ワクチンを地域コミュニティに安全かつ効率的に導入
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 2 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google Cloud の Intelligent Vaccine Impact ソリューションのご紹介
数多くの COVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンが承認されたことを受けて、州政府および郡や市などの地方自治体は予防接種プログラムを効率よく公正に実施することに注力しています。これは現世代における最大規模の公衆衛生キャンペーンとなる見込みで、より多くの人々がワクチンを接種できるようにするための課題にお客様とコミュニティが立ち向かうための支援を Google は行います。
Google はパンデミックの最中に、研究の助成金や遠隔医療のサポートなどを通してコミュニティと公衆衛生管轄機関をサポートしてきました。数百万人の人々にワクチンを接種するという世界的な難題が立ちはだかり続けるなか、Google は本日 Google Cloud の Intelligent Vaccine Impact ソリューションを発表し、支援を拡大します。このソリューションをご提供するにあたり、ワクチンの情報とスケジュールから配布と解析、COVID-19 症例の予測とモデル化などに至る、地方政府や地方自治体が COVID-19 関連の公衆衛生戦略を成功させるうえで中核となる一連の技術を開発しました。
Intelligent Vaccine Impact ソリューションでは、ワクチンの入手性を高め、必要な人へ公平に届け、州政府や地方自治体がワクチンの認知度、信頼度、受容を構築することをサポートします。ワクチンの配布を州政府や地方自治体が独自の方法で管理することを念頭に置き、ソリューションは、既存の技術と容易に統合できるよう設計されました。
ワクチンの配布と割り振りのより良い判断に役立つ COVID-19 の予測
Intelligent Vaccine Impact ソリューションの第 1 の要素は、COVID-19 の予測と「what-if」解析です。Google Cloud の研究者は、AI を疫学の基礎と組み合わせた、斬新な時系列の機械学習アプローチを開発しました。また、COVID-19 への対応とその他の感染症の政策介入の意思決定に使用できる、AI を活用した「what-if」モデルを開発しました。これには、Anthos、Kubernetes、BigQuery を使用したアプリケーションのモダナイゼーション プラットフォームを使用しています。
州の疫学者と公衆衛生関係者は、Looker ダッシュボード独自のセットを使用して、公共およびプライベートのデータセットの両方でこれらのモデルの結果を BigQuery で集計できるため、より優れた政策決定を行えます。行政機関のトップは、政策の変更に対応して予測がどのように変化するのかを確認できます(マスク着用義務、業務再開計画の変更、予防接種プログラムなど)。また、公共部門のトップは自国と公衆衛生組織向けにカスタム予測を作成することもできます。ソリューションにおけるこの要素の目的は、トップが情報を元に効果的な決定を行えるようにするものです。
州の機関と地方政府機関の負担を減らす、高品質なワクチン情報
Intelligent Vaccine Impact ソリューションの第 2 の核となる要素は、ワクチン情報ポータルです。COVID-19 のワクチンの解禁により、政府機関に市民から多数の質問と懸念の声が寄せられています。市民が機関のウェブページで答えを検索し、医療機関に電話し、ソーシャル メディアで発表に反応することが、多くの地方自治体にとって大きな負担となっています。
SpringML、MTX、Deloitte などのパートナーと提携することで、Google Cloud は複数のワクチン情報ポータルを構築しました。これは、Intelligent Vaccine Impact ソリューションの一部として含まれ、ワクチン接種の対象となった際にできるだけ早く接種できるように、市民がワクチンが接種可能かどうかを調べ、自分が対象であるかどうか判断し、予防接種に登録して情報を送信することができます。App Engine、Firestore、Cloud Functions などの核となる Google Cloud のサーバーレス技術を活用したこれらのポータル ウェブサイトにより、数千人から数十万人の対象者が同時に登録するニーズを満たすための、シームレスなスケーラビリティが実現します。
市民へのワクチンの段階的接種をシームレスに管理するための、ワクチンのスケジュール管理
対象者はワクチンの情報ポータルにアクセスし、Intelligent Vaccine Impact ソリューションのスケジュール管理機能を利用できます。Google Cloud の Dialogflow と Contact Center AI のインテリジェントな仮想エージェントにより、オンラインを利用できない場合でも、市民が接種の対象かどうかを判断して登録し、ワクチン接種を予約できる着信回線が実現します。スケジュールとリマインダーをサポートするための標準のテキスト メッセージ通知により、対象者は予約とワクチン情報を覚えておくことができます。
このソリューションでは、便利なオンライン登録と予備登録、場所の検索、予約の設定に加えて、自動リマインダーも利用できます。また、QR コードや固有の患者 ID の作成もサポートしているため、迅速に手続きができるほか、追加接種も簡単に予約できます。もちろん、対応には高いレベルの統合とデータのポータビリティが必要となるため、Intelligent Vaccine Impact ソリューションは Apigee および Google Cloud Healthcare API を利用して、既存の医療や免疫システムに組み込まれている HL7 や FHIR などの一般的な形式でデータを安全に転送します。
コミュニティのワクチンに対する感情の評価に役立つ感情分析
最後に、市民がワクチンのリスクと利点をどのように感じているのかを理解することは、予防接種に対する信頼度を高め、最終的に COVID-19 を終息させるために必須です。そこで、Intelligent Vaccine Impact ソリューションでは、Syntasa と提携して、感情分析コンポーネントを採用しています。これは、対象者の感情とフィードバックの一元的な分析情報源となります。
対象者は、コールセンター、ウェブサイトとアプリ、chatbot、広告キャンペーン、ソーシャル メディア、検索、ニュース フィードなど、多岐にわたるコミュニケーション システムを通じて政府機関とやり取りをします。Google の感情分析ツールを使用することで、政府機関は、特定のオーディエンスに明確かつ正確な情報を提供し、特定の問題が発生したら対処することができます。予防接種のライフサイクル全体での変化する感情と行動を理解することで、機関はよりカスタマイズされ情報が豊富な予防接種のキャンペーンを実現できます。
稼働を始めた Intelligent Vaccine Impact ソリューション
Google Cloud はすでに多くの州で Intelligent Vaccine Impact ソリューションを稼働させています。たとえばノースカロライナ州は、ソリューションの複数の要素において Google Cloud を利用して、ワクチンの段階的展開を効率化しています。
ノースカロライナ州の技術および運用担当事務次官である Sam Gibbs 氏は、次のように述べています。「私たちの最近の課題は、ノースカロライナ州の住民による情報へのアクセスを効率化するためのプロセスと技術を開発することです。この技術により、住民がワクチンを接種できるタイミングなどの情報を見つけ、予防接種の場所を簡単に確認できる、一元的な方法を提供できます。」
Google は、この重大なミッションをサポートし、耐障害性に優れたインフラストラクチャを稼働させ、COVID-19 の予防接種関連の課題に取り組めることを光栄に思っています。Google Cloud の Intelligent Vaccine Impact ソリューションは、州や地方の保健機関の COVID-19 パンデミック対応をサポートするプロジェクトの強力な基盤上に構築されており、Google は引き続き全国の公衆衛生機関のサポートに努めてまいります。詳しくは、cloud.google.com/solutions/government をご覧ください。