デジタルスキルを備えた人材を育成するオハイオ州の取り組みを支援

※この投稿は米国時間 2022 年 2 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

デジタルスキルを習得するためのトレーニングは、米国における雇用の未来と経済的流動性に欠かせません。職種の 82% は「デジタル集約型」と表現され（Burning Glass）、学士号よりも低い学位しかなくても生活を維持するのに必要な賃金を得ることができますが、米国の労働者のほぼ 3 分の 1 はデジタルスキルを欠いているのが現状です（National Skills Coalition）。デジタルスキルに対する需要と必要なトレーニングを受けた労働者の供給との間のギャップが拡大していることを背景に、オハイオ州などの一部の州を中心に、スキルギャップを埋めるための新しいアプローチを検討する動きが広がっています。

多くの州と同様に、オハイオ州にはデジタルスキルを必要とする求人職種が多数あります。過去 12 か月を見ただけでも、クラウド、IT サポート、ユーザー エクスペリエンス（UX）設計、データ アナリスト、プロジェクト管理の分野で 12,000¹ を超える新しい求人が発生しています（Burning Glass）。これらの求人にはトレーニングを受けた技術者が必要であり、政府機関、医療、小売、金融の各セクターに所属する同州の雇用者は、欠員を満たすために必要なスキルを備えた人材を探しています。Google はこの増大する課題に対処するためにオハイオ州と提携し、基本的なデジタルスキル、Google Career Certificates、Google Cloud プロフェッショナル認定資格などを提供しています。

Google は、オハイオ州の雇用システムが次の 5 つの主要な方法で求職者をサポートできるようにしています。

誰でも無料で使い始めることができる Google Cloud Skills Boost

オハイオ州の州職員と居住者は、Google Cloud Skills Boost を使用してクラウドスキルを向上させることに成功しています。これまでに、同州の何百人もの学習者が Google Cloud Skills Boost（クラウドスキルの習得を簡素化する 700 以上のラボとコースからなる Google Cloud のライブラリ）を上手く活用しています。現在、Google はこのライブラリを最初の 30 日間無料で提供しており、居住者はクラウドベースの職種に就くために必要な認定取得に向けた準備を追加費用なしで開始できます。

学習者は、認定を取得するだけでなく、仕事に必要なスキルを磨く目的でも Google Cloud Skills Boost を利用できます。100% オンラインの Google Cloud Skills Boost は、自分に合ったペースで学習を進めることができ、クラウドの基礎から高度なスキルに至るまでのすべてをカバーしています。

居住者が利用できる Google Career Certificates と雇用機会

Google Career Certificates は、オハイオ州の居住者に加え、居住者向けサービスおよび雇用を提供している公的機関や民間企業のコミュニティ パートナーにとっても、より利用しやすいものになっています。オハイオ州を拠点とする何千人もの学習者が、データ分析、IT サポート、プロジェクト管理、ユーザー エクスペリエンス（UX）設計の各分野でキャリアを開始するうえで必要となるスキルを習得するため、Google Career Certificates を利用しています。これらはいずれも、公共部門と民間部門の雇用者および人材育成機関が採用の対象としている、需要の高い高報酬のキャリア分野です。Certificates の取得に過去の経験や学位は不要です。全国の卒業生の 75% は、修了から 6 か月以内にキャリアパスにプラスの影響（就職や転職、昇給、昇進など）があったと報告しています。²

Google は、非営利団体や地域の教育パートナーと提携して、Google Career Certificates の認知度を高めるとともに、オハイオ州の居住者が短期大学や職業専門学校（CTE）で無料のコースを受講できるように支援しています。また、Expedient や pep promotions のほか、オハイオ州内で人材を雇用している多くの雇用者からなる Employer Consortium を通じて、即戦力のあるスキルを備えた Google Career Certificate プログラム卒業生とさまざまな業界の 150 以上の雇用者を結び付ける機会も提供しています。

