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AI & 機械学習

小売業界における AI の活用: Google Cloud がカルティエの商品検索テクノロジーにもたらした変革

2021年4月13日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 4 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

1847 年に宝石商の Louis-Francois Cartier がパリに工房を開いて以来、「カルティエ」の名は卓越した品質を表す代名詞となりました。ほぼ 2 世紀におよぶその歴史の中で、この高級宝飾メゾンは男性用腕時計を広く世に浸透させ、エドワード 7 世には「王の宝石商、宝石商の王」と呼ばれました。そして、その時代を超えたデザインで世界的に名高いジュエリーや腕時計の設計、製作、販売を今も継承しています。

膨大なコレクションはメゾン カルティエの誇りです。しかしその膨大さゆえに、カタログから手作業で特定のモデルを探すことや、複数のモデルを一度に比較することが、265 あるメゾンのブティックの販売員にとって、かなりの時間を費やす作業になることもありました。迅速で効率的なクライアント サービスで知られるブランドにとって、これは到底ふさわしいものではありませんでした。このような課題を解決するためのソリューションとして、2020 年、カルティエは Google Cloud とその高度な AI および機械学習の機能に着目しました。

カルティエのデータ責任者である Thomas Meyer 氏は次のように述べています。「私たちは、メゾンのグローバルデータおよびデジタル プラットフォームを構築し、大規模な分析、多用途のアプリ、人工知能機能をチームに提供することを目指しています。Google Cloud は、このデータとデジタル プラットフォームの中核を担うコンポーネントです。」

無駄な時間を省く: AI の活用により商品検索の課題を克服

カルティエの目標は、次のようなアプリを開発することでした。つまり、174 年間の歴史の中で設計された数々のカルティエの時計のうち、いずれかの時計の画像が示されると同時に、その特定のモデルに関する詳細情報を取得して、さらに(価格などの特徴が異なる)類似した時計も提案できるアプリです。このアプリを使用すると、販売員は 1,000 点を超える時計のカタログから特定の商品をすばやく見つけることができるうえ、特徴が若干異なる類似商品も見つけて提案できます。

しかし、このアプリを作成するためには、カルティエのデータチームはカルティエならではのいくつかの課題を克服する必要がありました。機械学習モデルのトレーニングには、膨大な量のトレーニング データ(今回の場合はカルティエの腕時計の画像)が必要です。しかし、カルティエは常に限られた客層のためのデザインを追求しており、その一流のコレクションの店内商品画像はほとんどありませんでした。また、背景、照明、品質、スタイリングは統一されていないこともあり、画像を分類することが困難でした。その結果、カルティエは画像認識システムを開発する必要性を迫られました。ここで、メゾンはクライアント サービスにおいて非常に高い基準を設けていることから、要求されるベンチマークを上回る性能も必要でした。アプリを店舗で問題なく運用するためには、最低でも 90% の精度で、統合時にパイプライン全体がエンドツーエンドで 5 秒以内で実行できる必要がありました。

カルティエのデータチームが Google Cloud との既存のパートナーシップを活用して、彼らの描くビジョンを現実のものとするために Google にサポートを求めてきたのは、このときです。

カスタマー エクスペリエンスを超えて

カスタムコードを書き直すにあたり、Google はカルティエのデータチームと協力して、AutoML VisionVision API などの Google Cloud AI Platform サービスで多くの機械学習のテストを行い、データや視覚的な検索の問題を解決することができました。最終的に、カルティエのユースケースに合わせて特別に設計されたデータモデルを構築しました。つまり、分類を組み合わせて同時に実行し、最初に時計の色と素材を認識してから、それが属する時計コレクションを識別します。これによって、画像と一致すると思われる時計(視覚的に類似した時計)の上位 3 つのリストが 3 秒以内に最大 96.5% の精度で示されます(ユーザーはこのリストをクリックして、詳細情報を表示できます)。

顧客がカルティエの特定の時計を希望している場合、ブティックの販売員は該当するモデルの写真を撮るか、既存の写真を参照として使用して、アプリから相当する商品のページをオンラインで見つけられるようになりました。

このソリューションでは、デザインが似ている商品もカタログから見つけられます。ブティックの販売員が類似商品をクリックすると、その商品の画像、類似性に関するスコア、詳細説明が表示されるので、候補として顧客に提示することもできます。また、自動追跡フィードバック メカニズムにより、ユーザーは推奨された商品の適切性を評価できます。カルティエのデータチームは、これらの評価を役立ててアプリを継続的に改善することができます。

クラウドを活用したスマートな接客

現在、カルティエの画像認識アプリは世界中の 200 を超えるメゾンの店舗で利用されていて、販売員によってカルティエの莫大な時計のカタログデータをすばやく呼び出す必要がある場合に利用されています。販売員は、これまでは数分かかっていた質問に数秒で答えられるようになりました。カルティエは、将来的にはアプリの機能をさらに拡張することを望んでいます。

カルティエのデータ サイエンティストである Alexandre Poussard 氏は、次のように述べています。「最先端の機械学習のパフォーマンスと使いやすさを備えた Google Cloud Vision API は、ほとんどの分類プロジェクトのプロトタイプをすばやく作成できる素晴らしいツールです。これからも Google Cloud とのコラボレーションをより深めていけることを楽しみにしています。」

このタイミングで AI と機械学習を採用できたことで、カルティエの将来の展望は大きく開けました。この革新的なプロジェクトの成功は、同様の課題への取り組みを模索している他の小売ブランドの関心の的となり、ブティックにとどまらない、さらなるイノベーションへの可能性も広げました。詳しくは、Google Cloud AI と機械学習および小売業界のソリューションをご覧ください。

-Google 機械学習シニア スペシャリスト エンジニア Anant Nawalgaria

-Google 機械学習プロダクト スペシャリスト Alex Erfurt
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