Google Cloud Data Champions のご紹介: クリエイティブな考え方を発揮してデータからストーリーを引き出している Di Mayze 氏
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: 本記事は、データと AI を活用した変革の舞台裏で活躍する人々を称えるシリーズ「Google Cloud Data Champions のご紹介」の第 1 回です。このシリーズでは毎回、Data Champion のキャリアと、キャリアを積む中で学んだ教訓、Data Champion から他のリーダーへのアドバイスなどを取り上げます。今回の記事では、WPP でデータおよび AI 担当グローバル ヘッドを務めている Di Mayze 氏をご紹介します。WPP は、人、地球、クライアント、コミュニティにとってより良い未来を築くために創造性の力を活用しているクリエイティブ トランスフォーメーション企業です。WPP の取り組みについて詳しくは、こちらをご覧ください。また、Google Cloud マーケティング担当バイス プレジデント Alison Wagonfeld との対談や、Google Cloud の Bruno Aziza および Forrester の Noel Yuhanna 氏とともに出演している Forrester ウェブキャストでも、Di 氏の考えを聞くことができます。
自己紹介していただけますか。育った場所や、テクノロジー分野に足を踏み入れた経緯をお聞かせください。
私が育ったのはエセックスです。そこで 16 年間、父と一緒に暮らしていましたが、父が再婚してサマーセットに移るときに、私も父について行きました。キングストン大学に入学してからは、ノッティンガムでの数年間を除けば、ずっとロンドン暮らしでした。今は、主人と 13 歳の息子と一緒にロンドン南西のバーンズで暮らしています。私たちが住んでいる家はとんでもないほどテクノロジーに頼っていて、電気のスイッチさえありません。停電がなければ快適ですが、いったん電気が止まると大変です。Google Home なしでは何も機能しません。
テクノロジーの観点からすると、私はずっとオタク気味だったと言えるでしょう。1996 年に書いた学位論文の主題も、広告媒体としてのインターネットです。論文を書く中で、高い評価を見込めるほどにはインターネットの知識がないことがわかったのですが、実際のところ、特にマーケティング分野で新しいテクノロジーがもたらす機会に魅了されました。1999 年に時計を進めると、その年に Hearst UK という高級雑誌の出版会社で初のデジタル担当責任者(その頃はオンライン マネージャーと呼ばれていました)に就任しました。当時はコンピュータを電車や浴室に持ち込むことはできなかったので、従来の出版業界にとってインターネットが脅威になるとは考えもしませんでした。
キャリアにおける新たな章として、私は仕事を辞め、フルタイムで MBA 取得に取り組みました。修士課程の一環として 2006 年に dunnhumby のプロジェクトを開発したとき、これがきっかけでデータというものに愛着を持つようになりました。その後、私は同社に就職しました。データ分野でのキャリアのスタートを切るには、絶好の企業です。それ以来、私はデータとテクノロジーに携わっています。転職した Boots でも、2014 年から務めている今の WPP でもです。
キャリアを積む中で、どのようなリーダーや企業からインスピレーションを得たのですか。
私が初めてデータに関するインスピレーションを得たのは、dunnhumby の Clive Humby からです。彼は信じられないくらい賢くて、私が知っている他のどのデータ エキスパートよりも一歩先を進んでいます。誰もがデータにアクセスできるようにしたのも、彼でした。彼と Edwina Dunn は dunnhumby ですばらしい文化を創り出しました。多くの企業が好奇心とコラボレーションの文化を育てようとしているなか、dunnhumby ではその文化が現実になっていたのです。
現在は、WPP のデータおよび AI コミュニティの 3,000 人のメンバーから、さまざまな形でインスピレーションを得ています。クリエイティブにデータを活用する機会は無限にあります。インスピレーションの源としてのコミュニティは、WPP のようなクリエイティブ トランスフォーメーション企業で非常に効果を発揮しています。事実、数々のエージェンシーがクライアントに卓越した成果をもたらしています。
ご自身やチームがデータと AI を活用して成し遂げた最も大きな成果は何ですか。
