コンテンツに移動
AI & 機械学習

Visual Inspection AI でスマートフォンの製造を自動化

2021年3月15日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 3 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

AI テクノロジーを活用することで、組織は急速に変化する顧客の要求に対応し、競争優位性を高めることができます。

製品品質を維持しながら生産のスピードアップを図るメーカーにとって、AI はバリュー チェーンのあらゆるレベルにおいてメリットをもたらします。特に、AI は製品品質の向上、コスト削減、機器メンテナンスの予測、計画外ダウンタイムの回避、従業員のよりスマートな作業の促進に有効であることが実証されています。

世界最大級の携帯電話およびワイヤレス通信デバイス メーカーの一つである FIH Mobile は、Google Cloud チームから、AutoML Vision などの Google Cloud の外観検査プロダクトを活用して、製造工程で製品品質を向上させる方法について詳しい説明を受けました。

増大する極度の圧力の下での製造

FIH Mobile は、増大する消費者やビジネスの要求、ドライバー サポートやインフォテインメントのテクノロジー、IoT、5G の出現といったさまざまな要因に対応して、大きな変化を遂げました。2002 年 4 月に設立され、2005 年に香港証券取引所に上場した FIH Mobile は、世界のモバイル デバイス業界のリーダーです。同社は 71,000 人の従業員を抱え、2019 年の収益は 140 億ドルでした。FIH Mobile は、ハンドセット、モバイルおよびワイヤレス通信デバイス、家電製品にわたって垂直統合されたエンドツーエンドの設計、開発、製造サービスを提供しています。

インターネットの時代に入って、FIH Mobile は、そのコアとなるハードウェアとソフトウェアの強みを活かして、5G、AI、IoT、IoV(車のインターネット)の分野に参入し、インターネットとモバイルの完全なエコシステムを構築しました。

FIH Mobile のビジネスは、下流の需要と上流の供給の変化に大きく影響されるもので、このどちらにも COVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックの中で混乱がありました。たとえば、現在一部の市場では消費者の支出が少なくなっている一方で、サプライ チェーンの変動により、スマートフォンやその他のデバイスの構成部品の製造に使用する材料が入手困難になりました。短い生産タイムラインと限られた予算で最高品質の製品を提供するという厳しい要求に直面している業界において、効率性は不可欠です。

信頼性の低下を招く品質検証プロセス

FIH Mobile が AI テクノロジーを運用に適用して効果が得られる可能性のある領域として最初に特定したのが、欠陥の最小化でした。経験を通じて向上する機械学習の能力により、FIH Mobile は製品品質の向上と同時に、プロセスの最適化とコスト削減を実現する大きなチャンスが得られました。

スマートフォンの製造プロセスでは、最終製品の品質を損なう可能性のある欠陥がないか、プリント回路基板(PCB)が 1 枚ずつ検査されます。従来のプロセスでは、FIH Mobile は、構成部品とデバイスを次のステージに進める前の製造前工程で、人間の目に頼って欠陥を検出していました。

しかし、発見されなかった欠陥の数を欠陥のある PCB の総数で割った数値(欠陥エスケープ率と呼ばれる)は 40% と心配になる高い値でした。さらに、欠陥の検出率は作業を行う個人によって異なり、そのプロセスは人為的ミスや主観的な判断の影響を受けやすいものでした。

AutoML Vision は人間の目よりも高速かつ正確にモバイルの欠陥を検出

FIH Mobile は、2020 年 4 月に AutoML Vision をベースに自動システムの構築とデプロイを進めました。2 つの顕微鏡を備えた画像キャプチャ機器と、欠陥検出プロセス全体を通してプリント回路基板の構成部品を移動する X-Y テーブルをサポートするように、機械学習モデルをトレーニングしました。各モデルが、画像内の各構成部品を検査して「合格」または「不合格」として分類するソフトウェアをサポートしています。システムは全体的に、各スマートフォンの設定された数の構成部品をチェックします。

FIH Mobile のシニア エンジニアである Sabcat Shih 氏は、次のように述べています。「AutoML Vision を使用することで、欠陥エスケープ率は 10% にまで減り、各構成部品の検査時間は 0.3 秒、器具の移動時間を考慮しても 1.3 秒と劇的に短縮されました。さらに、すべての検査ステーションで同じ検査基準を適用するため、一貫性が確保され、信頼性が向上しました。」

AutoML Vision により、チームはカスタム機械学習モデルをトレーニングし、定義したラベルに基づいて画像を分類して、カスタムモデルを構築してエッジで画像を分類し、ローカルデータに基づいてアクションをトリガーできます。AutoML Vision により、FIH Mobile はデータに効率的にラベル付けすることで、モデルのパフォーマンスを最大化することができます。データを準備し、それに正確にラベル付けして、残りはシステムに処理させるだけです。

同社はまた、Google の他の外観検査プロダクトを使用した場合の、画像出力から機械学習モデルへのシームレスなパイプラインについても評価しています。

AI の採用はあらゆる業界に画期的な変化をもたらし続けており、製造業でも今まさに革命が起ころうとしています。Google では、AI で革新する新しい方法を模索しているお客様をサポートできることを楽しみにしています。外観検査やその他のユースケースに Google の外観検査プロダクトを使用する方法の詳細については、Google Cloud Vision AIをご覧ください。

-Visual Inspection AI 部門プロダクト マネージャー Ying Fei

-プロダクト マネージャー Vishy Tirumalashetty

投稿先