多様性を持つ人材を活かして職場を強化
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 7 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
神経多様性に対する私の情熱は、10 年前に自閉症の子供や大人、そしてその家族のために活動している財団である Els for Autism に携わったことから始まりました。当時、自閉症の息子を抱えていた私の友人は、自閉症に関する情報を探すのに苦労していました。この組織は、自閉症スペクトラムを持つ人々の受容とインクルージョンを促進して、彼らが独立して生活し、才能やスキルを活かした仕事を見つけられるよう支援しています。自閉症の人々が職場で働けるよう取り組む姿勢に、私は深く共感しました。なぜなら、私にもキャリアを通じて自閉症を持つ人たちと一緒に働いたさまざまな経験があるからです。
自閉症を持つ人々の割合は人口の約 2% と言われていますが、診断を受けていない人も多いため、実際にはこの数字はかなり少ないと推定されています。診断を受けた人の中でも、その生活においてなんらかの報酬を伴う仕事をしたことがあるのはたったの 29% です。私は、この事実に胸が痛みました。というのも、どのような組織においても、自閉症の人は職責を十分以上に果たし、周囲に貢献するプロフェッショナルになり得るからです。また、採用責任者や面接担当者が無意識に抱いてしまう偏見により、面接プロセスが困難になることも多々あります。たとえば、候補者が面接担当者の目を見なかったり、テストを完了するのに通常より長い時間がかかる場合などです。このような偏見が影響して、優れた候補者を意図せず過小評価してしまい、職場に貢献できる貴重な人材を逃してしまうことがあります。
Google Cloud の自閉症キャリア プログラム
このような考えを踏まえ、このたび Google Cloud の自閉症キャリア プログラムの開始を発表できることを大変嬉しく思います。このプログラムは、急速に成長しているクラウド業界において、自閉症を持つ才能ある人々の雇用を促進することを目的としています。
Google はスタンフォード神経多様性プロジェクト(スタンフォード大学医学部の一部)の専門家と協力し、雇用者に向けて、神経多様性を持つ人が職場で活躍するための機会や成功指標についてのコンサルティング サービスを提供しています。
このプログラムの重要な柱の 1 つに、最大 500 人の Google Cloud マネージャーや採用プロセスに関わる人たちの育成が挙げられます。私たちの目標は、こうした Google 社員が自閉症の候補者と効果的に親身になって仕事ができるようにすること、そして Google の研修プロセスが誰にとっても利用可能で、公平なものであるようにすることです。また、スタンフォードは応募者に対してコーチングを実施するとともに、Google Cloud チームの一員となった後も応募者とその同僚やマネージャーに継続的なサポートを提供していきます。
私たちは、自閉症の候補者が直面しがちな障壁を打破するために、このアプローチを採用しています。偏見に加え、適切なツールなしでどのように面接を構成、実施するかといった課題が生じることもあるでしょう。これらの理由から、このプログラムの候補者に対しては、面接時間の延長、質問内容の事前提供、電話での口頭でのやりとりではなく Google ドキュメントを使った面接の実施など、合理的な配慮を行います。このような配慮は、それを受ける候補者に不当な優位性を与えるものではありません。むしろ正反対です。不当な不利益を取り除くことで、候補者は仕事を手に入れるための公正で平等なチャンスを得ることができるのです。
このプログラムは、インクルージョンに対する Google Clouds の取り組みの一例であると同時に、Google の価値観をより強く反映したチームを構築し、お客様やステークホルダーの価値を創造するための重要な一歩となります。