私がまさに画期的な成果だと思うのは、WPP のデータおよび AI コミュニティで開催している Data Challenges です。Data Challenges では、Data Catalog でデータセットを公開して、コミュニティ メンバーの皆様に対し、データに命を吹き込むというチャレンジを提示します。毎回、Data Challenges のあらゆる参加作品は実に多様です。そして「変革をもたらす力はデータにあるのではなく、データからストーリーとインサイトを引き出すクリエイティブな考え方にある」という私の確信は強まっています。Data Challenges を開催したのはまだ 5 回だけですが、参加者の質は毎回上がっていくばかりです(また、参加者数も毎回増えています)。私の上司であり審査員長でもある WPP グローバル CTO の Stephan Pretorius と一緒に、ファイナリストがそれぞれの作品のプレゼンテーションを行うのをいつも楽しんで見ています。私にとって、WPP のデータ専門家はこの上なく誇らしい存在です。
データドリブンな変革において、テクノロジーは一つの要素であり、他にも人とプロセスという要素があります。どのようにして、これら 3 つの要素を一つに結び付けることができたのですか。組織に変革を導入する際に課題はありましたか。あったとしたら、どのように克服しましたか。
テクノロジー、人、プロセスを一つに結び付けているのは WPP Open Platform です。WPP では誰もがコミュニティやトレーニングに参加して、貴重なパートナーシップ(Google Cloud とのパートナーシップなど)についての理解を深め、どんなプロダクトやデータを利用できるかを把握できます。この「人」という側面は最も扱いにくい要素ですが、幸い、WPP の従業員は利用できるものを発見することに常に熱心です。2020 年にデータおよび AI 担当チームを結成した当時は当然、私たちのミッションに関して皮肉な見方をされることもありました。こうした見方に対処するために私たちが注力したのは、私たちと連携するメリットを理解してもらえそうな他のチームとパートナーシップを築くことです。3 年経った今、私たちチームの存在意義、つまりクライアントに大きな成果をもたらすのに必要なデータを確保するという役割を誰もが認めるようになりました。
自社でデータ イニシアチブを始めようと目指している人たちにどのようなアドバイスがありますか。もしくは、ご自身がデータ / AI の分野に足を踏み入れた当時に受けた有益なアドバイスがありましたら教えてください。
データに関する資料を読み、他の人に耳を傾け、自分で考えることです。社会におけるデータの役割について考えさせてくれるブログやポッドキャスト、あるいは人物を見つけてください。BBC ラジオ番組「More or Less」で放送されている、社会におけるデータの役割に焦点を当てた私のポッドキャストを聴いてください(私のお気に入りのエピソードは Numbers of the Year 2022 です)。読書が大好きな私としては、Caroline Criado Perez 氏の著書『Invisible Women』と、ニュースレター The Week in Data および Quantum of Sollazzo もおすすめします。私と話し合う人にいつも言うことですが、データに関して自分独自の考え方があることを示す意見やストーリーを用意しておけば、話し合いは活気のあるものになります。
データと AI がより活用されるようになるなかで学んだ重要な教訓は何ですか。克服しなければならなかった課題はありましたか。
私はデータ サイエンティストではないので、データでキャリアを積むようになった初期の頃は、それが私の制約になるのだろうかと心配でした。データにはすごく夢中であったものの、コーディングにはまったく興味がなかったのです。数年経ち、自分のスキルを使えばデータ実務者を立派にサポートできると気付きました。さらに、データの世界にはデータ サイエンティストが必要なのと同じだけデータ ストーリーテラー、エバンジェリスト、ストラテジスト、クリエイティブな思想家も必要であり、その役割なら私が果たせるということにも気付きました。
5~10 年先を考えると、データと AI がもたらす可能性の中で最も期待できる点は何ですか。
ノーコード / ローコードによって将来的により多くの人々がデータにアクセスできるようになることです。そして臨場感や人々の関心を高める形でデータを可視化する興味深い方法が次々と生み出されることを願っています。
Google Data Cloud でのデータベース、データ分析、ビジネス インテリジェンス、AI に関する最新のイノベーションの情報を入手するには、エキスパートのインサイトとデータ戦略について紹介する Google Data Cloud & AI Summit にご参加ください。
- アソシエイト プロダクト マーケティング マネージャー Grace Yeung