コンテンツに移動
Next Tokyo

4 年ぶりとなる Google Cloud Next Tokyo ’23 の基調講演で、中外製薬が生成 AI の活用について紹介

2023年11月15日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/Chugai_Next.max-2400x2400.png
Google Cloud Japan Team

Google Cloud は、本日 11 月 15 日から 2 日間、4 年ぶりとなる Google Cloud Next Tokyo '23 を開催しています。

大きな進化を遂げている生成 AI と AI、機械学習をテーマとした DAY 1 基調講演において、中外製薬株式会社の上席執行役員 デジタルトランスフォーメーションユニット長 志済 聡子 氏が、新薬創出を加速するために Google Cloud の医療機関向け生成 AI モデルである Med-PaLM 2 を活用することを発表しました。

中外製薬は、2019 年より業界でもいち早くデジタル トランスフォーメーション(DX) 推進体制をスタートさせ、2023 年 8 月には Google Cloud の機械学習やデータ分析を活用して創薬プロセスの迅速化を進めていることを発表しています。

中外製薬では、Google Cloud の AI や機械学習の技術を取り入れることで、AI の「専門性」と「民主化」という 2 つの方向を目指しています。「専門性」では、創薬の初期段階における推論のプロセスを効率化します。従来の創薬のプロセスでは、病気の作用を抑える化合物やタンパク質の構造を研究し、研究者の知見と経験から蓄積されたデータをもとに膨大なトライ アンド エラーを繰り返しながら候補薬を開発していました。そのため、1 つの薬を生み出すのに、10-15年の期間と3,000 億円以上の膨大なコストがかかっていました。中外製薬は Google のグループ企業である Google DeepMind が提供しているオープンソース ソフトウェア AlphaFold2 を活用して、1 日に 1,000 個以上のタンパク質構造を推論できるシステムを構築することで、研究プロセスを数か月単位で短縮し、効率的により多くの薬の候補を創出することを期待しています。

一方、専門性の高い AI は、一部の技術者やデータサイエンティストでないと扱えないという課題も抱えていました。そこで、高いデジタルスキルを持たない研究者でも AI が活用できるよう、社内 Web アプリ化することで、AI の「民主化」を推進しています。

さらに、高度な専門性と正確性を担保しながら、効率的に臨床試験計画を作成するため、中外製薬ではこの度、新たに Google の AI 基盤および医療用大規模言語モデル(LLM)Med-PaLM 2 の採用を進めています。Med-PaLM 2 は、米国医師国家試験で「エキスパート」レベルの成績を収めた LLM であり、難しい医学文章の内容を用いて質問に答えたり、洞察をまとめたりすることができます。X 線やマンモグラフィーなどの情報も統合するためのマルチモーダル機能も搭載されています。

Med-PaLM 2 を活用することで、チャットボット形式で膨大な量の治験関係文書を短時間で検索、処理し、臨床試験計画に必要な情報を抽出することができます。また、文書のドラフトを代行することで、臨床試験計画の作成にかかる時間を大幅に短縮することが可能になり、よりスピーディーに臨床試験を開始し、薬を必要な患者へより早く届けることが期待されます。

中外製薬株式会社 上席執行役員 デジタルトランスフォーメーションユニット長 志済 聡子氏のコメント

「中外製薬は、 DX に関わるチームメンバーがさらにステップアップし、また、AI を活用できる人材育成を加速するため、単なるクラウドベンダーではなく、パートナーとして共にゴールを目指していける Google Cloud を採用しました。今後、中外製薬は、AI 技術を活用して医薬品開発の成功確率向上を推進するとともに、創薬プロセスの時間やコストを大幅に短縮し、圧倒的な効率化と革新を実現します。」

グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表 平手 智行のコメント

「日本の製薬業界において、生成 AI を活用した創薬研究の DX が進んでいます。中外製薬は、すでにマルチクラウド環境で Google Cloud を用い、新薬創出を加速させています。この度、Med-PaLM 2 の活用により、新薬創出プロセスの大幅な短縮と医薬品開発の成功をご支援できることをうれしく思っています。」

Google Cloud Next Tokyo ‘23 に関する詳細はこちらをご覧ください。

投稿先