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Google Cloud での Neo4j Aura で金融サービスの 3 つの課題を解決

2021年12月3日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 11 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

この 10 年間で、金融サービス組織はクラウドファーストの考え方を取り入れてきました。また InformationWeek によると、金融サービスにおけるクラウド導入の最大の動機は、コスト削減とスケーラビリティの向上でした。最新のテクノロジーと人材へのアクセスを可能にするクラウドネイティブ アプリケーションを導入すると、企業は大容量かつ低レイテンシに対応したトランザクション処理システムを再構築できます。

Neo4j も Google Cloud も、当初から関係をベースにしたデータ表現を採用しており、このテクノロジーを使って金融サービス業のお客様のビジネス トランスフォーメーションを支援することに専念しています。Google は、金融サービス(FinServ)のクラウド システムの将来性に期待しており、クラウド上のグラフデータが業界の重要な課題の解決に役立つと信じています。

データの課題 1: リスク管理とコンプライアンス

クラウド移行時における CIO の最大の懸念事項は、まず、リスク管理とコンプライアンスです。接続されていないデータ、コンテキストのないデータ、古くなったデータは、詐欺や金融犯罪が発生する機会を生み出します。実際、FinServ に関しては、「もし発生したら」ではなく、どれくらいの頻度で攻撃が発生するかが問題となります。  残念ながら、過去 10 年間でインシデントの発生件数は増加傾向にあり、COVID によりさらに悪化しました。金融犯罪は、犯罪の対処とブランド価値のような無形資産の両方で利益に影響を与えます。  

さらに、国際的な銀行業務の複雑さも加わり、「コンプライアンス」は動く標的となっています。コンプライアンス違反によるペナルティは、FinServ 組織にとって常に懸念される問題です。

変化しない固定数の列を持つ情報を表形式で表現すると、特性が変化し続ける世界の記述を妨げることになります。リレーショナル データベースは、そのデータが表す環境が速く動かない場合には最適ですが、データ構造が高度に相互リンクしていて、均質でない場合には限界があります。

Google Cloud での Neo4j Aura は、今日の金融サービス組織が不正な行為者の発見と防止という課題に対応するために必要なセキュリティ基準とプロトコルを遵守した、ダイナミックで将来性のあるスケーラブルなアプリケーションを作成するための基盤を提供します。また、10 億を超えるノードや関係に対応してクエリを効率化し、地域を問わず規制やプライバシーのコンプライアンスを満たすソリューションを提供するなど、エンタープライズ規模のスケーラビリティも備えています。Neo4j を導入したことで、導入初年度だけで数十億ドルもの不正行為による損害を防ぐことができた組織もあります。  

グラフ テクノロジーが不正検知のユースケースに最適なのは、データポイント間の関係がデータポイントそのものと同じくらい重要だからです。例えば、John Smith という人が、自分が設立した持ち株会社のメイン アカウントを管理するために、多国籍の銀行機関にアプローチしたとします。  

John R Smith Holdings LLC に関する記録はどこにもないものの、グラフ テクノロジーで作られた銀行のアプリケーションにより John Smith Holdings が所有する複数の有名な事業体があることが把握されます。また、このアプリケーションは、この機関と取引のある著名な役員も複数人特定します。このような関係を重視したアプローチにより、銀行は John R Smith が 2 か月前まで何の情報もなかった自分の持ち株会社の口座を開設しようとしていた「John Smith」という人物ではないことを理解します。

データの課題 2: 手動プロセスと非効率性 

クラウドの普及により、これまでにないレベルの自動化をデプロイでき、手動で処理することでプロセスに入り込んでしまうエラーや非効率性に対処できます。バラバラのシステムや以前のシステムからデータが送られてくると、長年の間にサイロ化され、「触れることができない」状態になっている可能性もあり、さらに複雑さが増します。例えば、営業担当者が顧客データマスターに登録されているスペルが「John R Smith」であることを知らずに、CRM システムに「John Smith」と入力した場合、2 つの別々の、矛盾しているかもしれない記録が返される可能性があります。それらの記録をマスタービューで結合できれば、この問題を解決できます。また、データの質が低いと、新しいシステムのリスク、コスト、導入期間が増大します。

