BigQuery Graph を使用して不正防止のためにネットワーク分析をスケーリング
Remy Pereira
Data Scientist, Curve OS
Ewan Zhang
Data Customer Engineer, Google
※この投稿は米国時間 2026 年 6 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
英国に拠点を置く Curve は、財務スーパーアプリを構築しています。これは、すべてのデビットカードとクレジット カードを 1 つのアプリとカードに統合するスマート ウォレットで、数百万人のユーザーの支出、送金、貯蓄の方法を簡素化します。
しかし、この規模で事業を行うということは、件数が多く常に進化する金融犯罪の現状に直面することを意味します。従来の不正行為検出モデルは、疑わしい個々の取引にフラグを立てるのに優れていますが、組織化された不正行為グループの特徴である複雑なネットワークや隠れた関係性といった「全体像」を見逃すことがよくあります。
こうしたつながりを明らかにするには、従来のリレーショナル データ モデリングから脱却する必要があると考えました。Google Cloud と提携して BigQuery Graph を実装したことで、大規模に詳細なネットワーク分析を実施できるようになり、隠れた不正ネットワークを特定して、取引コストを大幅に削減できました。
課題: マルチホップの問題
不正行為者は、単独ではほとんど行動しません。多くの場合、複数のアカウントで、共通のデバイス、特定の資金調達カード、共有の連絡先情報など、共通の特性があります。標準的なリレーショナル データベースでは、これらの関連性を特定するのに複雑な「マルチホップ」分析が必要です。
標準 SQL を使用してこれをスケールしようとしたところ、2 つの大きなハードルがありました。
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計算の複雑さ: つながりのチェーン(ユーザー A がユーザー B とつながり、ユーザー B がユーザー C とつながるなど)を明らかにするには、複数の大規模な自己結合が必要です。数百万人のユーザーと数千万のつながりという規模では、これらのクエリはすぐに計算コストが高くなり、維持が困難になりました。
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データの規模: 当社の最も粒度の高いシグナルには、数十億もの潜在的なつながりが含まれています。標準的なリレーショナル アプローチでは、パフォーマンスのボトルネックに達したり、システム リソースを使い果たしたりすることなく、これらの関係を処理することは困難です。
ソリューション: データ プラットフォームでのネイティブ グラフ分析
ネットワーク分析を BigQuery Graph に移行し、ネイティブの Graph Query Language(GQL)サポートを活用しました。主な利点は、データを移動することをやめて、既存の環境内で直接接続できるようになったことです。以前は他の一般的なグラフ データベースを検討していましたが、BigQuery の既存のデータ ウェアハウス内にデータを保持できるため、新しいグラフ データベースに移行しなければならない場合と比べて、時間と費用を大幅に節約できました。
プロパティ グラフ(ユーザーはノード、共有識別子はエッジ)として支払いエコシステムをモデル化することで、アーキテクチャを大幅に簡素化しました。複雑な JOIN ロジックを何十行も記述する代わりに、直感的な GQL 構文を使用して、データセット全体で不審な動作のパターンを「マッチ」できるようになりました。このアプローチにより、次のことが可能になりました。
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数十億のつながりを走査: ユーザーレベル、デバイスレベル、カードレベルのつながりなど、膨大なデータセットを高いパフォーマンスで分析できるようになりました。
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データ エクスペリエンスを統合: BigQuery Graph はデータ プラットフォームに組み込まれているため、1 つのクエリでグラフ走査を標準 SQL 分析、検索、ML ワークフローと組み合わせることができます。そのため、既存の SQL パイプラインを活用してノードテーブルとエッジテーブルを構築し、グラフの走査では GQL に切り替え、標準 SQL で最終的な集計を行うことができました。この柔軟性により、より多くのアナリストが、新しい言語のスキルアップをしなくても、この機能を利用できるようになります。
影響と結果
BigQuery Graph を不正行為防止戦略に統合して以来、運用効率と収益に大きな影響がありました。
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財務上の影響: Curve では、グラフベースの分析情報によってトリガーされた自動ブロックにより、2025 年だけで約 1,200 万ドルの取引損失が回避されたと推定しています。
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適合率と精度: グラフを活用したクエリにより、不正なユーザーを特定する精度は約 72% に達しました。この高い精度により、不正行為防止の担当者は、偽陽性を追跡するのではなく、確実性の高いケースに手動レビューを集中させることができます。
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運用のスピード: GQL に移行したことで、グラフクエリを合理化し、不正行為のルールをより頻繁に更新できるようになりました。以前は、1 時間ごとのルールで 1 ホップのクエリに制限されていましたが、GQL を使用することで、実行速度の遅いスクリプトを最適化し、組織犯罪の一歩先を行くことができるようになりました。
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ルールから ML へ: ネットワークの走査にかかる時間が短くなるほど、グラフベースの機能を ML モデルに提供するのに要する時間も短縮されます。グラフを再構築して走査する頻度は、モデルのトレーニングでは 1 日 1 回で十分ですが、トランザクションが 1 秒未満で承認されるような推論時には対応できません。GQL を使用することで、マイクロバッチまたはストリーミングの走査に移行し、不正行為モニタリング モデルに最新のデータを提供できるようになりました。
今後の展望
BigQuery Graph の導入による成功で、データ サイエンス チームとセキュリティ チームに新たな可能性が広がりました。現在、数十億件の IP アドレス接続を含む、これまでで最も大量のシグナルをリアルタイムの検出ループに完全に組み込む作業を進めています。また、アナリストがより直感的に、不正行為のネットワークを形成時に探索して「確認」できるよう、ネイティブのグラフ可視化も検討しています。
Curve は、データを単なるテーブルの行としてではなく、生きた関係ネットワークとして扱うことで、セキュリティがカスタマー エクスペリエンスと同じくらい効率的で堅牢なものになるようにしています。
- Curve OS、データ サイエンティスト、Remy Pereira 氏
- Google、データ カスタマー エンジニア、Ewan Zhang



