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Containers & Kubernetes

アプリのコンテナへの移行に Migrate for Anthos をおすすめする理由

2021年1月5日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

ワークロードのモダナイゼーションに現実的な価値があることは一般的に知られるところであり、それを裏付けるお客様の成功事例も数多くあります。しかし、Kubernetes にワークロードをモダナイズすることの価値が十分に証明されているにもかかわらず、いまだにその一歩を踏み出せていない企業がたくさん存在しています。

そのような企業は、VM で稼働する従来のワークロードを手動でコンテナにモダナイズするのは、非常に複雑かつ難しいプロジェクトで、莫大な時間と費用を要すると主張しています。たとえば、小規模から中規模のアプリケーションを 1 つリファクタリングするのに 10 万ドル以上かかると見積もられる場合もあります。つまり、アプリケーションが 500 個あれば、5,000 万ドル規模のプロジェクトになるということです。どれくらいの時間が必要になるかは言うまでもありません。しかも、サードパーティや ISV などの一部のワークロードでは、ソースコードへのアクセスがなく、手動でコンテナ化を行えない場合もあります。

これらのことが原因となって、多くの企業がデータセンター移行を断念しています。重要なワークロードのリフト&シフトだけが目的でない場合には特にそのような結果に至ります。ただし、代替策もあります。自動化したコンテナ化技術と適切なソリューション パートナーを活用することで、手動でリファクタリングするメリットの大半を享受しつつ、モダナイゼーション プロジェクトにかかる時間と費用を 90% 近く削減できます。

つまり、Migrate for Anthos のようなツールの使用は、仮想マシンからネイティブのコンテナに従来のアプリケーションをモダナイズするうえで、これまでにないスマートかつ効率的な方法だと言うことです。Google 独自の自動化アプローチによって、重要なアプリケーション要素を VM から抽出し、Google Kubernetes Engine(GKE)で稼働するコンテナに簡単に挿入できます。このとき、ゲスト OS レイヤなど、VM に必要でもコンテナには必要のないアーティファクトは含まれません。

たとえば、Migrate for Anthos は、コンテナ イメージ、Day-2 のイメージ更新とアプリケーション リビジョン用の Dockerfile、Kubernetes Deployment YAML、アプリケーション データ ファイルと永続状態のコピー先となる永続データ Volume(該当する場合)を自動生成します。このようにインテリジェントな抽出を自動化することで、手動でのアプリのモダナイゼーションよりも大幅に速く非常に簡単に完了できます。特に、ソースコードやディープ アプリケーションの再ビルドに関する知見がない場合、その差は顕著に現れます。このように、Migrate for Anthos には Kubernetes オーケストレーション、イメージベースのコンテナ管理、DevOps 自動化も備えられており、だからこそ、アプリケーションのモダナイズに際して最もスケーラブルなアプローチとなるのです。

Google のソリューションを使用している英国の新聞 The Telegraph は、Migrate for Anthos により上述のような移行を妨げる要因を取り除いて、モダナイゼーションを推進しています。システム エンジニア マネージャーの Andrew Gregory 氏と、シニア システム エンジニアの Amit Lalani 氏は、取り組みについて次のように述べています。

「The Telegraph では、別のパブリック クラウドの複数のインスタンスで従来のコンテンツ管理システム(CMS)を実行していました。実際のシステムのアップグレードや、コンテンツをメインのウェブサイト CMS に移行することに問題があり、使用していたパブリック クラウドから CMS を移行したいと考えていました。Google のパートナーである Claranet と Google のエンジニアの力を借りて、Migrate for Anthos で迅速かつ効率的に結果を出すことができました。今では、このレガシーシステム(ただし非常に重要なシステムでもあります)は GKE で安全に稼働し、より新しいシステムとも連携しています。すでにインフラストラクチャを大幅に節約できており、日々の運用コストも削減されました。」

The Telegraph での例のように、企業のワークロードのモダナイゼーションを推進して実現する手段は、お客様のビジネスにとって非常に価値あるものです。Migrate for Anthos は、ワークロードのコンテナ化と「Kubernetes 化」を自動化することで、VM から GKE と Anthos への移行を加速し、簡素化します。手動でのリファクタリングでは通常何週間、何か月もかかるコンテナ化を、Migrate for Anthos は数時間または数日でやってのけます。さらに、移行が完了してからも、インフラストラクチャの効率や運用効率、開発者のエクスペリエンスといった点でメリットをすぐに実感できるようになります。

