Google による新しいアンケート調査: パンデミックの影響下で研究の継続を可能にするクラウド
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックは過去 1 年半の間、あらゆる業界に影響を及ぼしてきました。研究機関も例外ではありません。実際のところ、医学や科学の分野での進歩は、さらに優先度の高い喫緊の課題となっています。世界中の多くの民間企業や政府機関は、チャット、ビデオ、大容量ファイルの共有、リアルタイムのドキュメント編集などのクラウドツールを使用してリモート拠点で働く従業員とのつながりを保ち、コラボレーションを行えるようにするため、クラウドに目を向けています。とはいえ、ある種の科学的研究においては、こうした状況でも研究室で顔を合わせてコラボレーションを行う必要があります。
そのため、Google は医学研究、地球物理学、気候科学、化学、コンピュータ エンジニアリングなどの重要な分野で働く研究者たちの研究の進捗状況にパンデミックが与えた影響を深く理解したいと考えました。パンデミックが世界中の学術研究者たちにどのように影響を与えたかを理解するため、Google は The Harris Poll に調査を委託しました。この調査では、米国、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、ブラジル、フランス、スペイン、ドイツ、英国、シンガポール、オーストラリアで働く 1,591 人の回答者を対象にアンケートを実施しました。すべての回答者が、民間または政府の研究所、医療センター、博士課程プログラムのいずれかに所属しています。
次の 4 つの主要な結論が得られました。
12 か国すべてのあらゆる年齢層の研究者が、対面の交流がない状況で仕事をこなすことに苦労しています。COVID-19 パンデミックは、生産性、特にイノベーションとコラボレーションに関する生産性に打撃を与えています。世界中の 67% の研究者が、パンデミックが原因で 2020 年の進捗状況はそれまでより悪かったと回答しました。回答者の 85% が、効率的にイノベーションを起こすことに苦労したと回答し、77% が、リモートで働きながら効率的に試験、計算、共同作業を行うことに苦労したと回答しています。このことは、アンケートを実施したすべての種類の機関で共通していました。
大多数の研究者にとって、パンデミックはコラボレーション ツールとコミュニケーション ツール(クラウドベース ツールとバーチャル ツールの両方を含む)に対する需要を加速しました。圧倒的大多数の研究者(98%)が、パンデミックによりクラウドベースのツールのニーズが高まったと回答しました。具体的には、"対面式のミーティングに代わるコラボレーション ツールがないこと" を最大の課題の一つとして挙げました。ツールは不足していたものの、この需要によりバーチャル コラボレーションとコミュニケーションのためのツールの使用が大幅に増加しました。世界中の回答者が、バーチャル ミーティングが 91% 増加し、チャットの使用が 62% 増加したと回答しました。
パンデミック期間中に、人工知能(AI)と機械学習(ML)を含むあらゆる破壊的技術の使用が大幅に増加しました。アンケートに回答した大多数(96%)が、クラウド、データと分析、デジタル生産性向上ツール、AI / ML のうち少なくとも 1 つのツールの使用が増加したと回答しました。このうち、パンデミック中に使用率が最も増加したのはクラウドでした。
アンケートに回答した世界中の研究者の半数以上が、COVID-19 の感染拡大が原因でクラウド ソリューションへの投資が増えることを見込んでいます。61% の研究者が、自分たちの機関は新型コロナウイルスの状況に対して "あまり" または "まったく" 準備ができていなかったと回答しました。とはいえ、最も準備が整っていたのはすでにクラウドを使用していた機関でした。あらゆる職場環境の 93% 超の研究者が、COVID-19 によって組織の現在または将来のクラウド コンピューティングに対するニーズが増大したことに同意しています。半数以上の回答者(52%)は、自組織が今後 12 か月以内にクラウド テクノロジーへの投資を増加させると考えています。
アンケートのデータは、機関ごと、地域ごとのいくらかの違いも浮き彫りにしています。たとえば、クラウドの使用が増加したと回答した割合は、民間の研究所で働く研究者の方が他の種類の研究機関の研究者と比べて高い傾向が見られました。地域別に見ると、クラウド ソリューションへの投資を増加させる可能性が最も高いのは、コロンビア、米国、オーストラリアの組織でした。全体として、世界中の研究および研究者たちにパンデミックが与えた大きな影響がアンケートを通じて明らかになりました。同時に、クラウドベースのツールと戦略が、組織が適応するうえでどのように役立っているかもわかりました。
新しい変異株の出現により、直接会って働くことがさらに難しくなる中、民間および政府関連の研究機関は、重要な研究を続けるために次のような措置を講じることができます。
必要に応じたスケーリング。状況が急速に変化する中で、研究機関はクラウド テクノロジーを活用して、規模に応じたサポートモデルを実現できます。柔軟なクラウド インフラストラクチャにより、データがよりアクセスしやすいセキュアなものになるため、研究者たちはどこからでも、あらゆる規模で共同作業を行うことができるようになります。
AI / ML の活用。科学的研究での AI / ML ツールの使用が増加するにつれて、研究機関は自分たちの作業の品質、安全性、効率を確保する必要が生じます。クラウドは、臨床試験、研究、患者ケアなどのための最新のアプリケーションや他のコネクテッド エクスペリエンスを迅速に構築して提供するためのプラットフォームを提供します。
データの最適化。学術研究センターが拡大して、複数クラウドにまたがる新たなソースからのデータが取り込まれるにつれて、こうしたデータや情報を集約する作業は難しい課題となります。クラウド テクノロジーを活用すれば、研究者はチームの垣根を越え、データサイロを切り崩して分析情報を獲得し、フルマネージド インフラストラクチャ上での一貫したデータ エクスペリエンスを確保できます。
投資収益率の最大化。資金の確保は一筋縄ではいきません。事実、回答者の 44% がパンデミック期間中に調達資金が減少したか、他の用途に振り向けられたと回答しています。クラウド対応の自動化ツールはドキュメントやデータを迅速かつセキュアに処理できるため、研究機関はこれらを活用して意思決定スピードの向上、データ入力コストの削減、発見の促進を実現できます。
上記の調査結果などについて詳しくは、インフォグラフィックをダウンロードしてご覧ください。Google Cloud を利用して独自の研究プロジェクトを強化するには、一部の国で利用できる無料クレジットにお申し込みください。
調査方法: アンケートは、Google Cloud の委託により、The Harris Poll がオンラインおよび電話で、学術研究所 / 医療センター、政府関連の研究所、民間セクターの研究所、大学、病院やその他の医療機関で働く 1,591 人の研究者を対象として 2021 年 4 月 22 日から 2021 年 5 月 17 日までの期間に実施しました。研究者の勤務地は、米国(n=501)、カナダ(n=100)、メキシコ(n=100)、コロンビア(n=100)、アルゼンチン(n=100)、ブラジル(n=77)、フランス(n=105)、スペイン(n=100)、ドイツ(n=102)、英国(n=100)、シンガポール(n=100)、オーストラリア(n=105)であり、研究所または病院 / 医療センターの従業員であるか、少なくとも 1 年間プログラムに在籍している博士課程の学生であり、研究者として働いているか、研究機関の意思決定者であるかのいずれかです。
- Google Cloud エデュケーション ヘッド Steven Butschi