Google Cloud のデータ分析で食品廃棄問題を解決
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 5 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
米国農務省によると、米国内の食料の 3 分の 1 以上が廃棄物として処理されており、この歪んだ状況を解決することは切実な課題となっています。豊富な食糧の無駄な廃棄を止めたら、飢餓、食料価格、ゴミ削減、水の消費量、そして全体的なサステナビリティにどのような変化が訪れるでしょうか?
農場を出発してから店舗に届けられるその間にも、鮮度は劣化し続けています。食料品店は、消費者のために懸命に高品質な農産物を仕入れていますが、棚に並ぶまでの過程で品質と賞味期限の両方が損なわれてしまうことがあります。サプライヤーは、手間のかかるサプライ チェーンの過程を通して、スピーディーかつ丁寧に商品を店舗まで届けることに注力しています。荷下ろし後、店舗にバトンが渡り、店舗は賞味期限や販売期限よりも前にロットごとにすべて売り切るよう注意しながら消費者に商品を提供します。これは、消費者の自宅での商品の保管時間を十分に確保することで美味しい食事を楽しんでもらうためでもあります。食品廃棄は農場から食卓までの問題であり、その連鎖のすべてのステップに最適化案がありますが、今日は食料品業界が統括しているセグメントに焦点を当てます。
天候、地政学的問題、流通、売上の変動、価格設定、プロモーション、在庫管理などの複雑な要因により、廃棄量の削減は非常に難しいように感じられます。幸いなことに、クラウドでのデータ分析と機械学習が食品廃棄との闘いにおいて優れたツールとなります。データ サイエンティストは、データから意味を引き出す知識を備えており、そのデータを意思決定のための情報へと転換します。
Google が価値創出を加速させるために取り組んでいる重要事項の一つに、Google データクラウド プラットフォームを使用したデータサイロの解消と機械学習を活用した優れた成果の実現があります。これにより、需要予測、在庫管理、品揃え計画、動的料金設定、プロモーションによる最適なプランニングが可能になります。
実際にどのように機能するか
統合された Google データクラウド プラットフォームが現状を打破する方法を示すために、商品のライフサイクルの一日をご紹介します。フレンドリーな架空の食料品店 FastFreshFood は、高品質な生鮮食品を地域の消費者に販売することに尽力しています。同店の目標は、食品廃棄量を最小限に抑え、賞味期限内の生鮮食品をできるだけ多く販売することで収益を最大化することです。この架空の食料品店は Google Cloud と提携しており、食品廃棄物の量を大幅に削減し、顧客満足度を向上させるソリューションを構築できます。
レジスターやオンラインによる売上は、Datastream や Dataflow を使用してリアルタイムで処理され、一つ一つの商品の分単位による正確な継続在庫が保たれます。
その後、BigQuery の機械学習アルゴリズムを使用した需要予測モデルにより必要な倉庫補充数が特定されるため、店舗直送や店舗の在庫型物流センターは日々効率的に発注を管理し、毎日適切な量の製品を確保できます。
Looker のリアルタイムなレポート ダッシュボードとアラート機能により、販売員を適切にサポートし理解したうえでシステムを運用できます。レポート スイートでは、将来の在庫レベル、毎日の注文、リスクのある商品が表示されます。
また、価格設定アルゴリズムにより、売れ残り商品について店舗のリーダーに警告し、店舗での特売をリアルタイムで提案することで、棚の無駄をなくし、収益を最大化します。
この方法は生鮮品に限らず、店内製造商品やセンターストア商品にも有効です。重要なポイントは、ML / AI を難しいビジネス問題に導入することで、食料品店が収益性とサステナビリティの両方において何が実現可能かを新たに考察しているということです。
Google Cloud におけるこのデザイン パターンの技術的実装は、Datastream、Dataflow、BigQuery、Looker を活用しており、このブログ投稿に付随する技術チュートリアルで詳しく説明されています。
Google Cloud とのパートナーシップにより、小売業者は革新的なソリューションで複雑な問題を解決し、より高い品質と低コストを実現し、素晴らしいカスタマー エクスペリエンスを提供できます。今回またはその他のユースケースの詳細については、設計パターンのウェブサイトをご覧ください。
もっと詳しく知りたい方へ
Google が食品廃棄削減の取り組みに関して把握していることを皆さまと共有でき嬉しく思います。それは、これまで 10 年以上にわたり、世界 50 か国以上でGoogle のオペレーションにおける食品廃棄物の削減に着手するために取り組んできたトピックです。Google Food for Good チームは、パートナーと共同で Google Cloud Platform 上でこのトピックに独占的に取り組んでいます。以下に、他の 2 つの記事をご紹介します。
データサイロから食料のためのサイロへ: テクノロジーによる食品廃棄物への取り組み
このビジネス Cloud ブログでは、現在フードシステムの多くのノードに存在する情報のサイロ化と、共有に対する文化的および組織的障壁を打破する方法を直接取り扱っています。
この後続の技術的な Cloud ブログでは、データ パイプラインの設定、データセット間の変換(誰もがトマトをトマトと呼ぶわけではありません)、引き出された分析情報の活用への道筋を明確に示しています。
- Google Cloud グローバル小売ソリューション担当ディレクター Paul Tepfenhart
- Google Cloud データ分析担当プロダクト マネージャー David Sabater Dinter