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Energy Drive「サステナビリティの実現」 - Google Cloud を活用したシステム パフォーマンスの動的なモニタリングと分析

2022年12月16日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 11 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

プールポンプやガレージドアから大型の工業用ファンやポンプに至るまで、さまざまなものに使われている電気モーターは、世界の発電量の約 50% を消費しています。しかし、このような古い設備をより効率的なエンジニアリングで最適化することによって、大幅なエネルギーの節約を実現できる可能性があります。ただ、大きな課題が残されています。大型の工業機器のエネルギー効率を高めるには、どうしたらよいのでしょうか。数十年前の機器の場合にはなおさらです。

こうした課題と電力消費の削減に向けて、私たちは Energy Drive を設立することになりました。当社は、工業環境、とりわけ鉱業(mining)、金属(metals)、鉱物(minerals)のトリプル M と呼ばれる分野の大規模なエネルギー利用者が、エネルギーに関連するサステナビリティの目標を達成し、効率化の障壁を取り除く手助けをしたいと考えました。  

当社が取るアプローチは、非常に的を絞ったものです。ファンやポンプのモーターなどの工業機器に可変速駆動装置(VSD)と呼ばれるテクノロジーを組み込みます。この VSD を使用することで、固定周波数の電力供給を可変周波数の出力に変換します。駆動装置(VSD)は、低周波の場合は低速、高周波の場合は高速というようにモーターの動作を制御します。簡単にいうと、モーター速度を比較的細かく調整することによって、消費電力を大きく削減します。

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Energy Drive のチームメンバー

エネルギー消費量の削減とダウンタイムの最小化

すべてのシステムのエネルギー消費量とパフォーマンスは、最新の測定技術と工業用コンピュータによりモニタリングされています。このデータはウェブ アプリケーションを通じてクライアントに送られ、プラント プロセスの最適化状況と、結果として生じるコストとエネルギーの節約量が迅速に表示されます。

また、Energy Drive は独自の専用システムを使用してクライアントの設備をモニタリングしています。「予測される設備故障に対して早期に警告を出し、問題の可視性を高めることで、予定外のダウンタイムを削減しています。」

ビジネス規模の拡大とともに、当社で保存し、クライアントからアクセスできるようにするデータの量も増加しました。成長目標に合致するデータベース環境を選択する際、目を引いたのは Google Cloud でした。Google Cloud は、機能を犠牲にすることなく優れたスケーラビリティと柔軟性を実現しており、当社が検討したいくつかの他のクラウド環境よりもはるかに管理が簡単です。

当社は Google Compute Engine を利用して Google Cloud インフラストラクチャ上で仮想マシンを実行し、クライアントがパフォーマンス データの確認に使うカスタムビルドのウェブツールの実行には Google App Engine を活用しています。また、環境内のデータの保存とアクセスには、Google Cloud Storage を使用しています。

BigQuery は、当社のビジネスにとって特に重要です。他のクラウドベースのデータ ウェアハウスを検討した際、当社の要件に合致する価格モデルはありませんでした。BigQuery では、抽出し、操作したデータに対してのみ料金を支払います。実際、SQL 環境から切り替えたことで、データ使用量を 80% 削減できました。

BigQuery を使用すれば、クライアントは現在のデータまたは過去のデータに数秒でアクセスできます。過去には多くの人が手動システムに依存し、必要な情報を抽出するためにはネットワークや何千ものデータポイントを選別しなければならなかったため、これは大きな改善です。

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750 ギガワット時(GWh)の電力を節約

このデータに、クライアントの収益に大きな違いをもたらす分析情報をオーバーレイすることもできます。今では、「去年の今頃、あのシステムでは何が起きていたか」とクライアントから尋ねられたとき、その詳細を素早く取り込み、わかりやすい形式で提示できるようになりました。同時に、当社の設備は資本支出不要のパフォーマンス モデルに基づいているため、クライアントのプロジェクト実施を簡素化し、費用を削減します。資金をめぐって他の社内プロジェクトと競合しなければならない大規模な資本支出計画があると、短期的な打撃を受けがちですが、そういったこともありません。

何より、Google Cloud は、当社のエネルギー消費量の削減に関する取り組みを支える原動力となっています。当社は設立以来、750 GWh の電力を節約してきました。これは平均的な規模の製鋼所の年間消費量の半分に相当します。別の見方をすれば、毎日約 16,500 世帯分に相当する消費量を節約していることになります。

また、省エネ業界において当社の実績が認められたことを誇りに思います。2019 年には、South African Energy Efficiency Confederation から「Energy Efficiency Company of the Year」を授与されました。2021 年には、2040 年のカーボン ニュートラルと 2050 年のネットゼロの目標に向けて南アフリカの鉱業会社を支援した活動が評価され、「Industrial Energy Project of the Year」を受賞しました。

さらに当社は、南アフリカでのエンジニアの人材育成にも力を注いでいます。大学卒業生を対象としたプログラムでは、電気工学、機械工学、プロセス工学をはじめとする多くの分野での体験を若者に提供しています。プログラムの参加者は、エンジニアリングと分析における最新の動向を直接把握することで、自信をもってキャリアパスを選択できるのです。

これは、Google Cloud の最新ツールや機能強化など、最高水準のスキルと技術をビジネスに組み込むという当社の決意につながっています。現在、当社は Google Cloud の優れた機械学習機能と、この機能を当社のデータに適用して、さらに効率的なエネルギーをクライアントに提供できる可能性に大きな期待を寄せています。Google が今後も革新を続けていくことを確信しているので、当社は自信を持って事業を拡大し、現在と将来にわたるサステナビリティの目標の達成に向けてクライアントをサポートできるのです。

Google Cloud がスタートアップをサポートする方法について、こちらのページでプログラムの詳細をご確認ください。また、こちらから更新情報の配信にご登録いただいた方には、コミュニティ活動、デジタル イベント、スペシャル オファーなどの情報をお届けします。


- Energy Drive 分析担当ゼネラル マネージャー Ryan Botha 氏
- Energy Drive グローバル ビジネス デベロップメント マネージャー James Sharp 氏
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