Kubernetes プラットフォームの最も重要な特長が自動化とスケーラビリティである理由
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 8 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今日の消費者は、使いやすいアプリケーションとパーソナライズされたインタラクションを通じて、すばやくサービスが提供されることを望んでいます。現代のサービスの利便性に慣れた消費者は、会社の規模、問題の複雑さ、業界の規制などに関係なく、消費者中心のサービスが提供されることを期待しています。
「クラウドネイティブなテクノロジーを活用することで、組織はパブリック クラウド、プライベート クラウド、ハイブリッド クラウドといった最新型の動的な環境で、スケーラブルなアプリケーションを構築して運用できます。このアプローチの代表的なものとして、コンテナ、サービス メッシュ、マイクロサービス、不変なインフラストラクチャ、そして宣言型の API があります。これらの手法により、復元性に優れ、管理しやすく、監視可能な疎結合されたシステムが実現します。これに堅牢な自動化を組み合わせれば、デベロッパーは、影響の大きな変更を頻繁に、想定どおりに、しかも最小限のトイルで行うことができます。」(Cloud Native Computing Foundation)
最新型のクラウドはコンテナ ファースト
最新型のクラウド アプリケーションを開発してデプロイするための優れた方法として、コンテナがあります。コンテナは軽量かつ高速で、ポータビリティに優れているうえ、仮想マシンよりも管理するのが簡単です。コンテナを利用すれば、デベロッパーはテストしやすい安全なシステムを構築でき、運用チームは費用対効果の高いクラスタの中にワークロードを分離できます。進化するエンドユーザーの需要に伴って IT のニーズが急速に変化する中、最新型のクラウド アプリケーションを構築して管理するには、マネージド サービス プラットフォームを使用するだけでは足りません。「最新型のクラウド」という言葉はつまりコンテナを表すようになっており、IT 分野で成功を収めるには Kubernetes 戦略を講じることが不可欠です。
次世代デベロッパーのための Kubernetes
Kubernetes のようなマネージド コンテナ プラットフォームで、コンテナの利点がさらに強化されます。Kubernetes とは、カスタマイズされたプラットフォームを構築する方法だと考えることができます。つまりプロジェクトの作成、使用するノード、利用するライブラリやリポジトリを制御することで、企業にとって重要なルールを適用するプラットフォームです。通常は、アプリケーションのデベロッパーがバックグラウンドを管理するのではなく、管理された安全なフレームワークがデベロッパーに提供され、その中で運用を行います。
Kubernetes は単なる技術ではなく、ビジネス価値を生み出してそれを拡大するためのモデルであり、信頼性に優れたアプリやサービスを開発する手法であり、クラウドベースの IT 機能を保護、開発してイノベーションを推進する手段です。
オープンソースで運用が容易に
Kubernetes を開発した Google は、それ以降もこのオープンソース プロジェクトの主要なコミッターであり続けています。オープンソースに投資する組織は、場所を問わずに運用できる自由を得ます。さらに、Kubernetes のようなオープンソース プロジェクトを中心としたエコシステムにより、標準化されたプラグインと拡張機能を使ってデベロッパー指向の包括的なプラットフォームを作成できます。オープンソースを使用して最新型の最高水準のアプリケーションを構築でき、それをクラウドにデプロイする準備が整ったら Google Cloud にシームレスかつ安全に移行できます。
GKE によって開かれる道
オープンソースによって自由な運用が可能になる一方、オープンソースに基づくマネージド サービスを使用すれば、事前に組み込まれたベスト プラクティスを活用してソフトウェアをデプロイし、運用できます。Kubernetes の構築に携わったのと同じデベロッパーたちが生み出した Google Kubernetes Engine(GKE)は、両者のメリットを同時に実現しています。Kubernetes を熟知している企業が効果的に運用する標準的な Kubernetes を使用できます。GKE を使用すると、インフラストラクチャの問題に悩まされたり、エンタープライズ規模のコンテナ デプロイに関連する日常的な運用を管理したりすることがなくなり、イノベーションのための取り組みのメリットを実感できるでしょう。Kubernetes で長期的に成功する秘訣が 2 つあります。それは要所での自動化と、信頼性の高いスケーリングです。
#1 要所での自動化
