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データ分析

AI と BI の融合: Gemini in Looker の詳細

2025年5月13日
Vijay Venugopal

Director of Product Management

Kate Grinevskaja

Product Manager

※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

ビジネス インテリジェンス(BI)の環境は、生成 AI のイノベーションに後押しされて大きな変革期を迎えています。企業は、新しい直感的な方法でデータ インサイトを組織にもたらすことを目指し、組織のより多くの部門でインサイトを発見することをこれまで妨げてきた障壁を引き下げようとしています。

Google は、Gemini in Looker でこのトレンドをリードしています。Gemini in Looker は、クラウドファーストの BI ツールである Looker の歴史をさらに積み上げていくものです。データを整合させるセマンティック レイヤを基盤として、Google の最新 AI モデルを活用したインテリジェントな AI 搭載 BI により、ユーザーとデータとのやり取りを変革します。AI と BI が融合することで、データ インサイトを組織全体で民主化し、従来の方法を打開する直感的で利用しやすい方法でデータを探索することが可能になります。

Gemini in Looker は、情報へのアクセスに伴う技術的な障壁を引き下げ、コラボレーションを強化し、元データを行動につながるインサイトに変換するプロセスを加速します。Google Cloud Next 25 で発表したとおり、Gemini in Looker は、Looker プラットフォームのすべてのユーザーにご利用いただけるようになりました。この投稿では、その主な機能、基盤となるアーキテクチャ、データ アナリストとビジネス ユーザーの両者にもたらされる変革の可能性について説明します。

AI を使って生産性と効率性を高める

Gemini in Looker は、アナリストやビジネス ユーザーの生産性を AI で向上させるという明確な目標に基づいて設計されています。Gemini in Looker を使用すると、BI 用のデータやセマンティック モデルの準備が容易になり、ダッシュボードの可視化とレポートの作成が簡素化されます。さらに、ビジネス ユーザーのデータ リテラシーとデータ精通度を向上させて効率化をサポートできるため、ビジネスユーザーがプレゼンテーションでデータのストーリーを語り、ダッシュボードを見るだけでなく自然言語を使って質問の答えを得ることが可能になります。その結果、アナリストはより迅速に業務を遂行し、ビジネス ユーザーはデータのストーリーを伝え、答えを得られるようになります。

Gemini in Looker は、分析タスクとワークフローを容易にする生成 AI を活用した以下の一連の機能でこれを実現します。

Looker の会話分析: ユーザーはデータについて自然言語で質問して、視覚的にわかりやすい回答をすぐに得ることができます。回答は Looker のセマンティック モデルを基盤とし、AI が活用されます。これにより、データ エキスパートとチャットしているかのように簡単にデータを探索できるようになりました。

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データ アナリストに話しかけるようにデータと対話でき、回答もより迅速に得られます。

  • スライドの自動生成: Looker レポートだけでなく、AI で生成したグラフの要約や重要なインサイトも Google スライドにエクスポートして、プレゼンテーションの作成を自動化できます。スライドの自動生成では、スライドが基盤となるレポートに直接接続され、常に最新のデータが反映されるため、プレゼンテーションを常に関連性が高い最新の状態に維持できます。
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レポートを共有可能なライブ プレゼンテーションに素早く変換できます。

  • 数式アシスタント: 目的とする計算を自然言語で記述できるため、アナリストはアドホック分析用の計算フィールドを簡単に作成できるようになります。AI を使用して数式が自動的に生成されるため、アナリストやレポート作成者の時間と労力が軽減されます。

  • LookML Assistant: ユーザーが作成しようとしているものを自然言語で記述できるようにし、対応する LookML のメジャーとディメンションを自動的に作成することで、LookML コードの作成を簡素化します。これにより、管理対象データの作成や維持のプロセスを効率化できます。

  • 高度なビジュアリゼーション アシスタント: ユーザーが自然言語で記述した内容に基づいて、カスタマイズされたデータ ビジュアライゼーションを作成します。Gemini in Looker によって、必要な JSON コード構成が作成されます。

