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データ分析

UPS、AI でセキュリティを確保した荷物配達に BigQuery と Striim を活用

2024年6月6日
Pinaki Mitra

Vice President, Data Science & Machine Learning, UPS Capital

Alok Pareek

Founder & EVP Products, Striim

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Vertex AI からアクセスできる、Google のもっとも先進的なマルチモーダル モデルです。

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※この投稿は米国時間 2024 年 5 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

UPS Capital® は、Google のデータクラウド テクノロジーと AI テクノロジーを利用して玄関先からの荷物の盗難を防止しています。3 億人以上の米国の消費者がオンライン ショッピングを利用するなか、UPS Capital は顧客が荷物配達のエコシステムのセキュリティ確保に関して大きな課題に直面していることを把握していました。現在、同社はデジタル機能とデータへのアクセスを利用して、顧客が従来のアプローチを見直して荷物の紛失を防止できるよう支援し、より優れたカスタマー エクスペリエンスを提供しています。

AI とリアルタイム データで配送を保護

1990 年代に設立された UPS Capital は、UPS の金融サービス部門として始まりましたが、輸送中の企業の物品を保護することに特化した総合ソリューション スイートを提供する組織へと大きく進化しました。革新的な保険、強化された運送業者の保護、有数の e コマース プラットフォームのインテグレーション サポートなど、多様なソリューションを提供する UPS Capital は、企業が確実かつ容易に配送に対処し、リスクの低減とキャッシュ フローの確保を実現できるよう支援しています。  

荷物の配達件数が急激に増加しているだけでなく、発注商品の価値も高まっている現在の環境は、窃盗犯にとって魅力的です。その結果、荷物の紛失と保険金請求が急増しています。2022 年の TransUnion のレポートでは、配送に関する不正行為は 2019 年~2021 年だけで 1,500% 以上も増加していると報告されています。UPS Capital は従来、荷物の紛失時に金銭的な補償を行う保険商品を顧客に提供してきました。コンピューティング機能と AI の進化を受け、UPS Capital DeliveryDefense™ Address Confidence の予測インテリジェンスを利用した新しいリスク軽減アプローチを取り入れました。

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Google のデータクラウド テクノロジーと AI テクノロジーを採用した DeliveryDefense Address Confidence は、リアルタイム データと ML アルゴリズムを利用して荷物を保護します。配送先の候補地に信頼性スコアを割り当てることで、配達が無事に行われる可能性を評価し、紛失や盗難のリスクを軽減します。すべての住所に 1001,000 の信頼性スコアが割り当てられています(1,000 スコアは、配達が無事に行われる可能性が最高であることを示します)。これらのスコアは、荷物の盗難被害にあった顧客からの報告に基づいています。荷送人は API を使用してこのスコアを配送ワークフローに組み込み、信頼性スコアの低い住所に配送する場合にあらかじめ予防措置を講ずることができます。

たとえば、荷物の送付先として信頼性スコアの低い住所が指定されている場合、販売者は予防対策として配送先を安全な UPS Access Point ロケーションに変更できます。これらのロケーションには通常、管理の連鎖による高度なセキュリティ対策が適用されているため、950 程度の信頼性スコアが割り当てられています。

UPS は、BigQueryLookerVertex AI を利用して、最初からリスクを回避できるようにすることでお客様を保護する商品を開発しています。DeliveryDefense Address Confidence スコアを配送プロセスに組み込んだ結果、紛失の減少による費用削減、手作業での注文確認の削減による時間の節約、安全で便利な配送オプションによるカスタマー エクスペリエンスの改善というメリットをお客様に提供できるようになりました。」- UPS Capital、データ サイエンスおよび ML 担当バイス プレジデント Pinaki Mitra

UPS Capital の顧客の一社である SunJoy は、DeliveryDefense を利用して、高リスクの配達に関するアラートを受け取った場合に配送先を安全なロケーションに変更したり、成人による署名を追加したりすることで、紛失を 35% 削減しました。

オペレーションの効率化と配達完了率の改善を実現するこのサービスにより、タイムリーで信頼性の高い配達の達成、費用の削減、全体的なサービス品質の向上が可能となり、顧客満足度も高まります。その波及効果はサプライ チェーン全体に及び、関係者全員がメリットを得ることができるため、市場の復元力と競争力の強化につながります。

