Next の発表: すべての人に対してマルチクラウドの利便性を高める
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
私と同じなら、Google Cloud Next から発信されるすべての情報を追うことは、良い意味で少し大変かもしれません。なぜなら今は、とてもエキサイティングなことに溢れているからです。そこで自分と皆さんのために、Next の 2 日目に行われた重要な発表のいくつかをまとめ、その発表に私が心踊らせる理由の背景についてご紹介したいと思います。
中心となるテーマのひとつは、Google Cloud によって、お客様がどのようにしてハイブリッド環境やマルチクラウド環境の構築、管理を簡素化するかについてでした。大規模なエンタープライズ環境を長年管理してきた私にとって、これはすべて耳寄りな情報でした。デベロッパーと実務担当者は、多くの異なる環境でコードを実行する必要がある環境に置かれています。さらに多くの場合、このような環境には、独自の管理ツールセットが備えられています。長年、アプリが実行されている異なるプラットフォームを管理、モニタリングできる一元化された場所である理想的な「単一画面」が待ち望まれていました。昨日の発表で、他のパブリック クラウドから自社のデータセンターのベアメタルや VM まで、企業にとって重要なあらゆる場所でワークロードを管理できる Google Cloud の方向性について聞き、かつてないほど胸の高鳴りを感じました。
それでは、発表された内容を少し掘り下げて見ていきましょう。
VM 用 Anthos
現在、多くの組織が、新しいアプリケーションのターゲット プラットフォームとして Kubernetes を標準化しようとしています。しかし、このような企業では、多くの場合 VMware vSphere 上の仮想マシンで、何百ものアプリケーションが実行されています。つまり、IT スタッフは、コンテナ化されたワークロードと VM ベースのワークロードにそれぞれ別のツールセットとプロセスを使用しなければなりません。数えるなら、もう一つの単一画面です。
VM 用 Anthos は、オペレーターが VM ベースのアプリケーションを Anthos で一元管理することで、この複雑さを軽減することを目的としています。VM 用 Anthos は、いくつかの異なる方法で使用できます。まず、VMware vSphere に多額の投資をしていて、VM からコンテナへの大規模な移行の準備がまだ整っていない場合は、vSphere インスタンスを Anthos コントロール プレーンに接続できます。この運用モードでは、ワークロードの移動を余儀なくされることはありませんが、運用ポリシーやセキュリティ ポリシーの一元化など、多くのメリットが得られると同時に、Anthos ダッシュボードから運用の健全性に関する分析情報を取得できます。このような VM はそのままで、統合された Anthos ベースのコントロール プレーンに「アタッチ」されます。
組織がライセンス費用の削減や複雑さの軽減のために、既存の仮想化プラットフォームから VM ワークロードを移行したいと考えている場合にも、VM 用 Anthos が役立ちます。VM 用 Anthos では、Kubernetes 上で VM を実行するためのオープンソース ソリューションである Kubevirt を使用しており、従来の VM 管理プラットフォームから Kubernetes にワークロードを「シフト」できます。 先ほど述べたセキュリティ ポリシーや統合されたオブザーバビリティなどのメリットが得られるだけでなく、コンテナ化されたアプリケーションと仮想化されたアプリケーションの両方を実行して管理するための、単一のツールセットを持つことになります。
私と同じように、「移行に焦点を当てるべきワークロードの種類は何か」と悩むかもしれません。VM 用 Anthos は、モノリシック アプリケーションだけでなく、仮想ネットワーク機能(仮想化されたファイアウォールやルーターなど)にも最適です。このようなガイダンスに従っても、移行を検討できるアプリケーションはまだ多数あるかもしれません。どのアプリケーションが最適かを絞り込むために、最新の適合性評価ツールをご利用いただけます。このツールを使って、ワークロードを分析し、移行するためにどの程度の労力が必要かを確認できます。
今回の発表でとても嬉しかったことがいくつかあります。まず、これはオール オア ナッシングではないのです。vSphere インスタンスの一部を Anthos にアタッチし、その他多くの VM を Anthos 上で直接実行するようにシフトすることも、一部をそのままにしておくこともできます。どのようにするかは、IT とビジネスの両方の視点から、組織にとって何が最も理にかなっているかによって判断されます。
統合型 API でマルチクラウドの利用を簡素化
Next のもう一つの大きな発表は、マルチクラウドに関するものでした。具体的に言うと、新しい Anthos マルチクラウド API です。現在、Anthos が支持を得ている理由は、異なるクラウド プロバイダを含むさまざまな環境全体でワークロードをデプロイ、管理するための統一された仕組みを、お客様が求めているからです。
これまで AWS 上で Anthos クラスタを実行できましたが、先日、Azure 版 Anthos クラスタのサポートをプレビューとして導入しました。2021 年第 4 四半期に登場する Anthos マルチクラウド API のリリースにより、Anthos クラスタの実行がさらに簡略化されます。この新しい API により、コマンドライン、API、Google Cloud Console のいずれを使用しても、統合されたツールセットで、複数のクラウド プロバイダの Anthos クラスタを簡単にデプロイ、管理でき、統合されたエクスペリエンスが得られます。
GKE から利用中のデータセンターまで Anthos 機能の使用を簡略化
お客様と Anthos についてお話しすると、「Anthos の機能はとても気に入っていますが、現在提供されているすべての機能を必要とはしていません。既存の GKE クラスタで [X 機能や、X コンポーネント] だけを実行できればよいのですが。」という声をよく耳にします。Google はこの 1 年ほど、そのようなご要望にお応えするために取り組んできました。例えば、Anthos Service Mesh(ASM)と Anthos Config Management(ACM)の両方を Anthos クラスタと GKE クラスタで実行が可能で、GKE 上の ACM と ASM にはスタンドアロン版の料金が設定されます。また先日、Google は ASM でハイブリッドのデプロイモデルをサポートすることを発表しました。つまり、クラウドとオンプレミス リソースにまたがる単一のメッシュを持つことができるのです。これもまた、同じ技術を複数の環境やデプロイ パターンで活用することで、ツールやプロセスを簡素化した例です。
まとめ
本日の発表により、単一の画面という理想的なビジョンの実現に一歩近づきました。Anthos を使用すると、複数のクラウド プロバイダで実行されるコンテナ化されたワークロードだけでなく、VMware またはベアメタルで実行されるオンプレミスを安定的に管理できます。さらに、vSphere クラスタや Anthos クラスタ上で実行されている VM の管理機能も加わり、ツールセットやプロセスが大幅に簡素化されました。
まだご覧になっていない方は、昨日の発表をご覧いただくか、ブログ投稿をお読みいただき、今週のリリースに関する詳細をご確認ください。その後、Anthos ページにアクセスして、今すぐに Anthos を使って複雑さを軽減し、柔軟性を高める方法についてご覧ください。
- Cloud デベロッパー アドボケイト Mike Coleman