Vertex AI Agent Builder でエージェントによる生産性の向上を実現
Derek Egan
Product Manager, Vertex AI
Huang Xia
Software Engineer, Vertex AI
※この投稿は米国時間 2025 年 9 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
企業は AI エージェントの試験運用から実際に生産性を向上させる段階へと移行する必要がありますが、プロトタイプから安全で本番環境に対応したシステムにエージェントをスケールアップするのに苦労している企業は少なくありません。
今ある問題は、エージェントが価値をもたらすかどうかではなく、企業が自信を持ってエージェントを導入するにはどうすればよいのか、という点です。スケーリングの課題を解決した企業には、大きな可能性が広がっています。Google の 2025 年 AI の費用対効果レポートによると、エージェント AI のアーリー アドプターの 88% がすでに生成 AI でプラスの投資収益率(ROI)を実感しています。
最もスマートなエージェントを構築し、エンタープライズ グレードの信頼性でデプロイしてスケーリングできる Vertex AI Agent Builder は、プロトタイプから本番環境に移行する上で役立つ統合プラットフォームです。
今回は、Vertex AI Agent Builder でのエージェント開発について説明し、エージェントの活用によってもたらされる生産性と成長の次の波に乗るための重要なアップデートをいくつかご紹介します。
Vertex AI Agent Builder での企業向けエージェント開発の 5 つの柱
エージェントをプロトタイプから本番環境に移行するには、一貫性のあるツールスイートが必要です。Vertex AI Agent Builder は、5 つの重要な柱にわたる統合ワークフローを提供することで、この複雑さを簡素化し、エージェントのライフサイクルのあらゆる段階で貴社エージェントをサポートします。
1. エージェント フレームワークエージェント開発の過程はここから始まります。好みのオープンソース フレームワークを使用してエージェントを構成し、オーケストレーションします。Google が社内で使用している Agent Development Kit(ADK)は、利用可能な多くのオプションの一つであり、4 月以降すでに 470 万回以上ダウンロードされています。
2. モデルの選択モデルは、エージェントのインテリジェントなコアです。Google のプラットフォームはプロバイダに依存せず、Gemini 2.5 モデル ファミリーを含むすべての主要モデルと、Vertex AI Model Garden の数百のサードパーティ モデルおよびオープンソース モデルをサポートしています。スループットをプロビジョニングできるため、専用の容量を確保して、一貫した低レイテンシのパフォーマンスを大規模に実現できます。
3. アクションを実行するためのツールエージェントを構築したら、アクションを実行して現実世界とやり取りするためのツールが必要になります。グラウンディングは、AI を検証可能なリアルタイムのデータに接続する重要なステップです。ハルシネーションを大幅に減らし、ユーザーの信頼を築きます。Vertex AI では、エージェントを、すでに利用している信頼できるリアルタイムのデータソースに接続できます。たとえば、Google マップの情報によるグラウンディングは、本番環境でどなたでもご利用いただけます。エージェントは、2 億 5, 000 万の場所に関する事実情報を含む Google マップの最新情報にアクセスすることで、精度を高め、ハルシネーションを減らすことができます。また、位置情報を認識したおすすめやアクションを提示できます。
4. スケーラビリティとパフォーマンスVertex AI Agent Engine を使用して大規模にデプロイ、管理できます。このモジュール形式のマネージド サービスのスイートは、プロトタイプを本番環境に即座に移行できるように構築されています。このプラットフォームは、フルマネージドのランタイム、ユーザー インタラクション全体でコンテキストをパーソナライズするための統合されたセッションと Memory Bank、統合された評価およびオブザーバビリティ サービスなど、運用とスケーリングに必要なすべてを提供します。
リリース以来、数十万ものエージェントが Vertex AI Agent Engine にデプロイされています。特に注目すべき最近の更新は以下のとおりです。
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安全なコード実行: エージェントが生成したコードを実行するためのマネージド サンドボックス環境が提供されるようになりました。これは、リスクを軽減しながら、財務計算やデータ サイエンス モデリングなどのタスクの高度な機能を活用するために不可欠です。
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エージェント間のコラボレーション: Agent Engine ランタイムにエージェントをデプロイすると、エージェント間(A2A)プロトコルのネイティブ サポートにより、高度で信頼性の高いマルチエージェント システムを構築できます。これにより、エージェントは安全にタスクを検出したり、コラボレーションしたり、他のエージェントへの委任を行ったりすることで、運用サイロを解消できます。
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リアルタイムのインタラクティブ エージェント: 双方向ストリーミングで新しいクラスのインタラクティブなエクスペリエンスを実現します。これにより、リアルタイムの会話型 AI、ライブ カスタマー サポート、音声や動画の入力を処理するインタラクティブなアプリケーションに最適な、永続的な双方向の通信チャネルが提供されます。
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本番環境への簡素化されたパス: ローカルの ADK プロトタイプからライブサービスへの移行を合理化し、ADK CLI で Agent Engine への 1 行のデプロイを実現しました。
5. 組み込みの信頼とセキュリティセキュリティとコンプライアンスは、Vertex AI アーキテクチャのすべてのレイヤに組み込まれており、管理が最優先事項となっています。これには、Virtual Private Cloud Service Controls(VPC-SC)によるデータ引き出しの防止や、顧客管理の暗号鍵(CMEK)を使用した独自の暗号鍵の使用が含まれます。また、HIPAA やデータ所在地(DRZ)のコンプライアンス要件など、厳格なコンプライアンス マイルストーンも満たしています。エージェントは、規制が厳しい業界の機密性の高いワークロードを自信を持って処理できます。
使ってみる
AI 戦略をテスト段階から飛躍的な成長段階へと移行する時期が来ています。成功に必要な安全でスケーラブルなインテリジェントな優位性を提供する Vertex AI Agent Builder で本番環境へ移行し、貴社の初めてのエージェントをデプロイしましょう。
-Vertex AI、プロダクト マネージャー、Derek Egan
-Vertex AI、ソフトウェア エンジニア、Huang Xia