その裏付けとして、Forrester の New Technology Projection: The Total Economic Impact™ of Anthos(2019)レポートには、次のように記載されています。

「既存のアプリケーションをクラウドに移行する準備ができたら、Migrate for Anthos の利用で移行プロセスがシンプルかつ迅速に進みます。Anthos を使用すると、組織全体でアプリケーションの移行とモダナイゼーションのプロセスが 58%~75% 早まると予想されます。既存のアプリケーションをコンテナ化すると、オンプレミスとクラウドの両方で Anthos GKE を利用し、Kubernetes デプロイを安定的に管理できるようになります。」

では、Migrate for Anthos により、VM ベースのワークロードを Kubernetes のコンテナにモダナイズすることで見込まれるメリットについて詳しく見ていきましょう。

インフラストラクチャの効率

VM を Kubernetes のコンテナに変換することで次のようなメリットが期待でき、インフラストラクチャにかかる費用を 30~65% 削減できることが Google の社内調査で判明しています。

  • 使用率と密度の向上。自動ビンパッキングと自動スケーリング機能により、Kubernetes は必要なリソースに基づいてコンテナをノード上で最適化されるよう配置します。必要に応じてスケールされ、可用性を損なうこともありません。さらに、VM とは異なり、1 つのノード上のすべてのコンテナがオペレーティング システムの 1 つのコピーを共有します。コンテナごとの OS イメージと vCPU は不要なため、メモリ フットプリントと CPU 負荷が大幅に少なくて済みます。つまり、少ないコンピューティング リソースで、より多くのワークロードを実行できます。

  • プロビジョニング時間の短縮。ワークロードを迅速かつ簡単に準備できるので、同じワークロードの実行にかかる費用を削減できます。

運用の効率

IT 全体の管理の負担が減ることで、IT チームが以前より少ない時間でもっと多くの成果を達成できるようになり、20~55% の費用を削減できます。

  • OS 管理の簡素化 - Anthos では、ノードとそのオペレーティング システムがシステムで管理されるため、カーネルのセキュリティ パッチと更新を IT チームが管理して実施する必要はありません。

  • 構成のカプセル化 - 宣言型仕様(コードとしてのインフラストラクチャ)を活用することで、デプロイを簡素化して自動化でき、ロールバックやアップグレードなどのメンテナンス作業がさらに簡単になります。その結果、IT ライフサイクルの速度とアジリティが改善します。

  • ダウンタイムの減少 - 自己回復や動的スケーリングなどの Kubernetes 機能を活用することで、インシデントが減少し、目的とされる状態を容易に維持できます。

  • 管理の統合 - レガシー ワークロードをコンテナにモダナイズすることによって、DevOps エンジニアはクラウドネイティブなワークロードと「移植された」ワークロードの両方をすべて同じ方法で管理でき、IT 部門によるハイブリッド IT 環境の管理も迅速かつ容易になります。

  • 環境パリティ。可視性とモニタリングの向上により、問題の発見と修正にかかる労力が軽減されます。

開発の生産性

IT 環境が改善しアジリティが向上すると、開発段階でもっと多くのことを少ないリソースでできるようになります。その結果、開発の生産性向上とインフラストラクチャの削減が実現し、コストの軽減につながります。コンテナに変換したアプリには、次のメリットがあります。

  • レイヤ化の効率 - Docker イメージとレイヤ(Migrate for Anthos がコンテナ アーティファクトの一部として抽出)を使用できます。

  • 開発の速度 - 「一度書けば、どこでも動く」が実現します。宣言型モデルと Kubernetes オーケストレーションを使って、自動 CI / CD パイプラインをオンデマンドの再現可能なテストデプロイと組み合わせられます。

  • ライフサイクルの加速 - プロダクトをより迅速に市場に投入できるため、コスト削減はもちろん、さらなる収益と市場での競争優位性を獲得できます。

以上のように、Kubernetes 上で稼働するコンテナに VM をモダナイズすることで、インフラストラクチャ、運用、開発のそれぞれでメリットが得られます。モダナイゼーションというと、最初は大変なプロセスに感じられるかも知れませんが、Migrate for Anthos を活用すれば、大きな負担を負うことなく短時間で行えます。詳しくは、こちらの投稿をお読みいただくか、Migrate for Anthos の Linux または Windows ワークロードでの使用に関する短い動画をご覧ください。もしくは、Qwiklabs でご自身でお確かめください。

-Google Cloud エンジニアリング部門ディレクター Issy Ben-Shaul

-Cloud 移行チーム Tom Nikl

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