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AI & 機械学習

大阪ガス、AIでエネルギー管理を革新!~TAM と実現する未来のエネルギーサービス~

2024年6月26日
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Google Cloud Japan Team

Premium Support をご契約のお客様をご支援する Google Cloud Technical Account Manager (TAM)は、お客様がクラウドで効果的かつ効率的に運用できるように、アドバイスとガイダンスを提供するクラウドエキスパートです。プラットフォームの健全性や、アーキテクチャの安定性のためのアドバイスをしたり、IT 運用を最新に保つためのお手伝いをします。

大阪ガス株式会社(以降、大阪ガス)では、エネルギー事業者としての使命であるエネルギーの安定供給を継続するとともに、カーボンニュートラルの実現など、長期的な視点で社会課題の解決に貢献することを目指しています。脱炭素化の流れが加速し、エネルギー安定供給の重要性が高まる中で、Daigas グループは社会の持続的な発展に貢献できるよう、新たな挑戦を続けています。

本日は、國政様に、大阪ガスでの AI 活用及び、TAM の活用についてお伺いしました。

  • AI を活用し顧客設備を自動的に制御する遠隔 AI エネルギーマネジメントシステム「Energy Brain」
  • 大阪ガスの家庭用燃料電池「エネファームtype S」を使ったバーチャルパワープラント(VPP)実証事業での AI 活用
  • VertexAI、Gemini の活用でシステム運用自動化、効率飛躍的に向上

※ バーチャルパワープラント(VPP): 情報通信技術等により、アグリゲーターと呼ばれる事業者が分散電源等を統合的に制御することで、あたかも1つの発電設備のように機能する仮想発電所のこと

利用した主なサービス:Cloud Run、BigQuery、Cloud Pub/Sub など

利用したソリューション:Smart Analytics


AI でエネルギー管理をスマート化

大阪ガスは AI でエネルギー管理を進化させています。Energy Brain は、遠隔 AI エネルギーマネジメントシステムにより、電力コスト削減につながるバーチャルパワープラント (Virtual Power Plant、以下 VPP)制御と省エネ制御を実現しています。また、家庭用燃料電池「エネファーム」による VPP 実証事業では、AI が発電量を最適化し、電力系統の安定化と余剰電力の有効活用を促進。Google Cloudの技術を活用し、大量データ処理、需要予測を実現しています。

AI を活用して顧客設備を自動的に制御する遠隔 AI エネルギーマネジメントシステム「Energy Brain」

  • VPP のための自動制御:空調設備の電力消費量などを自動制御し、電力の需給バランスの調整に貢献します。これにより、新電力市場から収入を得、ご協力いただいたお客さまとシェアすることで電力コストの削減を実現できます。
  • 省エネ制御:独自の気象予測データに基づくお客さまの需要予測結果、機器の稼働状況、電気・ガス料金情報等を分析し、省エネを実現する運転パターンを計算し、機器を自動制御します。

家庭用燃料電池「エネファームtype S」を使った VPP 実証事業での AI 活用

  • 多数台エネファームの遠隔制御:系統需給調整に貢献することを目指し、昨年度には約 2000 台のエネファームを制御しました。具体的には、AI を活用してエネファームの発電量を最適化しています。また、Google Cloud の技術を活用して、大量データ処理、需要予測を実現しています。
  • 電力需要予測:家庭ごとの電力消費パターンは多種多様であり、その予測は非常に難しい課題です。大阪ガスは、実証実験を通じて高い精度での需要予測実現に向けて取り組んでいます。
  • 蓄電池への技術転用:上記の実証にて構築したシステムを活用し、エネファームだけでなく、蓄電池の充放電を大阪ガスが自動で遠隔制御するサービスも開始します。

これらのシステムは、Google Cloud の BigQuery と Cloud Run などを主要なインフラとして活用しています。BigQueryの持つペタバイト級のデータ処理能力と、Cloud Runのオートスケーリング機能を組み合わせることで、大量のデータをリアルタイムかつ効率的に処理・分析することを可能にします。また、 BigQuery ML で需要予測モデルを構築し、MLOps を導入することで、モデルの開発、デプロイ、監視、再学習といった一連のプロセスを自動化し、モデルの精度向上と運用効率化を実現します。

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Gemini でシステム運用を高度化

大阪ガスは、Vertex AI から Gemini のモデルを活用し、先述のサービスを始めとした、数々のシステム運用における問題の一次対応を自動化しています。具体的には、システムのソースコード、運用時のエラーログ、ドメイン知識などをメガプロンプティング(大量のプロンプトを一度に与える手法)することで、エラー原因の推定と対策のレコメンドを行うダッシュボードを Google Cloud 上に構築しています。このシステムにより、運用担当者は、エラー発生時に Gemini が生成したレポートを参照することで、迅速かつ的確な対応が可能になりました。

導入効果

  • エラー原因特定の迅速化
  • 運用担当者のスキルレベルの平準化
  • 対応時間の短縮による顧客満足度向上
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Google Cloud TAM の活用でさらなる進化へ

大阪ガスは、Google Cloud の Premium Support 契約に含まれる TAM (Technical Account Manager) のサポートを受け、技術的な課題解決やシステムの最適化に取り組んでいます。TAM との連携は、定期的な Google Meet や Slack での非同期コミュニケーションを通じて行われています。TAM からのサポートは、以下のような点で特に役立っています。

  • Google Cloud の有識者を紹介:社内だけでは解決が難しい課題に対して、専門家の知見を得ることができます。
  • ベストプラクティスの共有:システム設計や運用に関するアドバイスを受け、効率的な開発・運用が可能になります。

また、TAM の支援により、Google Cloud Skills Boost などのトレーニング教材を活用した社内人材の育成も進んでいます。これにより、CoE 組織だけでなく、事業部門のメンバーも Google Cloud のスキルを習得し、より幅広い層で Google Cloud を活用できる体制が整いつつあります。

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左から
大阪ガスマーケティング株式会社

  • 商品技術開発部 リビング電力ソリューションチーム 安井 匡史 氏
  • 商品技術開発部 リビング電力ソリューションチーム 青木 拓也 氏

大阪ガス株式会社

  • エナジーソリューション事業部 計画部 電力サービス開発チーム 八切 好司 氏
  • DX企画部 ビジネスアナリシスセンター 國政 秀太郎 氏
  • DX企画部 ビジネスアナリシスセンター 小林 剛志 氏
  • DX企画部 ビジネスアナリシスセンター 長瀬 柊哉 氏

今後の展望

大阪ガスは、Google Cloud の先進技術を積極的に活用し、以下の分野でさらなる事業展開を目指します。

  • サービスの拡大:Energy Brain やエネファームを活用したサービスを実現・拡大し、より多くの顧客に価値を提供します。さらなるスケーラビリティの確保に努めます。
  • AI を活用した新サービス開発:Gemini などの生成 AI を活用し、顧客向けサービスの価値向上やスタッフの業務効率化などに挑戦いたします。例えば、顧客への説明資料作成やレポート作成の自動化などを検討しています。

大阪ガス
関西 2 府 5 県の家庭および企業に都市ガスを供給する国内 2 位のガス会社(1897 年創業)。主力となる国内エネルギー事業では都市ガスに加え、1995 年には電力事業にも進出。2016 年 4 月からの全面自由化を受け、家庭用・小口業務用電力供給事業にも参入している。その他、不動産開発や情報サービスなど、ライフ&ビジネスソリューション事業も展開。従業員数はグループ連結で 21,159人 (2024年3月末時点)。

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