はアクセンチュアが支えてくれています。」

Spanner マルチリージョンは最低でも 3 つのリージョンと 5 つのレプリカで構成されます。Spanner は現在、1 つのインスタンス構成で 5、7、または 9 つのレプリカを備えた複数のマルチリージョンをサポートしています。読み取り / 書き込みレプリカと読み取り専用レプリカに加えて、マルチリージョンはウィットネス レプリカを使用するウィットネス リージョンをサポートします。ウィットネス レプリカは読み取りを処理しませんが、書き込みの commit を決める投票に参加するため、書き込みのクォーラムを達成できます。asia1 マルチリージョンには 5 つのレプリカが含まれ、ウィットネス リージョンが asia-northeast2(ソウル)にあります。

asia1 マルチリージョンは次のように構成されています。

  • デフォルトのリーダーとしての asia-northeast1(東京)
  • セカンダリ リージョンとしての asia-northeast2(大阪)
  • ウィットネス リージョンとしての asia-northeast3(ソウル)

e コマース企業のメルカリと同社モバイル決済部門のメルペイは、アプリ構築に Spanner をうまく活用しています。  

株式会社メルカリの GAE Meister である石村真吾氏は次のように述べています。「2018 年に新たなモバイル決済サービスのメルペイで Spanner を使い始めて以来、組織内の他の事業部でも使用が拡大しています。Spanner の強整合性、高可用性、シームレスなスケール機能により、データベースの運用や管理を心配することなくアプリケーションのビジネス ロジックの構築に専念できました。メルカリとメルペイにとって、Spanner のアジア マルチリージョンが最近リリースされたのはとてもうれしいことです。Spanner マルチリージョン構成で提供される 99.999% の可用性を必要とするワークロードを実行する選択肢ができたからです。」

ヨーロッパの新しいマルチリージョン(eur5)により、金融サービスなどの規制対象となる業種のお客様はデータのローカルコピーを保持し、ワークロードに 99.999% の可用性を提供できます。eur5 マルチリージョンは eur3 と同様に 5 つのレプリカが含まれ、ウィットネス リージョンが europe-west4(オランダ)にあります。eur5 構成の詳細は次のとおりです。

  • デフォルトのリーダーとしての europe-west2(ロンドン)
  • セカンダリ リージョンとしての europe-west1(ベルギー)
  • ウィットネス リージョンとしての europe-west4(オランダ)

お客様に Spanner を導入していただいた経験について、Google Cloud パートナーであるアクセンチュア株式会社のご担当者に伺いました。

「読み取りアクセスだけでなく、書き込みアクセスをスケールする分散データベースは、デジタル変革を達成するための重要な要素です」と、同社のテクノロジー コンサルティング本部インテリジェント ソフトウェア エンジニアリング サービスのマネージング ディレクターである山根圭輔氏は言います。「分散データベースとリレーショナル データベースを兼ね備えた Spanner 独自の特徴は、大きな需要を呼び込んでいます。今回発表されたアジアのマルチリージョン構成により、ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社のような金融分野や、ライフサイエンス分野をはじめとする規制対象となる業界での Spanner の利用がさらに増加するはずです。アクセンチュアは、Spanner を含めて Google Cloud を十分に活用する MAINRI プラットフォームを基盤とするお客様のデジタル変革を加速します。」

新しいマルチリージョン構成に簡単にアクセスするには、インスタンス作成ワークフローの一部として、Spanner API、ユーザー インターフェース(UI)、コマンドライン インターフェース(CLI)を利用します。詳しくは、ドキュメントならびに UI の構成詳細パネルをご覧ください。

詳細
Spanner の使用を開始するには、インスタンスを作成するか Spanner Qwiklab でお試しください。 

-Google Cloud プロダクト マネージャー Vaibhav Govil

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