コンテンツに移動
サステナビリティ

リアルタイムの地球観測データと経済データを結び付けて気候リスクを管理

2023年5月9日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/sustainability_2022_IIISbL2.max-2500x2500.jpg
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 4 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

二酸化炭素排出量の抑制、生物多様性の保護、人間と地球とのよりサステナブルな関係への移行といった取り組みには、衛星やリモート センサー、過去の傾向といった情報源からのデータが基盤となります。地理空間に何が起こっているのかを詳しく知るほど、山火事、干ばつ、洪水など、気候変動に関連する事象が発生するリスクの予測、評価や、大気質の追跡、改善をより適切に行えるようになります。

これまでは、このデータの使い勝手の悪さが、広く変化をもたらすことを妨げていました。最近のテクノロジーの進歩以前は、科学者がデータを使用するには、スクリプトを見つけてダウンロードしたり、自分で作成したりする必要がありました。膨大な時間、コーディングの知識、コンピューティング能力が必要で、リアルタイムの分析情報や分析を得るのは不可能でした。

過去数年間、Google Cloud はパートナーと協力して、地球ベースのデータを誰でも利用できるようにして、よりアクセスしやすく、使いやすく、実用的なものになるよう取り組んできました。その一例が、Google のパートナーである Climate Engine です。同社は SpatiaFi プラットフォームを通じてこれを実現しています。SpatiaFi は、BigQueryVertex AIGoogle Earth Engine などの Google Cloud コンポーネントを使用して、膨大な量の Google Earth データや地理空間データを収集、処理し、民間および公共部門の組織に気候リスクに関する分析情報を提供しています。Google Earth データと農家の畑や高速道路などの資産の位置情報を融合することで、状況をほぼリアルタイムでモニタリング・分析し、洪水や山火事などの気候事象のリスクや影響を発生前、発生中、発生後に把握できるようにします。SpatiaFi は、過去、現在、短期、将来のあらゆる期間を分析する機能を備えており、組織はこれを利用して、経済的影響や事業のサステナビリティとレジリエンスを評価できます。

今日では、BMO のような機関が、Climate Engine と協力して SpatiaFi のような空間ファイナンス ツールを使用し、地域特有の環境と経済データを総合的に把握して、一方の変化が他方にどのように影響するかをモニタリングし、予測まで行っています。これにより、より優れたリスク分析や、企業が気候変動レジリエンスを事業に組み込むのに役立つ新しい金融機関の登場が促進されます。

気候変動による経済的負担は、山火事のような事象の直接的で明白な影響をはるかに超えるものです。また、インフラ、交通機関網、サプライ チェーンなどにも影響を与えます。この新たな現実でレジリエンスを構築するには、地理空間データと特定の場所や経済に関する分析情報を結び付ける必要があります。このデータの関係は、逆に、金融機関やその他の機関が経済的判断の環境への影響を追跡、理解し、有意義なサステナビリティの向上を実施するビジネスを奨励する機会ともなっています。

BMO のサステナビリティ最高責任者である Michael Torrance 氏は次のように話します。「当社の Climate Ambition(気候野心)は、クライアントのリードパートナーとして、ネットゼロの世界への移行を支援することです。データと情報を活用してクライアントが事業を行っている状況を理解できれば、クライアントがネットゼロと気候変動レジリエンスの目標に向けて前進できるよう、今までにない金融面の支援を提供できます。気候変動がクライアントにどのような影響があるかを理解することで、クライアントと協力して意思決定に役立つ情報を提供し、それを金融商品やリスク管理フレームワークに組み込むことさえ可能です」。

たとえば、BMO は SpatiaFi から取得したデータ分析情報を活用して、鉱業や工場敷地が地域の生物多様性にどのような影響を与えるかについてのクライアントの理解を促すことができます。あるいは、銀行はクライアントに二酸化炭素排出量を削減するよう奨励し、企業に自己申告やサードパーティのレポート システムの採用を要求する代わりに、リアルタイムの衛星データを介して進捗状況を追跡することもできます。

空間ファイナンスは金融とテクノロジーの最前線として重大な局面にあると、Torrance 氏は指摘します。「気候変動の影響という点では、今後の 10 年、20 年、100 年は、過去の 10 年、20 年、100 年とは異なります。これらの問題に対する従来の考え方、つまり過去のデータを見て将来を予測するという方法は、適切なリスク管理アプローチとはなりません。よりリアルタイムの先見性のあるアプローチが必要です。地理空間ビッグデータとモデリングによって提供される機会こそが変革をもたらすと思っています」。

Video Thumbnail

金融機関のサステナビリティへの対応を可能に


- Google Cloud、サステナビリティ / Geo ISV パートナーシップ Denise Pearl
- Climate Engine、最高執行責任者 Caleb White 氏

投稿先