クオンツ投資研究を拡大するための 4 つのステップ
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 6 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
投資管理業界はデータを多用する業界であり、ポートフォリオ管理者や投資研究者にとって、投資戦略を策定するには数多くのデータソースが必要です。
新しいクラウド機能やテクノロジーを導入すると、投資管理会社はデータをこれまで以上に迅速に処理し、アイデアをすばやく反復処理することで、シグナル生成プロセスにおけるイノベーションを促進して、競争力を高めることができます。
投資研究のワークフローにクラウドを利用すれば、データ プロバイダからデータを取り込み、市場の変動時や調査サイクルが多いときには大規模なコンピューティング ワークロードを立ち上げ、マーケット インサイトを得るための複雑な機械学習や自然言語処理のワークフローを管理することが容易になります。
業界のリーダーは、これまでにない新しい投資研究の方法を模索していると話しています。Greenwich Associates の市場構造および技術担当シニア アナリストである David Easthope 氏は、次のように述べています。「投資戦略を差別化するには、新しいタイプの情報源と、その情報を処理するための新しい方法が必要になります。これはもちろん、信頼性が高くスケーラブルなストレージ、コンピューティング、AI / ML リソースを利用できるかどうかに大きく依存しています。より具体的に言うと、クオンツ戦略では、クラウドが提供するコンピューティング プラットフォームと、組み込みの AI / ML リソース機能によるメリットが得られることになります。」
Google Cloud では、投資研究のワークフローをクラウド化することで、投資マネージャーがすばやく業務や運用を行ううえで不可欠なコンポーネントを提供します。主なポイントは次のとおりです。
1. データの取得、検出、分析を簡素化し高速化する
投資戦略の基本とは、まずデータを取得し、パターンを検出して、詳細情報を分析することです。データ プロバイダが高性能な分析エンジン内で Tick History のような大きなデータセットを簡単に共有できるようにすることで、可能であればデータ エンジニアリングのオーバーヘッドを大幅に削減できます。
データがオンボーディングされると、データセット関連のビジネス メタデータや技術メタデータをタグ付けできるようになり、ポートフォリオ管理者は検索インターフェースを使ってこうしたデータセットを検出できるようになります。
Google ではさらに、大量のデータセットの集約やダッシュボードの作成、ストリーミング分析ワークロードの導入など、さまざまなシナリオに対応できる分析オプションの導入を検討しています。
2. バースト コンピューティング ワークロードを活用する
データ エンジニアや研究者は、バックテスト、ポートフォリオのシミュレーション、リスク計算を実施するうえで、バースト コンピューティング ワークロードにいつでもアクセスできる必要があります。クラウドは、こうしたワークロードに適応できるよう、弾力性や従量課金制といった特長を備え、ハードウェアも進化しています。
投資管理会社の多くは、大勢の研究者を抱える環境で整合性やスケーラビリティ、効率を高めるために、Kubernetes ベースのスケジューラと併せて、コンテナベースの戦略に移行しています。Google Cloud マネージド サービスと豊富な CI / CD ツールを使えば、セキュリティとデベロッパーの生産性を高めつつ、こうしたビジョンを実現できるのです。
3. 機械学習(ML)やモデルのデプロイにクラウドを活用する
クオンツ研究者が、膨大な量の市場データソースやその他のデータソースを精査し、シグナルや相関関係を探し出すと、ML エンジニアはこうしたシグナルを本番環境へ移行させなくてはいけません。
Google Cloud の包括的な MLOps ツールを使えば、貴重な時間を無駄にすることなく、モデルを作成して運用できるようになります。
本稿では、ML とモデルのデプロイ向けのソリューションを複数ご紹介しています。こうした機能によって ML モデルの運用にかかる時間が短縮されるので、クオンツやデータ サイエンティストは、差別化により多くの時間を割くことができるようになります。
4. 自然言語と Document AI を使って必要なデータの取得時間を短縮する
毎日作成される財務報告書、ニュース記事、セルサイドの研究レポートは何千件にもなり、この大量の情報を人間だけで処理することは困難です。多くの場合、こうしたドキュメントは多言語で作成されているため、それぞれの言語でエンティティ認識、感情分析、構文分析を行い、場合によってはポートフォリオ管理者の言語に翻訳する能力が非常に重要になってきます。Google Cloud では、事前トレーニング済みのモデルを使って、こうした機能を提供できるほか、独自のデータセットを使って高品質なモデルをトレーニングすることも可能です。
開始方法
投資マネージャーを支援する新興のテクノロジーやツール、アプローチは、今日では数多く存在します。Google Cloud では、こうした重要なコンポーネントにアクセスして整理し、利用できるようにすることで、皆様のリサーチがより迅速かつ確実に、そして価値あるものになるようサポートしています。
効果的な投資研究を行ううえでの 4 つのポイントについて詳しくは、ホワイトペーパーをご覧ください。
-Google Cloud プリンシパル アーキテクト Colman Madden