UPS DeliveryDefense の技術的バックボーン

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/UPS__Striim_Blog_-_Architecture_Image.max-1100x1100.png

Google Cloud の統合データクラウドはデータ ライフサイクル全体を簡素化するため、企業はデータを効果的かつ容易に管理できるようになります。さまざまなデータセットを BigQuery にシームレスに統合し、Vertex AI などの高度なツールを利用すれば、不要な複雑性を伴うことなく貴重な分析情報を引き出すことができます。」- Striim、製品 / データ / AI 担当ディレクター John Kutay

UPS DeliveryDefense Address Confidence の基盤となる強固な技術インフラストラクチャでは、まず多様なデータセットを BigQuery に直接取り込みます。BigQuery は構造化データの基本リポジトリの役割を果たし、Google Cloud 内の信頼できるデータ ウェアハウジング ソリューションとなります。同時に、SQL Server から取得されたデータに対して入念なクレンジングが実行されます。これらのハーモナイズされたデータセットは、マルチメディア要素で拡充され、BigQuery で結合された後、他の Google Cloud サービスにシームレスに統合されます。

次に Vertex AI が登場し、配送トランザクション用のルート異常検出モデルや不正行為検出モデルなど、複雑な ML モデルの実行を強化します。UPS Capital は、Vertex AI の広範なツールを使用してモデルのトレーニング、改良、デプロイを実行することで、分析情報を取得し、トレンドを予測し、データから貴重な知識を抽出しています。また、Firebase Google Cloud からのモバイル、ウェブ、サーバー開発に対応した、柔軟でスケーラブルな NoSQL データベースである Firestore は、分析情報、信頼性スコア、分析の詳細をカタログ化します。これらのデータすべてに Looker API 経由でアクセス可能です。

Striim Google Cloud が実現するリアルタイム データ ストリームの生成 AI

Striim Google Cloud のおかげで、AI ML を利用してカスタマー エクスペリエンスを向上できました。」- UPS Capital、データ サイエンスおよび ML 担当バイス プレジデント Pinaki Mitra

Striim では AI によるイノベーションが進行中です。特に、生成 AI とストリーミングのコンテキストの領域で顕著です。このリアルタイム データ統合プラットフォームは、ストリーミング情報にベクトルを動的に埋め込むことで Google Cloud の最新のアーキテクチャを補完し、データ表現、処理の効率、分析の精度を向上させます。また、Striim は多様なソースから抽出された構造化データと非構造化データを統合し、OpenAI Vertex AI のさまざまな AI モデルを適用することで、データポイント間の類似性スコアを判定して考え得る関係性を明らかにするエンベティングも生成します。

このプロセス全体を通してストリーミング データが動的に生成されたベクトルで拡充されるため、従来のバッチ処理手法とは一線を画します。収集後の分析に依存していた以前のソリューションと異なり、Striim の革新的な技術は瞬時に機能し、データフローの更新と改良を継続的に行います。ストリーミング プロセスにベクトルを埋め込むことで、クエリに対するレスポンスの関連性が向上するだけでなく、リアルタイム データの投入によってモデルが継続的に改善されます。

UPS Capital は、AI モデルとリアルタイム データ ストリームを使用するために Striim Google Cloud を導入しました。その結果、ビジネスのスピードに合わせて防御モデルを継続的に改善すると同時に、不審なアクティビティを検出するまでのレイテンシを短縮できました。UPS Capital は、ストリーミング データの分析とベクトルの動的な生成によって防御メカニズムの精度と有効性を徐々に向上させ、変化と進化を続ける脅威に対する保護を継続的に確保しています。

将来を見据えて: 荷物配達における UPS の防御戦略

Google BigQuery Striim を基盤とする UPS Capital DeliveryDefense Address Confidence は、リアルタイム データと ML を活用して荷物配達のセキュリティを変革します。UPS Capital は、信頼性スコアを割り当て、予防策を講じることで、荷送人がリスクを軽減し、カスタマー エクスペリエンスを改善できるよう支援します。AI 向けのリアルタイム インテリジェンスを強化するために Google Cloud Striim を活用する方法の詳細をご確認ください。UPS DeliveryDefense Address Confidence では、まさにこれが実現されています。無料トライアルに登録して、今すぐお試しください。

-UPS Capital、データ サイエンスおよび ML 担当バイス プレジデント Pinaki Mitra
-Striim、創業者 / プロダクト担当 EVP Alok Pareek
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