クラウドベースの企業にとって、唯一変わらないことは「変化」です。つまり、変化する状況にすぐに適応できなければなりません。これは、プラットフォームにもいえることです。アプリケーション プラットフォームは弾力性を備え、ダウンタイムを伴わずに変化を吸収するものでなければなりません。GKE は、アプリケーションの運用を効率的かつ容易にする多様な自動化機能を提供します。フルマネージド Autopilot の運用モードと多次元自動スケーリング機能を組み合わせると、本番環境に対応した安全なクラスタをわずか数分で起動できるだけでなく、構成とメンテナンスを完全に制御できます。
Day 2 オペレーション(運用管理): GKE には、ノードのプロビジョニングとアップグレード、コントロール プレーンのアップグレードを自動化するオプションがあり、ノードの自動アップグレードと構成の内容を選択できるようになっています。これらの機能の柔軟性を利用して、思いどおりにインフラストラクチャを自動化し、時間を大幅に節約して、必要なメンテナンスを軽減できます。さらに、GKE リリース チャンネルを使用すれば、クラスタやノードのアップグレードのタイミング、方法、対象を決定できます。
最新型のクラウド スタック: ボタンをクリックするだけでサービス メッシュおよび構成管理ソリューションをインストールでき、ソリューションのプロビジョニングと運用を Google に任せることができます。コントロール プレーンとデータプレーンのプロビジョニング、スケーリング、保護、更新はいずれも Google Cloud によって行われるので、運用の負担なくサービス メッシュのメリットを享受できます。クラスタとサービス メッシュのいずれについても、アップグレードとライフサイクル タスクの管理は Google が行います。さらに、メッシュが提供する高度なテレメトリー、セキュリティ、レイヤ 7 ネットワーク ポリシーも利用可能です。
費用の最適化: 実用的な分析情報に基づいて Kubernetes リソースを最適化できます。具体的には、Google Cloud Console に直接組み込まれた GKE 費用最適化インサイト、ワークロード サイズ適正化機能、費用見積もり機能を利用できます。ロボット工学のスタートアップ企業がクラウドを切り替え、GKE Autopilot で Kubernetes の運用費用を削減した事例をご覧ください。この記事に示されているように、Google Cloud がクラスタのスケーリングとメンテナンスを行うので、夜間はページ数が少なくなり、費用が削減されます。また、ユーザー エクスペリエンスが改善されてセキュリティも強化され、デベロッパーは Kubernetes の管理に時間を費やすことから解放されました。
パートナー ソリューション: GKE Autopilot では、使い慣れた DevOps およびセキュリティ ソリューションをそのまま使用できます。ノード操作不要のフルマネージド Kubernetes プラットフォームであるにもかかわらず、GKE Autopilot では DaemonSets を使用してノード エージェントを実行できます。これにより、たとえばすべての Pod でサイドカーを実行しなくてもノードレベルの指標を収集できます。
#2 信頼性の高いスケーリング
急増する需要を満たすためにスケールアップする場合も、費用管理のためにスケールダウンする場合も、組織にとって最新型クラウド アプリケーションはこれまで以上に重要になっています。15,000 ものノードクラスタを実行できるのは GKE だけです。これは、他のクラウド プロバイダに比べて最大 10 倍にもなり、アプリケーションを大規模に、効果的に、高い信頼性の下で実行できます。Kitabisa や IoTex のような組織は、スケーラブルな Kubernetes プラットフォーム上で最新型クラウド アプリケーションを実行するメリットをすでに実感しています。
「2021 年 11 月にスマトラ島で大洪水が発生して 25,000 人が被災した際、GKE の革新的価値が明らかになりました。寄付金が 30% 急増しても、当社のシステムで簡単に対処できました」- Kitabisa
「暗号通貨の世界では、ランダムな場所から需要が急増して大規模なスケーリングが定期的に必要になります。IoTeX プラットフォームは将来的に、ブロックチェーンにデータ スナップショットをフィードする数十億台ものコネクテッド デバイスを保護することになるでしょう。当社が短期間にどれだけ大きく成長しようとも、GKE Autopilot と Cloud Load Balancing があれば、簡単にいくらでも負荷を吸収できます」– IoTeX エコシステム担当責任者、Larry Pang 氏
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- プロダクト マーケティング責任者、Praveen Rajasekar