学校とのパートナーシップ

オハイオ州の大学は、Google Cloud キャリア教育プログラムと Google Cloud Computing Foundations の無料カリキュラムを利用して、各種トレーニングと認定を提供しています。Google Cloud を大学のカリキュラムに導入することで、学生は将来の就職先で使うクラウド テクノロジーに触れる機会を得ることができます。また、$225,000 を超える Google Cloud 教育クレジットを発行して、オハイオ州の 17 の教育機関の教員が学生の Google Cloud の利用を支援できるようにもしています。

さらに、短期大学と職業専門学校（CTE）は、Google Career Certificates を無料でカリキュラムに組み込むことができます。米国教育協議会（ACE）は、各認定を最大 12 の履修単位で取得できるようにすることを推奨しています。これにより、高等教育を受けたにもかかわらず大学の学位は取得していないオハイオ州の居住者は、認定取得のための単位を手頃な費用で履修することが可能になります。

また、技術スキルの習得は大学レベルより前に始めることも可能です。Google はオハイオ州をはじめとした一部の州と提携して、Google Workspace などのプログラムを小中高の教育課程に導入し、デジタル リテラシーやコーディングなどに関するレッスンを教師が計画できるようにすることで、将来に通用するデジタルスキルの構築を支援しています。

政府職員向けトレーニング

リモートワークへの移行が一部で恒久化するに伴い、デジタルでつながった世界での働き方に必要なスキル以上のものを新規採用者に対して求めることが必要となっています。政府機関は、現職の職員がクラウド機能を管理し、最大限に活用するうえで必要なスキルを備えていることも確認する必要があります。その例として、オハイオ州雇用家族サービス局は、局員がオンデマンドの Google Cloud トレーニングに 12 か月間フルアクセスできるようにするためのライセンスを獲得し、各自がフレキシブルなスケジュールでクラウドスキルを習得できるようにしました。また、オハイオ州の職員であるかどうかを問わず、誰でも最初の 30 日間は無料で Google Cloud Skills Boost にアクセスし、自分に必要なクラウドスキルを習得できます。

人材エコシステムへの投資

2019 年、Mike DeWine 知事と Jon Husted 副知事は、オハイオ州の TechCred プログラムを立ち上げました。このプログラムは、現在および将来の従業員のスキルアップを図る機会をオハイオ州の雇用者に提供するもので、Google クラウド認定資格と Google IT サポート認定という 2 つの認定パスは TechCred を通じてすでにアクセスできるようになっています。オハイオ州の雇用者は、対象となる従業員を Google Cloud トレーニングまたは Google Career Certificates に登録し、その従業員が Google Cloud 認定資格または Google IT サポート認定を取得すると、クルデンシャルあたり最大 $2,000 の払い戻しを受けることができます。TechCred の優れている点は、雇用者が継続的に資金を申請できることです。資金申請は通常隔月で行われ、雇用者は毎回最大 $30,000、年間で最大 $180,000 を受け取ることができます。

オハイオ州ワークフォース トランスフォーメーション局の局長を務める Jon Husted 副知事は、次のように話します。「私たちがキャリアをスタートさせて成功をつかむううえで必要なスキルは、イノベーションとテクノロジーによって様変わりしています。私たちは、人々が成功に必要なスキルを効率的に習得できるよう支援する必要があります。そのためには、教育とスキル開発を提供するための新しい方法が必要です。TechCred は、数万人のオハイオ州民のスキルアップを支援する効果的な方法であることが証明されています」。

Google は、オハイオ州中部のデータセンターと Google Cloud リージョンのプレゼンス拡充にも投資しています。これらの投資は、雇用機会と熟練人材を同州にもたらし、地域の人材パイプラインのさらなる発展にも貢献しています。

Google の従業員支援の取り組み

オハイオ州の成功事例は他の州にも応用することが可能です。地域の労働力プール拡大のための新たなトレーニング パスの構築を進めるオハイオ州の事例を参考にして、従業員支援の戦略を立てることができます。Google による熟練ワークフォースの育成支援の取り組みについては、Google Learning のページをご覧ください。

^{1 出典: Burning Glass Data}

^{2 プログラムの卒業生を対象としたアンケートの回答に基づきます（米国 2021 年）}