Mambu: Google Cloud を使用した次世代型コアバンキングの構築
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2011 年に Mambu が創業されたとき、当社の創業者たちが掲げた目標は、最新のデジタル テクノロジーを銀行と金融の世界にもたらすことでした。特に銀行の世界では、数十年にわたって積み重ねられてきた従来型のテクノロジーに基づいて業界が構築されています。そのため当初、Mambu を受け入れたのはマイクロファイナンスでした。最初の 2 年間だけで、26 か国の 100 の組織に受け入れられました。
それ以降、コンポーズ可能なクラウド テクノロジーを使用したコアバンキング サービスのモダナイゼーションは、金融サービス機関(FSI)全体で受け入れられるようになりました。当社は現在、6 大陸にわたる大手銀行、フィンテック スタートアップ、その他の金融機関にサービスを提供しており、信頼できる柔軟でパーソナライズされた顧客中心の銀行商品とサービスを提供できるようサポートしています。
コンポーズ可能な Mambu バンキング プラットフォームを現在のペースで全世界にわたりスケールできた主な理由の一つは、Google Cloud とのパートナーシップです。Google Cloud の利用を進めるという決定は、いくつかの理由から行われました。
- 柔軟性とオープンさ。多くの FSI はハイブリッドおよびマルチクラウド型の技術スタックを使用しています。これは、まだ従来型のシステムから移行中であるか、データ所在地要件があり、地域によって異なるクラウドを使用している可能性があるためです。Mambu は、クラウド利用の段階を問わず、お客様に対応します。相互運用性をサポートし、ベンダー ロックインもありません。こうしたオープン性のニーズとスケーラビリティの利点により、Mambu は Google Kubernetes Engine(GKE)上でプラットフォームを進化させました。多くのお客様がオープンソースの Kubernetes を使用しているのは、この共通の基盤がインテグレーションの効率化、市場投入までの時間の短縮、開発業務の削減に役立つからです。同様に重要なのは、Google Cloud のオープン クラウド アプローチが当社の価値観と一致していることです。
- セキュリティとデータの所在地。規制の厳しい金融業界のお客様にとって、セキュリティは最優先事項であるだけでなく、最も重要な要件です。Google Cloud の安全なインフラストラクチャ、外部監査認証、暗号化に加えて、そのリージョンの幅広さにより、当社はより多くの国に展開できました。それぞれの国では、現地のデータ所在地要件を満たす必要がある銀行にサービスを提供しています。たとえば、Google Cloud のジャカルタ クラウド リージョンのおかげで、インドネシアの Bank Jago をサポートできるようになりました。Bank Jago は銀行口座を持たない現地の人々にさらなる金融包摂をもたらしています。
- 可用性。銀行にとって、サービスが中断されているなかでも、預金の受け入れや現金の提供などの基本的な金融機能を維持することは非常に重要です。当社は、完璧な冗長性、フェイルオーバー、障害復旧機能を備えたクラウド パートナーを必要としていました。


Mambu プラットフォームは、GKE の他にも、Cloud Armor、Cloud Load Balancing、Cloud VPN、Cloud Memorystore、Google Cloud Operations など、特定の機能に他のいくつかの Google Cloud サービスを使用しています。
Google Cloud との連携を選択したもう一つの重要な理由は、Google Cloud の広大なエコシステムとイノベーションに対する取り組みでした。当社は、お客様のニーズを満たすために独自の技術スタックをモダナイズする 3 年間の取り組みの途上にあります。
Google Cloud を使用したロードマップの構築
当社のお客様は、テクノロジーの最新の進歩に基づいて構築された革新的なサービスを市場投入するにあたり、自社とともに成長するコアバンキング テクノロジー プラットフォームを必要としています。Mambu がそのプラットフォームとなるには、当社の成長をサポートし、成長に合わせて拡張してくれるクラウド パートナーが必要です。当初、GKE の他に、いくつかの Google Cloud サービスの中から Compute Engine を選択してクラウド アーキテクチャを構築していましたが、今後はサーバーレスの採用を視野に入れています。サーバーレス環境では、より簡単なスケーリングや、Google Cloud とそのパートナー エコシステム内のマネージド サービスの活用を実現して、コアサービスの提供に集中できます。
以下、当社が準備しているモダナイゼーションとお客様主導のイノベーションのいくつかをご紹介します。
- GKE のワークロード増: 多くの企業と同様に、当社のクラウド変革は進行の途上です。コードベースの大部分は GKE にありますが、アジリティと速度を向上させるために、いくつかの大規模なコードをマイクロサービスに継続的に分割していく予定です。これにより、全体に影響を与えることなくプラットフォームの個別の領域に一貫したアップデートを行うことができます。GKE はマイクロサービスの大規模なオーケストレーションのリーダーであり、今後も当社の目標に適合していくことでしょう。
- ネイティブな BigQuery のインテグレーション: Mambu のお客様は、分析、パーソナライゼーション、その他のユースケースに使用できる膨大な量のデータをプラットフォーム内で収集しています。当社は、お客様が貴重なデータをより効果的に活用できるように、コアバンキング データを Mambu から BigQuery にフィードするためのシームレスなインテグレーションを作成することを計画しています。
- CloudSQL とセルフマネージド MySQL: 独自の MySQL インスタンスからマネージド Cloud SQL データベースへの移行がほぼ完了しました。これにより、BigQuery のインテグレーションなどの顧客中心のソリューションを実装する新たな機会が開かれます。
- Cloud Run によるサーバーレスの未来: Compute Engine は Mambu で適切に機能しており、パフォーマンスとコストのニーズのバランスを最適にする仮想マシンを選択できる柔軟性を提供します。時間とコストのさらなる効率化を追求するなかで、当社は Cloud Run 上に構築されたサーバーレス アーキテクチャの柔軟なスケーラビリティがそれを達成するものと考えており、将来的にはサーバーレスへの移行を検討しています。それにより、インフラストラクチャを抽象化して管理を簡素化するとともに、1 秒あたりのトランザクション数に関するお客様の高いニーズを満たすためにコンテナを起動し、不要なときにコンテナをスピンダウンし、実行した場合にのみ料金を支払うことができるようになります。また、セキュリティも向上します。長時間実行されるコンピューティングがなければ、パッチや修正は存在せず、新しいインスタンスはデフォルトで分離され、新しい状態になります。
これらは、Google Cloud サービスを最大限に活用して技術スタックの管理を簡素化し、セキュリティ、スケーラビリティ、パフォーマンスを継続的に強化する方法のほんの一例にすぎません。それ以外にも、イスラム銀行特有のデータニーズをサポートするための Dataproc と Datastream の使用、Mambu に対して独自のクエリを実行できるようにする Cloud Functions、AI 対応機能など、当社が検討しているアイデアはたくさんあります。
Mambu の使命は、お客様が世界中の誰にでも簡単に優れた最新の金融体験を提供できるようにすることです。Google Cloud が新しいデータセンターを開設するたびに、当社は新しい市場に参入できます。Google Cloud Marketplace 経由で新しいマネージド サービスに移行するたびに、お客様中心の銀行ソリューションを提供する新しい方法を構築する時間を確保できます。そのため、この Google Cloud とのパートナーシップを今後も継続していきたいと考えています。
-金融サービス パートナーシップ責任者 Anurag Mathur
-Mambu、プロダクト マネジメント担当 SVP Omar Paul 氏