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Chrome Enterprise

ビジネス コンピューティングの未来を築く: Chrome OS 誕生から 10 年

2021年3月10日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 3 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Chrome OS を開発していた当時、Google は、ただでさえ複雑なコンピューティングが、ビジネス オーナーと IT チームにとっては、さらに煩雑なものであることに気づいていました。起動時間は遅く、更新は面倒で、オンプレミス管理は煩雑でした。サードパーティ製のセキュリティ アドオンにより技術インフラストラクチャの費用対効果が下がり、IT チームの貴重な時間を奪うことで、より戦略的な取り組みにかける時間が失われていました。そこで Google は、ダウンタイムの短縮と総所有コストの低減を目指し、迅速かつ安全で管理しやすいソリューションの設計に着手しました。過去 10 年間、Google はクラウド ファーストの考え方で設計され、従業員と IT チームに快適な環境を提供する最新の OS というビジョンを着々と実現してまいりました。幸い、私は 2010 年から Chrome OS チームの一員として、ビジネスの世界に Chrome OS が採用されていった経緯を目の当たりにしてきました。ここでは、この経緯について少しお話しするとともに、Chrome OS の導入と管理のスケーリングを容易にする新しいリリースについてお知らせいたします。

2011 年、最新のコンピューティング手法を取り入れた Chrome OS と初代 Chromebook が発表されました。私はこの発表の数か月前にチームに参加し、1 万 6,000 台の初代 Cr-48 Chromebook を学校や企業に送りました。IT 担当者からの反応は非常に大きく、「もっと入手するにはどうすればよいのか」という声が次々に寄せられました。管理しやすいクラウド ファーストのデバイスが有用であることは、明白でした。それからまもなく、Chrome OS の初のクラウドベース ポリシーの開発のために、2 名のエンジニアに加わってもらいました。

まず、学校向けに学習のモダナイゼーションとデバイス管理の簡素化に取り組み、幼稚園から高等学校の教育用オペレーティング システムとして世界 1 位の評価を得ました1。企業からも、Chrome OS のデバイス管理の容易さに対して好意的な反応があり、従業員のリモートワークをサポートするために Chrome OS を選ぶ IT チームが増えていきました。NPD によると、2020 年に米国で企業向けに出荷された Chrome OS は前年比 68% 増 2 を記録し、現在世界中で 2 番目に多く使われているオペレーティング システムとなりました。しかし、一夜にして Chrome OS で従業員の生産性を維持し、ビジネスの継続的運営を支援できるようになったわけではありません。これは、IT チームのための管理の簡素化と従業員のためのダウンタイム短縮を実現し、高い堅牢性を持つ組み込みのプロアクティブなセキュリティ機能を備える Chrome OS デバイスを目指して 10 年間にわたり積み重ねてきた投資の結果です。

コンピューティングのモダナイゼーションに寄与した、過去 10 年間の主な投資とイノベーションについて詳しくは、以下の動画をご覧ください。

ビジネス コンピューティングの未来を築く: Chrome OS 誕生から 10 年

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Chrome OS は、過去 10 年間で複数の戦略的統合や機能のリリースを行ってきました。2012 年には、キオスクと管理されたゲスト セッションで、ID に関係なくデバイスへのセキュアなアクセスが可能になりました。Citrix や VMware などの VDI ソリューションのリリースにより、レガシー アプリケーションへのよりセキュアなアクセスと、従来のシン クライアントからの移行も可能になりました。2019 年にリリースされた Chromebook Enterprise は、目的別に作成された、モダンなビジネス デバイスを市場にもたらしました。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)により、モバイルのリモート フレンドリーなソリューションの必要性が急速に高まりましたが、Chrome OS の新ツールは、企業が分散型勤務を支援する動きを加速しています。最近では、Google が Neverware CloudReady を買収したことで、IT チームは Chrome OS を簡単に試験運用して、再利用された PC や Mac で高速かつ安全、管理しやすいエクスペリエンスを提供できるようになっています。

このたび、ビジネス コンピューティングをさらに進化させるために、以下の新機能の提供を開始しました。IT チームが Chrome OS の導入と管理を簡単にスケールして分散型勤務をサポートできるようにするための機能です。