セマンティック レイヤ: AI の精度の基盤

Looker の AI アーキテクチャの重要なコンポーネントは、LookML セマンティック モデリング レイヤです。これにより、Gemini などの LLM と連携して、LLM がデータを理解するために必要なコンテキストを提供し、指標の定義を一元化することで、AI モデルを混乱させる可能性がある不整合の発生を防ぐことができます。セマンティック レイヤがなければ AI の回答が不正確になり、結果の信頼性が低下し、採用が進まず、努力が無駄になる可能性があります。Looker のセマンティック モデルは、データ ガバナンスの統合を可能にします。既存のコントロールでコンプライアンスと信頼を維持しながら、ビジネスに合わせて進化し、データセットとメジャーを繰り返し更新して、AI の回答を正確なものにします。Google の内部テストでは、Looker のセマンティック レイヤによって、生成 AI の自然言語クエリにおけるデータエラーがほぼ 3 分の 2 に減少しました。

お客様のデータとプライバシーを保護

Gemini in Looker はお客様のデータを保護するため、安心してご利用いただけます。Gemini はデータのプライバシーを最優先しており、お客様の許可なくプロンプトや出力を保存することはありません。また、プロンプトや生成された出力を含むお客様のデータを、Google が生成 AI モデルのトレーニングに使用することもありません。

Looker のエージェント AI アーキテクチャがインテリジェントな BI を実現

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Next 25 で発表した Looker の Conversational Analytics API は、Looker AI のエージェント バックエンドとして機能します。この API は、複数のツールを使用して分析的な質問に答える推論エージェントを使用して、質問に答えます。また、会話履歴を使用してマルチターンの質問に答えられるほか、Explore UI でクエリを開く機能などを備えており、より効率的な Looker クエリを可能にします。

Looker の AI アーキテクチャは精度と品質を重視して設計されており、生成 AI の品質向上のために次のような多角的アプローチを採用しています。

  1. エージェント推論
  2. 基盤となるセマンティック レイヤ
  3. 検索拡張生成(RAG)のコンテキストを提供する動的ナレッジグラフ
  4. SQL と Python の生成用にファインチューニングされたモデル

この堅牢なアーキテクチャにより、Looker は「それは何か」という単純な質問への回答だけでなく、「その違いは何か」「それはなぜか」「何が起こるのか」「最終的にはどうすべきか」といったさらに複雑なクエリにも対応できるようになっています。

Looker の AI と BI のロードマップ

Looker では、AI と BI の融合に取り組んでいるほか、以下のような新しいサービスの開発も進めています。

  • 会話分析用のコード インタープリタ: 高度な分析を容易にし、Python に関する深い専門知識がないビジネス ユーザーでも、自然言語を使用した予測や異常検出といった複雑なタスクを実行できるようにします。この新機能の詳細とプレビュー版へのお申し込みについては、こちらをご覧ください。

  • Conversational Analytics API: お客様のアプリケーション、チャットアプリ、Agentspace、BigQuery などの複数のエクスペリエンスにわたって開発者が会話分析を統合できます。Conversational Analytics API のプレビュー版へのアクセスは、こちらからお申し込みいただけます。

  • Agentspace: Looker エージェントを一元化して共有できます。アクセスの一元化、迅速なデプロイ、チームのコラボレーション強化、安全なガバナンスを実現できます。

  • Gemini による自動セマンティック モデル生成: LookML 作成の民主化、開発者の生産性向上、マルチモーダル入力によるデータ インサイトの活用が可能になります。Gemini では、自然言語による説明、SQL クエリ、データベース スキーマなど、さまざまな入力タイプを利用できます。

AI を活用した BI の未来を見据える

Gemini in Looker は、AI / BI 革命における重要なマイルストーンです。Google の Gemini モデルの機能と Looker の堅牢なデータ モデリング機能や分析機能を統合することで、アナリストの業務を支援し、ビジネス ユーザーの生産性を高め、より詳細で、より行動につながるインサイトをデータから引き出すことができます。Gemini in Looker は、データの理解や活用の方法を変革し、よりスマートで情報に基づいた意思決定を行えるようにします。Gemini in Looker によって、「それが何か」を問うことから「次に何をすべきか」を自信を持って判断できる段階へと大きく前進できます。Looker の詳細については、https://cloud.google.com/looker をご覧ください。Gemini in Looker の詳細と、Looker デプロイで有効にする方法については、こちらをご覧ください。Trusted Tester の機能を有効にして、開発中の早期機能にアクセスすることもできます。

-プロダクト管理担当ディレクター、Vijay Venugopal
-プロダクト マネージャー、Kate Grinevskaja

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