Google Cloud で Web3 AI エージェントを構築する方法
Adrien Delaroche
Web3 Principal Architect
Salomone D
Gen AI Solutions Acceleration Architect
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AI と Web3 の状況
Web3 向けの AI は、Web3 企業やプロジェクトの効率と効果を向上させるためのツールとして AI を応用する実用的な方法を網羅しており、これには、分析、市場調査、chatbot などが含まれます。そして、最も強力な相乗効果の一つが、Web3 AI エージェントです。これらの自律エージェントは、AI のインテリジェンスを活用して Web3 エコシステム内で動作し、分散性や来歴といった Web3 の原則に基づいて信頼性の高いかたちで機能します。ユースケースとしては、国境を越えた支払いから信頼性や来歴の証明まで多岐にわたります。
AI エージェントは、多くの場合、大規模言語モデル(LLM)を基盤とする自律型ソフトウェア システムであり、Web3 におけるインタラクションに革命をもたらすと期待されています。複雑なタスクの実行や DeFi ポートフォリオの管理、ゲーム体験の向上、データの分析、さらにはブロックチェーンや他のエージェントとのやり取りまで、人間の直接的な介入なしに行うことができます。暗号通貨ウォレットを備えたエージェント同士が、A2A プロトコルを使用して取引を行い、ステーブルコインを活用して経済活動を促進する。そうした複雑な取引が簡素化された世界を想像してみてください。


Web3 向けの AI の主な用途
現在、高度なライブラリの中には、デベロッパーがエージェントを構築してデプロイするためのツールを備えているものもあります。これらのライブラリには、DEX でのスワップの実行、分散型ソーシャル メディアへの投稿、オンチェーン データの取得と解釈など、エージェントに即座に機能を与える既製の「スキル」や「ツール」が付属していることがよくあります。重要なイノベーションとなるのが、自然言語の指示を理解して、それに基づいて行動できる能力です。たとえば、エージェントは手動介入なしで「最も流動性の高い取引所で 1 ETH を USDC に交換する」ことができます。これらのエージェントが機能するには、Web3 の重要なコンポーネントにアクセスできるようにプロビジョニングする必要があります。具体的には、ブロックチェーンの読み取りと書き込みを行うための RPC ノード、効率的なクエリのためのインデックス登録されたデータセット、デジタル アセットの保持と取引を行うための専用の暗号通貨ウォレットです。
Google Cloud で Web3 AI エージェントを構築する方法
Google Cloud には Web3 AI エージェントを構築するための柔軟なエンドツーエンドのツールスイートがあり、シンプルなものから始めて、非常に複雑なカスタマイズされたソリューションにスケールできます。
1. 迅速なプロトタイピングとノーコード開発向け: Vertex AI Agent Builder
会話型エージェントを使用すると、ユーザー フレンドリーなインターフェースを通じてエージェントのプロトタイピングとデプロイを迅速に行うことができるため、技術者以外のユーザーでも利用できます(クイック スタートについては、Agent Builder の Codelab を参照)。このシンプルさとスピードを実現するために、プラットフォームには厳選された基盤ツールが用意されています。エージェントは、データストアの活用、Google 検索の実行、ウェブサイトやファイルへのアクセスなどの標準機能で簡単に拡張できます。ただし、暗号通貨ウォレットの統合、MCP 互換性の確保、カスタムモデルとオーケストレーションの実装など、より高度な機能については、カスタム開発が推奨されます。
2. 完全な制御とカスタム エージェント アーキテクチャ向け: Vertex AI のオープンソース フレームワークデベロッパーは、高度にカスタマイズされたニーズに対応するため、Gemini(公開時点では Chatbot Arena でランキング第 1 位の Gemini 2.5 Pro を含む)や Claude などの最先端の LLM を活用したオープンソース フレームワーク(Agent Development Kit、LangGraph、CrewAI)を使用して、独自のエージェント アーキテクチャを構築できます。これらのフレームワークは Vertex AI を通じて利用可能です。一般的な Web3 エージェント アーキテクチャ(下図参照)には、ユーザー インターフェース、タスクをオーケストレートするエージェント ランタイム、推論用の LLM、状態管理用のメモリ、アダプタ経由で接続されたさまざまなツールやプラグイン(ブロックチェーン コネクタ、ウォレット マネージャー、検索など)が含まれます。


Web3 エージェント アーキテクチャの例
Agent Development Kit を使用する際の主な機能は次のとおりです。
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多数のエージェントとツールにわたって複数のエージェントを簡単に定義してオーケストレート - たとえば、それぞれがロジックの一部を処理するサブエージェントを使用できます。上述の暗号通貨エージェントの例では、1 つのエージェントが X(旧 Twitter)でトレンドのプロジェクトやトークンを見つけ、別のエージェントが Google 検索でそれらのプロジェクトについて調査し、さらに別のエージェントが暗号通貨ウォレットを使用してユーザーに代わってアクションを実行できます。
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モデルに依存しない - Google や他のプロバイダのどのモデルでも使用でき、非常に簡単に変更可能です。
- 迅速なイテレーションのための直感的なローカル開発 - エージェントのトポロジを可視化し、エージェントのアクションを非常に簡単にトレースできます。ADK エージェントをローカルで実行し、エージェントとチャットしてテストを開始するだけです。


エージェントのテストと開発に使用される ADK 開発 UI のスクリーンショット
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MCP と A2A(エージェント間標準)をすぐにサポート: 標準化されたプロトコルを使用して、エージェントが他のサービスや他のエージェントとシームレスに通信できるようにします。
- デプロイ環境に依存しない: エージェントは、コンテナ化して Agent Engine、Cloud Run、GKE に簡単にデプロイできます。Vertex AI Agent Engine は、Google Cloud がスケーリング、セキュリティ、インフラストラクチャ管理を処理するマネージド ランタイム環境を提供します。また、エージェントの評価とテストを簡単に行えるツールも提供します。これにより、デプロイとスケーリングの複雑さが抽象化され、デベロッパーはエージェントの機能に集中できます。


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本記事の執筆とレビューに協力してくれた Web3 戦略的追求リードの Pranav Mehrotra に心から感謝します。
ー Web3 プリンシパル アーキテクト、Adrien Delaroche
ー 生成 AI ソリューション アクセラレーション アーキテクト、Salomone D