Chrome OS Readiness Tool をダウンロードして、切り替え準備ができているデバイスを確認する

企業が情報に基づいた意思決定を行ってから Chrome OS に移行できるようにするため、2020 年に Chrome OS Readiness Tool を発表しました。このツールは本日からダウンロード可能となりました。これを使用すると、フリート内のどの Windows デバイスが Chrome OS に完全に切り替える準備ができており、どのデバイスが VDI または Parallels Desktop からのサポートを必要としているのかを識別できるようになります。このツールは無料で、完全に限定公開であるだけでなく、カスタマイズ可能で、デプロイも簡単です。ぜひダウンロードしてご利用ください。


Google 管理コンソールで 500 以上のポリシーを設定する

Google 管理コンソール内で、500 以上のポリシーを設定できるようになりました。この 1 年の間に、新しいセキュリティ、アップデート、アクセシビリティ、ブラウザ、ネットワーク ファイル共有、印刷ポリシーなどに関する複数の新しいポリシーが追加されました。500 以上のポリシーを設定できるようになっても、Chrome OS デバイスの管理は簡単なままです。すべてのポリシーはデフォルトで Google 推奨の設定になっており、必要な部分のみ設定するだけで済みます。


ポリシー API によるエンタープライズ規模の管理

規模の拡大に応じたポリシー設定を支援するため、Chrome PolicyAPI をリリースします。本日より、ユーザーやプリンタの設定を API 経由で管理できるようになりました。これにより、スクリプトやコマンドラインでの設定が可能になります。たとえば、複数の組織部門でポリシー設定を自動化する、バックアップ ファイルからポリシーをインポート、エクスポートするといったことができます。今後の数四半期の間に、ユーザーやプリンタの設定だけでなく、アプリ、拡張機能、デバイスの設定も行えるようポリシー API を拡張していく予定です。

前述の機能に加えて、Android スマートフォンの主要な機能が Chrome OS デバイスで使えるようになるスマートフォン ハブ、スクリーンショットや画面録画を正確に行える新しいスクリーン キャプチャ ツール、重要なファイルを指先で管理できる新しいスペースのトートなど、エンドユーザー向けの新機能がリリースされます。新しいエンドユーザー機能の詳細については、こちらをご参照ください。

Google は長年にわたり、あらゆる規模や業界の企業がコンピューティングをモダナイズするためのお手伝いをしてきました。Hackensack Meridian Health などの医療機関は、医療者を固定されたワークステーションから解放し、Charles Schwab などの金融サービス企業は、セルフサービス デバイスを使ってカスタマー エクスペリエンスを向上させています。Panda Express は、Chromebook を使って現場で働く人員のバックオフィス トレーニングを変革し、Sunrun は、デバイスのプロビジョニング時間を 2 時間からわずか 5 分に短縮しています。また、新型コロナウイルスの感染拡大の最中、Chrome OS はリモートワークへの迅速な業務シフトを行う企業を支援してきました。たとえば Synchrony Financial は、6,000 人以上の従業員を 3 週間以内にリモートワークに移行させています。この 10 年間で、コンピューティングは急速に進化しています。Chrome OS に信頼を寄せ、業務にご活用いただいている世界中の企業の皆様に感謝の意を表します。

Chrome OS は、最新のクラウド ファーストな OS を構築し、特に安全で生産性が高く、簡単に管理できる環境を提供し続けることに専念しています。また、先日発表された Modern Computing Alliance を通じて、業界をリードする企業と提携してシリコンからクラウドへのイノベーションを推進し、お客様に選ばれる統合されたビジネス ソリューションを提供しています。

Chromebook の歴史については、こちらで詳しく説明しています。また、Chrome OS の最新アップデートをお知らせする新しい Chrome Released Series にもご登録いただけます。


1 K-12 Personal Computing Market Track Q4 2020, Futuresource Consulting

2 The NPD Group, Inc., Vertical Reseller Tracking Service, U.S., preconfigured and built to order notebooks and preconfigured desktops., units, 2019 vs. 2020


- Chrome Enterprise グループ プロダクト マネージャー Cyrus Mistry

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