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Chrome Enterprise

管理者の皆様へ: Chrome のパフォーマンスを強化する改良点とポリシーをご確認ください

2020年12月21日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Chrome はリリース当初から、Speed(スピード)、Security(セキュリティ)、Stability(安定性)、Simplicity(シンプルさ)という 4 つの「S」を基本原則として掲げてきました。これらの原則は Chrome の機能を構築する際の指針となっています。第 1 の「S」であるスピードは、Chrome を現在利用できるブラウザの中でもきわめて高性能なものにするための推進力となっています。私たちは常に改善の可能性を模索しています。

多くのエンタープライズ環境には、性能に関する独自の要件があります。仮想環境では多くのマシンリソースが共有されるため、フットプリントが小さいことが鍵になります。同様に、古いハードウェアを使用している企業では、リソースができるだけ効率的に使用されるようにする必要があります。リソースの制限がそれほどない環境であっても、同時に多数のタブを開いて作業する必要があるパワーユーザーがいる場合もあります。こうしたパワーユーザーはブラウザが常に稼働できることを希望します。以下では、ブラウザのパフォーマンス最適化のために Chrome に導入されている方法についてご説明します。また、リソースの使用状況を微調整する必要がある環境で使用できる、管理者向けのツールをいくつかご紹介します。

Chrome でのメモリの使用

Chrome の大きな強みの一つは、マルチプロセス アーキテクチャです。マルチプロセス アーキテクチャのおかげで、シングル スレッドを使用するブラウザがタスクの完了を待機中に停止してしまうような状況でも、Chrome は稼働を継続できます。また、サイト分離によってセキュリティを強化できます。Chrome はユーザーが作業中の内容もメモリに保持しようと試みるため、ユーザーは最小限の時間で作業を再開することができます。デバイスにアイドル状態のメモリがあり、そのメモリを使用すると速度を上げられるのであれば、ユーザーの作業速度を落とさないようにすべきだと私たちでは考えています。

最近導入されたパフォーマンスの改善

超高速で高パフォーマンスという Chrome の特長を維持するための継続的な取り組みの一環として、最近のリリースでは以下のようなさまざまな最適化機能が導入されました。

  • CPU と電力の消費 / メモリ使用量: タブ スロットリング - 長時間バックグラウンドにあるタブからメモリを回収することで、使用中のタブにより多くのリソースを投入できるようになりました。

  • スピード: 新しいプライバシー保護対応プリフェッチ プロキシ - この機能を有効にすると、クライアントは検索結果ページから上位の結果をプリフェッチできるため、これらのページの読み込み速度が速くなります。

  • メモリ使用量: ポインタの圧縮 - 32 ビットのプロセスから 64 ビットのプロセスへの切り替えによって無駄になるはずだったメモリの一部を再利用できるようになりました。

  • スピード: プロファイルに基づく最適化 - コンパイル時に Chrome を最適化することで、使用頻度が最も高い(最も一般的なタスク用の)コードがより高速に実行されるようになります。

エンタープライズ設定

Chrome が行っているパフォーマンスの改善だけでなく、エンタープライズではポリシーを使用して、さらなる改善を行うことができます。ただし、それぞれの変更点には長所と短所があるため、デフォルトを変更するのは組織による評価を行った後にすべきであることにご留意ください。

メモリ使用量

  • メモリ上限ポリシー: メモリからタブが削除されるまでに Chrome が使用できるメモリの量を構成できます。実際にはタブがなくなるわけではありませんが、ユーザーがそのタブを再度選択した場合、再表示するにはブラウザにより多くの負荷がかかります。デフォルトでは、Chrome がマシン上の物理メモリの量が少ないことを検出した場合、メモリを節約しようとします。

  • インテンシブ ウェークアップ スロットリング ポリシー: このポリシーを有効にすると、バックグラウンド タブの JavaScript タイマーが抑制されます。これによって、ページがバックグラウンドの状態になって 5 分以上が経過すると、スクリプトの実行回数が 1 分間に 1 回以下となります。

その結果、このドキュメントで説明されているように、CPU とバッテリーを大幅に節約できます。この機能は特定のアクションを遅延させるため、一部のウェブサイトの機能が動作しなくなる場合があることにご留意ください。読み込み済みのすべてのタブに一貫したポリシーが設定されるようにするには、完全な再起動が必要です。

プロファイル

  • 一時的ログインモードを適用: 閲覧履歴などの機能、拡張機能とそのデータ、Cookie などのウェブデータ、ウェブ データベースは、ブラウザを閉じた後は保存されません。これにより速度が向上します。ただし、これはセッション ベースの機能であり、Chrome を閉じた後はデータが保持されないため、エンドユーザー側でなんらかの混乱が生じる可能性があります。

ディスク使用量

  • DiskCacheSize: デフォルトで、Chrome はキャッシュの最大サイズを、利用可能なディスク容量の割合として計算し設定します。このポリシーは、Chrome が使用するキャッシュのサイズの上限を設定します。これは共有リソースを使用する仮想マシンにとって重要になる場合があります。上限は、合計ディスク容量(または通常の状況で予想される空きディスク容量)と、ディスク キャッシュ サイズの間の桁数にすることをおすすめします。たとえば、ディスク容量が 10 GB であれば、キャッシュの上限は 1 GB に設定します。

CPU と電力の消費

  • ネイティブ ウィンドウ オクルージョン: デフォルトで、バックグラウンド ウィンドウが他のウィンドウの背後にある場合、Chrome は作業を一時停止し、画面を白くして CPU と電力の消費を抑えます。これは Chrome のデフォルトの設定ですが、このポリシーを使用すると有効にするか無効にするかを切り替えられます。

リリース以来 Chrome は進化を繰り返し、パフォーマンスとユーザー エクスペリエンスのさらなる向上をめざして絶えず改善を行っています。エンタープライズ リリースノートメールの受信を希望される場合はご登録ください)で、今後のパフォーマンス改善に関する最新情報をご確認ください。

-Chrome Enterprise ブラウザ カスタマー エンジニア Helen Hosein

-Chrome ブラウザ カスタマー エンジニア Fletcher Oliver

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