Google Agentspace で企業の検索能力とAI エージェント活用の拡大

Raj Pai
Vice President, Product Management
※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
AI エージェントは、従来の自動化やチャットボットを大きく超える進化を遂げています。計画立案や調査から、新しいアイデアの創出やテストまで、複雑な業務プロセスを実行できるようになりました。しかし、ビジネスで本格活用するには、部門の壁を越えた AI 対応の情報基盤、エージェントを簡単に作成および導入する方法、そして企業レベルのセキュリティとコンプライアンスが不可欠です。
そこで、昨年 12 月に発表したのが Google Agentspace です。この製品は、Google の最新基盤モデル、高機能エージェント、そして実用的な企業知識を従業員に提供します。Google Agentspace を使用すると、従業員とエージェントは組織全体から情報を検索でき、Gemini のマルチモーダル機能で情報を理解および統合し、AI エージェントを通じて行動に移すことができます。
発表以来、Banco BV、Cohesity、Gordon Food Services、KPMG、Rubrik、Wells Fargo など多くの大手企業から Google Agentspace への強い関心が寄せられています。
この勢いをさらに加速するため、現在許可リストを通じて一般提供している Google Agentspace を拡張し、エージェントの作成と導入をより簡単にします。本日より、お客様は以下のことが可能になります。
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Google Chrome 内の検索ボックスから直接、Google Agentspace 統合の検索、分析、合成機能を従業員に提供
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Agent Gallery で素早く簡単にエージェントを見つけて導入し、新しいノーコード開発ツール Agent Designer でエージェントを作成
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新しい Deep Research エージェントや Idea Generation エージェントなど、Googleが開発したエージェントを導入し、新規ビジネスアイデアの創出と検証、複雑な情報の整理などを支援
「Gordon Food Service では米国の従業員への Google Agentspace の導入を開始し、企業の知的資産へのアクセス強化を目指しています。この導入により、社内情報へのアクセス方法が一変し始めています。Google Workspace や ServiceNow などの様々なソースにまたがるデータに基づいた検索が可能になりました。従業員は複数のシステムを一か所で検索できるため、情報アクセスが容易になり、より良い意思決定と情報収集の手間削減につながっています。最終的に、Google Agentspace は社内業務と製品開発の両方を強化し、お客様に提供するサービス向上につながるでしょう。」— Gordon Food Service 新興技術担当マネージャー、Matt Jansen 氏
Google Chrome の検索ボックスから直接利用できる統合エージェント検索
テキスト、画像、ウェブサイト、音声、動画などの組織内のあらゆる情報を Google の高品質な検索機能で簡単に見つけられるとしたらどうでしょう。Google Agentspace は、Google の AI 駆動マルチモーダル検索機能を企業に提供します。情報がどのように、どこに保存されているかに関わらず、お客様が必要な情報を見つけられるよう支援します。Google Workspace、Microsoft 365 などの一般的な業務アプリ、Jira、Salesforce、ServiceNow などの専門アプリ、あるいはウェブ上のコンテンツなど、どこに情報があっても、Google Agentspace は部門の壁を取り払い、組織のコンテキストを理解します。各企業専用のナレッジ グラフを構築することで、従業員をチーム、作成した文書、アクセス可能なソフトウェアやデータなどを関連付け、断片的な情報を実用的な知識へと変換します。
Google Agentspace は、本日からプレビュー版として Chrome Enterprise と統合され、従業員は Google Chrome の検索ボックスから直接 Google Agentspace の統合検索機能を利用できるようになります。Google Agentspace を Google Chrome に直接組み込むことで、従業員は普段のワークフロー内でデータやリソースを含む情報を簡単かつ安全に見つけることができるようになります。


Google Chrome の検索ボックスから、既存のワークフロー内のデータを直接検索できます。
迅速で簡単なエージェントの導入と作成
Google Agentspace は、技術的な専門知識の有無に関わらず、すべての従業員に様々な企業システムと連携する専門エージェントへのアクセスを提供し、日常業務にエージェントを簡単に取り入れることを可能にします。従業員が特定のニーズに合わせてエージェントを活用、作成するための新機能を 2 つ導入します。
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Agent Gallery(許可リストで一般提供)は、Google、社内チーム、パートナー企業が開発したエージェントを一覧で表示し、簡単に見つけて使用できます。お客様は Google Cloud Marketplace でパートナーが公開しているエージェントを選択し、Agent Gallery で有効化することで、エージェントのエコシステムとお客様の選択肢を拡大します。
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Agent Designer(許可リストでプレビュー)は、企業データソースに接続し、日常的な知識業務を自動化または強化するカスタム エージェントをノーコードで作成できるインターフェースです。技術的な経験が限られている従業員でも、自分のワークフローやニーズに合ったエージェントを作成できます。製品間の深い連携により、Agent Designer は Vertex AI Agent Builder の開発者向け機能を補完し、Vertex AI Agent Builder で構築されたエージェントは Google Agentspaceで公開することもできます。
強力な新エキスパート エージェント: Idea Generation エージェントと Deep Research エージェント
Agent Gallery の提供開始に合わせ、既存の NotebookLM for Enterprise に加えて、2 つの新しい Google 開発のエキスパート エージェントが登場します。
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Deep Research エージェント(許可リストで一般提供)は、1 つのプロンプトだけで、従業員に代わって複雑なテーマを調査し、社内外の情報を集め、包括的で読みやすいレポートをまとめます。
- Idea Generation エージェント(許可リストでプレビュー)は、あらゆる分野で自律的に新しいアイデアを生み出し、科学的手法にヒントを得た競争システムを通じて評価することで、従業員のイノベーションを支援します。


Idea Generation エージェントを使って複数エージェントによる革新セッションを作成
エキスパート エージェントの他に、Google Agentspace は異なるエコシステム間でのエージェントの連携を可能にする新しいオープン Agent2Agent(A2A)プロトコルもサポートします。Google Cloud は、ハイパースケーラーとして業界初の取り組みを主導しており、エージェントが基盤となるフレームワークやベンダーに関係なく、共通言語を持つことでマルチエージェント連携が実現すると考えています。これにより、開発者はニーズに最も適したツールとフレームワークを選択することが可能になります。
エンタープライズ グレードのデータ保護とセキュリティ
Google Agentspace は、何十億もの人々に信頼されている安全な Google の基盤上に構築されています。企業での利用を念頭に設計されており、エージェントが従業員と協力し、企業データにアクセスする際も、セキュリティ、監視、その他の重要な要件が常に最優先されます。
システム内の医療情報や個人識別情報(PII)などの機密データを検出し、これらをエージェントや検索からブロックするかどうかを選択できます。また、ロールベースのアクセス制御、顧客管理の暗号化キー、データ レジデンシー保証なども提供しています。
さらに、Google Cloud Marketplace 内の専用セクションとして、AI Agent Marketplace も拡充しています。お客様は Accenture、Deloitte などのパートナーが提供する AI エージェントを簡単に閲覧して購入できます。企業の管理者はこれらのエージェントを Google Agentspace 内で利用可能にし、生産性と革新性を向上させることができます。選択肢が増えることで、各従業員は自分の業務を支援するエージェント チームを構築および管理でき、今後数か月でさらなる革新が期待できます。
Google Agentspace を始めよう
エージェントの導入とカスタマイズがますます重要になる中、Google Cloud はお客様とともに変革の時代を進む準備を整えています。Google Agentspace でどのような成果を上げられるのか、心から楽しみにしています。
詳細は、こちらをご覧ください。
- プロダクト管理担当バイス プレジデント、 Raj Pai