Drive Hockey Analytics、Google Cloud を活用してプロレベルのスポーツ用データ追跡機能をユースチームに提供
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 7 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
かつてのアイスホッケー界では、全米ホッケーリーグ(NHL)のコーチは本能的直感を基に重要度の高い決断を下していました。経験と直感は今日でも依然として重要ですが、NHL のコーチはもう一つの重要なツールである詳細なデータ分析を自由に使えるようになりました。試合の前後には、コーチだけでなく選手も試合データを入念に調べ、パフォーマンスと戦略を向上させるために詳細な統計情報を確認しています。これは NHL ではうまくいっていますが、ユース ホッケーチームにとっては、高性能なデータ分析ツールは通常では手の届かないものでした。氷上での試合のパフォーマンス データを取得するのは高価で複雑、かつ時間がかかるためです。
そこで私たちは、プロレベルの分析を誰もが行えるようにし、若い選手がプレーの質を上げ、より高度なホッケー戦略を立てられるよう、Drive Hockey Analytics を開発しました。これにより、コーチや保護者らは、選手、スティック、パックから 1 秒間に 3,000 件のデータポイントを簡単かつ手頃な価格で追跡できるようになりました。Drive Hockey Analytics は、初期キャリブレーション後 15 分でリンクに設置でき、これらの元データポイントを実用的な統計情報と分析に変換して、リアルタイムに選手のパフォーマンスを改善し、試合後のトレーニングを効率化します。
市販可能なスティックとパックの追跡プラットフォームを Google Cloud でスケーリング
Drive Hockey Analytics は元々、ブリティッシュ コロンビア工科大学(BCIT)の MAKE+ プロトタイプ ラボでのエンジニアリング プロジェクトとして開始しました。その後すぐに、研究開発にもっとリソースを費やさなければ、Drive Hockey Analytics をスティックとパックの追跡プラットフォームとして市販できないことに気づきました。そこで、Google for Startups クラウド プログラムの専任の Google スタートアップ サクセス マネージャーとつながり、そのサポートのもと、私たちの小さなチームが IT コストを削減し、製品化までの時間を短縮できるよう、AWS から Google Cloud への移行を決定しました。
Google Cloud のソリューションを利用することで、構築、スケーリング、セキュリティの確保がすべて容易になります。私たちはすぐに、安全性を重視して設計された Google Cloud のインフラストラクチャを利用して、堅牢なユーザー認証機能を実装し、児童オンライン プライバシー保護法(COPPA)を遵守するために厳格なプライバシー管理機能を導入しました。わずか数日で、コーチと選手が個々の分析ダッシュボードにアクセスし、スピード、加速度、アジリティ、エッジワーク、ゾーンタイム、ポジショニングなど、さまざまな主要統計情報をチームメイトや家族とより安全に共有できるようになりました。
また、Google Cloud 上でパフォーマンス用と個人用のストレージのデータを分離し、Google Kubernetes Engine(GKE)でコンテナを暗号化して、Google Cloud 上の Spark で自動スケーリングするサードパーティ アプリケーションとパイプラインを記述しました。私たちが手作業でこれらのセキュリティ機能をすべて設計し統合していたならば、これらのプロセスには数週間から数か月かかっていたかもしれません。
インタラクティブな選手分析エンジンを構築するために、Google Cloud 上の TensorFlow、BigQuery、MongoDB Atlas を活用しました。Google Cloud のシンプルで柔軟なアーキテクチャにより、コンセプトからコードへ、さらにコードから最先端の予測モデルへと迅速に移行できました。現在では、毎秒数千件ものデータポイントの収集と分析を行い、主要なパフォーマンス指標を特定し、試合の情報を分析して、実行可能な推奨事項を提示しています。コーチと選手は、このデータを活用して、チームのパック保有率を高め、選手のポジションを最適化し、無駄なショット数を減らして、より多くのゴールを決めることができます。
将来的には、Google Cloud Tensor Processing Units(TPU)、Google Cloud Endpoints for OpenAPI、Google 広告など、Google の他のプロダクトとサービスも検討していく予定です。これらのソリューションにより、ML スタックをさらに拡張し、ウェアラブルやカメラからのストリーミング データを活用して、新しい市場に参入することが可能になります。
プロレベルのスポーツ分析機能をユース ホッケーチームも使えるように
スタートアップ サクセス チームのおかげで、Drive Hockey Analytics を大学のエンジニアリング プロジェクトからトップレベルの選手とパックの追跡システムへと急速に成長させることができました。同チームの案内と対応は素晴らしく、他のテクノロジー プロバイダのサービスとは一線を画す人間味が感じられます。
また、非常に大規模なデータセットの課題に対処するための新しいソリューションを手頃な価格で調査するうえで、Google Cloud のリサーチ クレジットが役立っていることを強調しておきたいです。このクレジットのおかげで、何千件ものデータポイントをストリームやバッチで処理し、ML 駆動ロジックを適用して、リソース効率の良いクエリを実行できています。そのうえ、専任のスタートアップ専門家、マネージド型コンピューティング機能、大容量の安全なストレージを利用でき、Google Cloud Marketplace にも参加できます。
Drive Hockey Analytics の需要は増え続けており、ユースチームやコーチの意見に基づき、常にプラットフォームを進化させています。私たちは、2023 年の本格的な市販化を目指しています。ユースチームが、Drive Hockey Analytics を使用して、リアルタイムで選手のパフォーマンスを向上させ、勝利数を増やせるよう支援しています。かつてプロスポーツ チームだけが利用できた高度な分析機能を誰でも使えるようにすることで、出場機会の少なかった選手の成長を支援しながら、今後さらに当社がどんな点で貢献していくことができるか、とても楽しみでなりません。
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- Drive Hockey Analytics、最高業務執行責任者 Adam Nathwani 氏
- Drive Hockey Analytics、創設者兼 CEO Mike Dahlstedt 氏