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通信

AI を活用した通信: 変革を推進する Google の取り組み

2025年3月7日
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Anil Jain

Managing Director, Strategic Consumer Industries, Google Cloud

Angelo Libertucci

Global Head of Industry, Telecom, Google Cloud

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※この投稿は米国時間 2025 年 2 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

AI はあらゆる業界で前例のない変化と進化を推進しており、通信部門は特に興味深い岐路に立っています。業界は 5G を標準化しており、データは指数関数的に増加し、お客様の期待は急速に変化しています。大手通信サービス プロバイダ(CSP)は、AI を導入してイノベーションの面で業界をリードするために、Google Cloud と連携しています。

Google Cloud は、大胆かつ責任を持って活用された AI には、CSP の地球規模での運用方法を変革する可能性が秘められていると考え、CSP がそれを実現するのを支援するテクノロジー、ツール、リソースを提供することに全力を注いでいます。強固なデータ基盤の構築から、ネットワーク運用の最適化、カスタマー エクスペリエンスの強化まで、Google の AI を活用したソリューションと戦略的パートナーシップは、CSP のビジネスを変革し、成長を促進します。

来週開催される Mobile World Congress 2025 に先立ち、AI を活用した通信事業を構築するために、この業界のリーダーと Google が行った発表をご紹介します。

データ移行は AI の導入に不可欠

通常、CSP は AI を効果的に使用するために、データを 1 か所に移動する必要があります。Google Cloud は、BigQuery や Looker などのツールを提供することで、この課題を解決します。これらのツールは、膨大なデータを保存、整理し、データ サイエンティストとビジネスパーソンが同様に分析できるスケーラブルなデータレイクとデータ オーシャンを作成します。Google のオープンなアプローチにより、既存のシステムとの統合が可能になり、データ マネジメントが効率化され、メリットをより早く得ることができます。Google の AI インフラストラクチャと組み合わせることで、CSP は実用的な分析情報を得て、パーソナライズされたエクスペリエンスを作成し、新しいサービスを構築できます。

たとえば、Telenor の子会社である DNA は、クラウドへの移行を加速し、お客様への迅速で信頼性の高いサービスの提供をサポートするために Google Cloud を選択したことを発表しました。これにより、オンプレミスのワークロードを Google Cloud に段階的に移行し、生成 AI 導入の道を切り拓くことができます。

また、Vodafone Italy も、Google Cloud 上に Nucleus という新しい AI 対応プラットフォームを構築することで、データ アーキテクチャをモダナイズしたことを発表しました。これにより、プロセスの効率化、スケーラビリティの向上、リアルタイムのデータ処理が可能になりました。Vodafone は Amdocs および Google Cloud と提携して、運用ワークフローを最適化し、ビジネス クリティカルな機能をサポートするために、データ パイプラインを再構築しました。Nucleus への移行は、中断や問題が発生することなく、わずか 12 か月で完了しました。同社の最新のアーキテクチャは、アジリティの向上、効率的なレポート作成、費用の最適化、リアルタイム処理の改善などの重要なメリットをもたらします。

AI でネットワーク運用を事後対応型から事前対応型に

通信事業者は、常に変化し続け複雑化が進む環境で最適なネットワーク パフォーマンスと信頼性を維持するという、尽きることのない課題に直面しています。従来の事後対応型のネットワーク管理アプローチは、サービス中断、運用コストの増加、顧客満足度の低下を招く可能性があります。Vertex AINetwork Intelligence Center を含む Google Cloud の AI 搭載プラットフォームは、通信事業者にインテリジェントな自動化を提供します。これにより、通信事業者は BigQuery でネットワーク データを分析して、異常を特定し、停止を予測し、トラフィック フローをリアルタイムで最適化できます。このように、事後対応型から事前対応型の管理に移行することで、CSP は信頼性を向上させ、費用を削減できるだけでなく、変化する状況に動的に適応する自己修復型ネットワークを構築できます。

たとえば、Bell Canada は、Google Cloud の AI テクノロジーを使用して、新しい AI オペレーション(AI Ops)ソリューションでネットワークの問題の検出と解決を自動化することを発表しました。Google Cloud とのパートナーシップにより、Bell では、ソフトウェア デリバリーの生産性が 75% 向上して製品化までの時間が短縮すると同時に、お客様から報告される問題が 25% 減少してカスタマー エクスペリエンスとソリューションの信頼性が大幅に向上しました。Deutsche Telekom は、Vertex AI で Google Cloud の Gemini 2.0 を使用して、RAN Guardian というネットワーク AI エージェントを開発しています。このエージェントは、ネットワークの動作を分析し、パフォーマンスの問題を検出して、是正措置を実施することで、ネットワークの信頼性とカスタマー エクスペリエンスを向上させることができます。このコラボレーションは、RAN のパフォーマンスをプロアクティブに最適化し、運用コストを削減する、自律型の自己修復型ネットワークの構築を目指しています。

通信会社やメディア企業向けのソフトウェアとサービスの大手プロバイダである Amdocs は、Google Cloud とのパートナーシップにより、5G ネットワーク プロバイダが複雑なネットワーク運用を自動化し、サービスの信頼性を高め、カスタマー エクスペリエンスを向上させるための新しい Network AIOps ソリューションをリリースしたことを最近発表しました

