通信大手が広告コンバージョンを向上させ、年間広告費を数百万ドル削減
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
広告の世界において費用を管理することは複雑な作業です。幸い、データ分析が進化したおかげで、マーケティング チームがキャンペーン費用あたりの成果をすばやく簡単に、詳しく把握することが可能となっています。ここで重要となるのは、できるだけ広範なチャネルとキャンペーンの種類について、広告効果の有無を正確に見極められるようなツールを選ぶことです。
4,500 万人以上のユーザーを抱える Virgin Media O2 は最近、顧客データ プラットフォーム(CDP)の見直しに着手しました。具体的には、顧客サプレッションによる関連性向上、類似ペルソナに基づく新規顧客開拓、クロスセルとアップセルに結び付く特典提供の 3 点を中心とした取り組みを行いました。この目標を達成するため、Virgin Media O2 は Google Cloud およびパートナーの Zeotap に協力を求めました。
その結果、Virgin Media O2 は年間広告費を数百万ドル削減したうえ、クリック率(CTR)を 38%、コンバージョンを 43% 向上させました。では、Google Cloud と Zeotap がどのように Virgin Media O2 の成功を支えたのかを見ていきましょう。
顧客サプレッションのアプローチを向上
「現在、どこの会社でも顧客サプレッションに集中的に取り組んでいます」と、Virgin Media O2 の有料トラフィック アクイジション責任者である Andy Lewis 氏は語ります。顧客サプレッションとは、特定のマーケティング キャンペーンに適さない顧客を除外して、これらの顧客に広告が表示されないようにする手法です。同氏は次のように続けます。「しかし、必ずしも成果があがっているわけではありません。当社でも、個々のユーザーに適した広告をいつでも表示できるようにするため、確実な仕組みを求めていました。Google Cloud、Zeotap と共同作業を始めた当初、いくつかあった優先課題の中でも、顧客サプレッションが喫緊のテーマでした。」
Zeotap はまず、Virgin Media O2 の協力を得ながら同社のビジネス上のさまざまな要件を整理し、リアルタイムのデータおよび分析を活性化できるような新しい CDP の必要性を理解しました。Virgin Media O2 のデータは当時、オンプレミスのレガシー インフラストラクチャ、クラウド プラットフォーム、顧客管理(CRM)プラットフォームなどの各種ソリューションなど、数百におよぶデータソースに分散していました。
Virgin Media O2 は従来、顧客サプレッションを行うために CRM データからプロファイルを作成し、それを個々のアクティベーション プラットフォームに手動でアップロードするという手順を踏んでいましたが、わずか 1 桁のサプレッション率に甘んじていました。
Zeotap CDP は Google Cloud を基盤としており、単体の BigQuery データ ウェアハウス内にある複数のソースからデータを簡単に取り出せるのが特徴です。Zeotap と Virgin Media O2 は、個々のユースケースを数百のデータソースではなく戦略的に特に重要な 3~5 件にリンクすることで、システム内のデータ品質を維持して価値を最大化するよう努めました。
Lewis 氏は次のように述べています。「Zeotap は Virgin Media O2 のビジネスを理解し、大きな違いをもたらしてくれました。Zeotap の仕事の速さにも感動しました。契約を結んでから、わずか 4 か月で新しい CDP が稼働し、結果を出してくれたのです。顧客サプレッションはすでに 70% も向上しており、正しい方向に向かって大きなステップを踏み出しています。」
Virgin Media O2 はこの CDP の運用を始めて以来、ペルソナの詳細分析や、既存顧客と見込み客の判別、冗長な広告費用の削減に役立てています。これにより、ユーザーに表示する広告の的確性が増すとともに、貴重なリソースを効果の低い広告キャンペーンに無駄に費やすことがなくなりました。
浮いた費用をカスタマー エクスペリエンス向上に投資する
プロジェクトの最初のフェーズで顧客サプレッションが向上し、Virgin Media O2 が削減した年間広告費は数百万ドルにのぼりました。同社は、ここで浮いた費用を使って、マーケティング キャンペーンのカスタマー エクスペリエンス向上をさらに追求しています。
Lewis 氏は次のように説明します。「顧客の的確な見極めによって成果をあげることができたので、次に取り組むべき課題は、類似戦略による新規顧客開拓です。このために必要になる CDP のデータソースは、比較的数が限られています。Zeotap の直感的に使いやすい、よくまとまった UI のおかげで、類似戦略を簡単に調整して改善し続けることができます。」
Google Cloud、Zeotap のソリューション、そして Google アナリティクスは、Virgin Media O2 の広告キャンペーンの実施方法に大きな影響を与えました。Lewis 氏は次のように説明します。「新しい CDP が稼働して以来、当社の広告戦略のさまざまな指標で向上が見られました。これは始まりにすぎません。これまで、広告単価を 38% 削減して広告費の無駄が省かれた一方で、コンバージョンが 43% アップするなど成果も向上しています。今後は、このようにして浮いた費用を再投資に回し、卓越したカスタマー エクスペリエンスをさらに追求したいと考えています。」
通信会社の成功の法則
Virgin Media O2 は、CDP を刷新してマーケティングを変革しました。具体的には、オーディエンス ペルソナを設定するために複数のプラットフォームを操作せずに済むようにし、すべての処理を一元化しました。また、Google Cloud、Google アナリティクス、Zeotap のソリューションを合わせて使用することで、キャンペーン案を実行に移すまでの時間も短縮しています。
Lewis 氏はこう説明します。「新製品のリリースにあたって、マーケティング チームは豊富かつ詳細な顧客分析情報をすぐに入手できます。これまでキャンペーンの作成に 2 週間かかっていたのが、社員の力だけでわずか数時間で行えるようになりました。さらに、キャンペーンのパフォーマンスをニア リアルタイムで確認できるため、手法を簡単に微調整して効果を最大化できます。」
Zeotap のマネージング ディレクター兼チーフ ビジネス オフィサーである Florian Lichtwald 氏は次のように語ります。「Virgin Media O2 の成功事例が示すように、通信会社は CDP をモダナイズしてユースケース情報を反映させることで、広告費用対効果(ROAS)を向上できる大きな可能性を秘めています。ユースケースに基づいて CDP を構築することで、新規顧客ならびに既存顧客を費用対効果の高い方法で確実に引きつけることが可能となります。」
Zeotap をはじめとするパートナーが、通信会社のパフォーマンスを向上するためにどのような取り組みを行っているかの詳細については、同社も参加している Google Cloud Partner Advantage プログラムをご覧ください。