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クラウド マイグレーション

プロダクト マインドセットでクラウドへの移行を加速

2021年10月25日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

ストレージやコンピューティング ワークロードのクラウドへの移行では、データのフットプリントをゼロに維持してクラウドへの移行を加速するという点において、最高責任者への重圧が一層高まります。しかしながら、このプロセスは、単なるテクノロジーの変換にはとどまりません。40 年以上にわたって効率性の高いデータセンターの構築とスケーリングを行ってきた後、多くの組織が、システムが時代に沿わなくなってきていることを感じています。

クラウドへの移行では、予算編成、リスク管理、チーム構築、優先順位付け、タイムライン、職場環境における慣行を見直す必要が生じます。この改革を効率化するための鍵は、プロジェクト マインドセットからプロダクト マインドセットの採用にシフトすることです。

従来のプロジェクト マインドセット

プロジェクト マインドセットは、数十年にわたり、大規模な組織のテクノロジー チームの絶対的基準となってきました。過去 50 年以上にわたり、世界的組織は情報テクノロジーの機能とプロセスを大きく向上させてきましたが、そのために組織のリーダーは多くの場合、計画的な予算編成とタスクベースの計画立案を重視するこのワークスタイルを採用してきました。プロジェクトの追跡、タスク完了の確認、タイムラインの厳守、予算の監視を行うことで、チームのリーダーは測定可能な指標を提示して、プロジェクトの日々の業務に関わっていない人に、チームの業績を示すことが簡単にできていました。

ところが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)がかつてないほどにデジタルの導入を加速しました。International Data Corporation は、2020 年から 2023 年までにデジタル変革への投資が年平均成長率 15.5% で増加を続け、2022 年までに全世界の GDP の 65% をデジタル経済が占めることになると予測しています1。進化するお客様のニーズに応えるために組織が迅速なデジタル変革を進める中、状況の急速な変化に伴って、従来の働き方では同じ価値を提供し続けることはできないと考えられ始めました。

プロダクト マインドセットへのシフト

現在、多くのチームが、プロダクト重視の新しい働き方で成功を収めています。プロダクト マインドセットでは、プロジェクトのプロセスではなく、迅速なフィードバック、フェイル ファスト、ビジネス価値の創出を重視します。この方法では、リーダーは、最初に目標を立ててタスクの完了を確認するという流れを重視するのではなく、すべての努力がお客様にとっての価値に効率的に変換されるように頻繁に再調整することが求められます。

プロダクト マインドセットでは、チームは個々のコンポーネントではなく、完成したプロダクトの提供に対する意思決定を行うことができます。これにより、迅速な対応で製品化までの時間が短縮されるだけでなく、創造の自由を実現し、イノベーションの機会を大きく拡大できます。たとえば、COVID-19 パンデミックの発生で、お客様の好みが店舗での買い物から配達にシフトした際には、多くの組織が、配達のインフラストラクチャの構築に数か月かけるのではなく、Instacart や Uber といった企業と提携して、数か月でも数年でもなく数日で同じ価値を提供できるようにすることで、このシフトに対応しました。このように速やかに価値を創出できたことは、お客様への価値の提供に焦点を合わせること、ビジネス システムをクラウドに構築して迅速な統合を可能にすることがいかに重要かを示しています。

クラウドへの移行の加速

75% の組織がデジタル変革の最中か準備中である中、Deloitte による調査では、70% の最高責任者が、組織の方向転換に対して完全に自信があるわけではないことがわかりました2。McKinsey の全世界規模の調査でも、デジタル変革を行っている企業で継続的に改善が見られているのは 14% のみでした3。このような状況で、多くの場合、障害となるのはテクノロジーではなく、変化に対応するためのアジャイルな働き方を導入していないことです。

クラウドの真の価値を得るには、組織は、プロジェクト要素が分断されている、サイロ化されたプロジェクト マインドセットから、包括的で長期的なプロダクト マインドセットにシフトする必要があります。この変革によって、企業、リーダー、チームは、変革的であるうえ画一的なモデルは存在しないというクラウドへの複雑な移行を効果的に遂行できるようになります。

このホワイトペーパーでは、企業がプロダクト マインドセットを採用してクラウドへの移行を加速する方法を紹介しています。このアプローチは、Google の Cloud カスタマー エクスペリエンス(CCE)部門の取り組みが基盤になっており、それは、数社の Fortune 100 企業に対する大規模なクラウド変革プログラムの効果的な実施、最高責任者との緊密な調整、数社のお客様での成果に基づいたアプローチの精査につながっています。このホワイトペーパーにより、プロダクト マインドセット採用の重要性をご理解いただき、変化をもたらすための計画策定につなげていただけたら幸いです。


調査の実施、このブログ投稿と付随するホワイトペーパーの執筆にあたり、Nick van Schaijik と Rhonna Wu の協力に感謝します。


1. IDC FutureScape: Worldwide Digital Transformation 2021 Predictions、Doc # US46880818、2020 年 10 月

2. Punit Renjen。Building The Resilient Organization。2021 Deloitte Global Resilience Report。https://www2.deloitte.com/us/en/insights/topics/strategy/characteristics-resilient-organizations.html

3. Jonathan Deakin。Laura LaBerge。Barbara O’Beirne。Five moves to make during a digital transformation。McKinsey Digital。2019 年 4 月 24 日。https://www.mckinsey.com/business-functions/mckinsey-digital/our-insights/five-moves-to-make-during-a-digital-transformation

- Google Cloud デリバリー担当経営幹部、小売 / 日用消費財担当 Nagaraj Balasubramanian
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