AI を活用した分析情報を通じて、CSP は優れたサービス品質を実現しながら、運用を効率化し、最終的に顧客満足度と顧客ロイヤリティを高めることができます。

AI で現場技術者の能力を強化

CSP は、フィールド サービス業務において、効率の悪いディスパッチやリアルタイム診断の不足などの課題に直面することが多く、解決時間の長期化やお客様のダウンタイムの増加につながります。フィールド技術者向けのマルチモーダル AI アシスタントや Customer Engagement Suite を含む Google Cloud のプラットフォームは、リアルタイム診断、予測メンテナンス、最適化されたルーティング、Gemini を活用したエージェント ワークフローにより、フィールド技術者を支援します。これにより、ワーカーのデプロイが減り、問題解決が迅速になります。AI を活用した診断は、潜在的な問題をプロアクティブに特定して解決します。予測メンテナンス モデルは、機器の故障を予測して、修理をスケジュールできるようにします。エージェント ワークフローと Gemini により、技術者に包括的なナレッジベースが提供され、トラブルシューティングが迅速化されます。スマート ルーティングにより、効率的な派遣が実現します。AI を活用したこれらのサービスを組み合わせることで、お客様中心の効率的なフィールド サービス業務が実現し、より迅速で効果的なサポートが提供されます。一例として、TELUS の NEO Assistant は、Google Cloud の Gemini モデルのような高度な ML および AI テクノロジーを活用する革新的なマルチモーダル AI コパイロットです。現場技術者が重要な情報に即座にアクセスできるようにし、ワークフローを効率化します。NEO Assistant は、リリース以来、TELUS の現場技術者の 4 分の 3 に採用されています。7,000 人近くの雇用創出に貢献するとともに、タスクを 1 分以内に完了できるようにすることで効率を大幅に向上させました。

AI を活用した分析情報により顧客満足度が向上

CSP は、費用を管理し、複数のチャネルにわたる複雑なカスタマー ジャーニーをナビゲートしながら、優れたカスタマー サービスを提供することが求められています。Google Cloud の AI プラットフォームは、Customer Engagement Suite、Vertex AI、Vertex AI Search を備えており、優れたカスタマー エクスペリエンスを実現できるように CSP を支援します。お客様の行動に関する AI による分析情報を活用することで、CSP はニーズを予測し、問題に事前に対処し、パーソナライズされた推奨事項とシームレスなインタラクションを提供して、最終的に満足度と収益を高めることができます。

Chunghwa Telecom は、Google Cloud の AI を使用して、戦略的意思決定とデータ分析を強化しています。その一例として、戦略的意思決定とデータ分析のための NotebookLM Enterprise のようなツールや、応答時間を短縮し、請求関連の電話を年間 25% 削減すると予測される Gemini 2.0 を使用したカスタマー エージェントがあります。さらに、Document AI でローミング料金の確認を自動化することで、請求書の手動処理を排除して業務を効率化し、費用を削減できるため、会社と利用者の両方に費用削減の可能性が生まれます。

Glance は、Gemini や Imagen などの Google の一連の AI モデルを活用して、消費者をデジタル世界の「主人公」に位置付ける、AI を活用した視覚的に魅力的なエクスペリエンスを提供します。GlanceAI は、ユーザーの興味を推測し、消費者がアップロードした画像から没入型のショッピング体験を提供します。消費者を引き付け、自分がさまざまに試着した姿を可視化して、リアルタイムで購入を決定できるようにします。このケースでは、スマートフォンのロック画面やアンビエント テレビ画面に表示された商品を、AI がインタラクティブなショッピング機会に変えます。

API による新たな収益源の獲得

CSP は、ネットワークのデプロイ費用が高く、イノベーションを迫られる状況に直面しているため、API を調べ、ネットワークを収益化するためにデベロッパーと連携しています。Google Cloud のデベロッパー中心のプラットフォームは、必要なツールとインフラストラクチャを提供することで、ネットワーク アセットの収益化を簡素化します。GSMA Open Gateway などのイニシアチブは、コラボレーションとデベロッパーによるネットワーク機能へのアクセスを促進します。

Open Gateway のビジョンに基づいて、昨日、Google は新しい Firebase 電話番号確認サービスを発表しました。このサービスにより、300 万人を超える Firebase デベロッパーが、電話番号の取得や確認などの重要なネットワーク CSP API にアクセスできるようになります。Google は Deutsche Telekom、Orange、Telefónica、T-Mobile、Telenor、Verizon、Vodafone などのパートナーと連携して、デベロッパーとエンドユーザーのエクスペリエンスの向上と、不正行為の軽減によるセキュリティの強化を実現するこのサービスを提供しています。これにより、CSP とデベロッパーの双方に新たな収益機会が生まれます。

通信業界における AI の未来

MWC 2025 は、AI を活用した通信業界のイノベーションにとっての転換点であり、Google Cloud はこの変革の最前線に立っています。今後数か月間、CSP が AI を導入し続けるにあたり、Google のプラットフォームは、CSP が新たな効率化の実現、カスタマー エクスペリエンスの向上、ビジネスの成長の促進を確実に達成できるようにします。

詳細については、プレスページをご覧いただくか、3 月 3 日~6 日に開催される Mobile World Congress(MWC)の Google Cloud ブース(ホール 2、ブース #2H40)にお越しください。

-Google Cloud、戦略的コンシューマー産業担当マネージング ディレクター、Anil Jain

-Google Cloud、通信業界担当グローバル責任者、Angelo Libertucci

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