Google Cloud での Neo4j Aura は、自動化と人工知能(AI)を提供し、手動によるプロセスとそれに伴うエラーを削減します。このグラフ アーキテクチャでは、人を表す各ノードに、ラベル、関係、プロパティが関連付けられます。これにより、AI の使用が可能になり、CRM の John Smith が顧客マスターの John R Smith と同じであることを容易に理解できます。Neo4j に含まれる情報は、アプリケーションやデータソース間の一貫性を確保するために、双方向に接続できます。

このアプローチの利点の一つは、情報をリンクさせることで、データを所定の表形式に強制的に変換するのではなく、データの価値を最大限に維持することができ、貴重な情報や分析情報が失われるリスクがないことです。

データの課題 3: 顧客エンゲージメントと分析情報

また、今日のお客様があらゆる接点で大きな期待を寄せていることも重要な問題です。エンドユーザーは、デジタル デバイスでの予測可能な体験に慣れており、FinServ アプリも例外ではありません。さらに「Covid エコノミー」は、従来であれば対面式のサービスを利用していたであろうお客様も含め、ユーザー層を超えたデジタルの導入を大きく促進しています。これはまた、すべてのデジタル インタラクションにおいて、パーソナライズされた予測可能な体験への期待が高まっていることを意味します。金融取引において、レイテンシは常に重要な検討事項であることは認識していましたが、ComputerWeekly の最近の調査では、すべての金融組織が 10 ミリ秒以下の可視レイテンシを確実に実現する必要があることが示されました。お客様は、もはや自身のブロードバンドが問題であるという説明には納得しません。

最後に、カスタマー ジャーニーに盲点があると、しばしば不満の原因となり、最終的には解約の増加につながります。お客様から実用的な知見を得ることができなければ、お客様がプロダクトやサービスに求めているものを革新し、イテレーションしていく余地はありません。それは、市場シェアや競争力の低下につながります。

NoSQL アーキテクチャ、特に Neo4j Aura の動的なスキーマと構造は、データを管理し、開発サイクルや新しいデータモデルに応じて変更を加える能力を与えてくれます。これは、ビルドの高速化、より包括的なリリース、そしてコンテキスト化して瞬時に理解することができる広範囲で豊富なデータセットを意味します。グラフ テクノロジーは、カスタマー 360 アプリケーションを構築するための論理的な選択肢です。このアプローチでは、クライアントの行動やパターンだけでなく、クライアントの家族や友人、同僚の行動やパターンについても貴重な情報を得ることができます。これにより、より強力なパーソナライズ、ターゲットを絞ったキャンペーン、実行の成功が可能となり、顧客満足度と顧客維持率の向上につながります。

Google Cloud でのグラフ テクノロジー

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Neo4j は、アナリストが別々のアカウントに共通する属性を可視化し、同じ高リスクのオーナーが存在する可能性が高いことを示すのに役立ちます。

Neo4j は、グラフ データベース テクノロジーのリーダーとして認知されており、Google Cloud 上で唯一の完全にインテグレーションされたグラフ ソリューションとして、Google Cloud のお客様の共通のニーズを満たすのに貢献しています。Neo4j と Google Cloud の両社は、パートナーシップと共通のプロダクトの方向性を継続的に成長させることに尽力しています。  

オンプレミスでのデプロイのためにソフトウェアをダウンロードする、仮想マシンのイメージを使用する、またはグラフの Database as a Service であるホスト型ソリューションの Google Cloud での Neo4j Aura を使用するにしても、Neo4j グラフ データベースは、Google Cloud Marketplace から直接入手してデプロイできます。どのようなデプロイであっても、同じエンタープライズグレードのスケーラビリティ、信頼性、接続性に加えて、特定の課題を解決するための信頼できる再現可能な成功事例と統合された請求機能を得ることができます。

グラフ テクノロジーによる金融サービスの最適化の実例については Google のフィンテック企業 Current のケーススタディをご覧ください。300 万人以上のメンバーを抱える米国の大手金融テクノロジー プラットフォームである Current は、Google Cloud で Neo4j Aura を使用して、クライアントの関係に基づくカスタマイズ エンジンを構築しました。

FinServ 組織向けの Google Cloud での Neo4j Aura の詳細については、12 月 16 日(木曜日)に開催される Neo4j のチーフ サイエンティスト兼現場担当 CTO である Jim Webber 氏と Google Cloud の Office of the CTO テクニカル ディレクター Antoine Larmanjat によるウェブセミナーにご登録ください。

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Google Cloud Office of the CTO テクニカル ディレクター、Antoine Larmanjat

Neo4j チーフ サイエンティスト、Jim Webber 氏

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