ロードアイランド州が仮想キャリア センターを構築した方法

Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 3 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2020 年には、特に対面式の業務が停止され、多くの人が失業の危機に陥る状況が続くなど、多くの課題が発生しました。
ロードアイランド州は、こうした課題に対処するために、人材開発業務をモダナイズし、仮想キャリア センター(ニックネームは「VCC」)というカスタム オンライン プラットフォームに全面的に移行しました。


VCC は Google Cloud と非営利団体「Research Improving People's Lives」(RIPL)とのパートナーシップによって開発され、Google Cloud パートナーの Maven Wave によって全面的に構築されました。Maven Wave は公共部門の顧客をはじめとする幅広い組織におけるさまざまなタイプのクラウド導入を支援しています。


Architecting with Google Cloud のこのエピソードでは、インタビューを行った MavenWave のデジタル エクスペリエンスおよびカスタム アプリケーション担当責任者である Joel Osman 氏が、次のような多くの知見を共有してくれました。
私たちは、最先端の新技術を応用して求職者の復職を支援する方法を検討し、その技術をツールとして活用することで、これまで雇用仲介業者が行ってきた求職者との 1 対 1 の対話を拡大し、復帰を支援することができると考えました。
その主なメリットの一つは、求職者がそれぞれの地域に特化したジョブコーチを見つけられることです。対面式で予約なしの場合、求職者は、来た順でその場の空いているコーチとペアを組んでいました。これに対し、オンラインによるスケジュール設定では、退役軍人、大卒者、英語を話さない人などが、特定の分野で経験のあるコーチとマッチングされるようになりました。
VCC の構築
この VCC のウェブアプリは、Angular で構築されていて、カスタム フロントエンドが 2 つの主要な Google Cloud プロダクト上に構築されています。一つ目は、ビデオ会議、ドキュメント、スライド、チャット、ファイル ストレージなどの機能を備えた Workspace で、もう一つは、Google Cloud のコンピューティング リソースです。以下はアーキテクチャの図です。


ジョブコーチ、求職者、雇用主が Google Cloud と Workspace のアーキテクチャで情報をやりとりする構造。
現時点でのユーザーは、ジョブコーチ、求職者、雇用主の主に 3 タイプになります。
?? ジョブコーチは全員 Google Workspace ドメインの Google ID を持っていて、Google ID リポジトリに対して認証を行います。
?️♂️ 求職者は、先述した非営利団体(RIPL)、ロードアイランド州のインフラストラクチャ チーム、情報技術局(DoIT)が管理する Cognito ベースのプロセスを通じて認証されます。Cognito は、州と情報のやりとりを行うユーザーのための ID リポジトリ設定で、このプロジェクトに先立って使用され、現在も認証方法として使用されています。
? 雇用主は、Google Meet や、場合によっては Google カレンダーに直接参加しますが、Angular アプリには参加しません。また、センターが求職者と雇用主をどのように支援したかを確認するために、今後のダッシュボードの構築にも注目しています。
具体的には以下の Google Cloud のコンポーネントを使用します。
Firestore: クライアント アプリ間でデータの同期をリアルタイムで維持するデータベース。
BigQuery: サーバーレスのデータ ウェアハウス。
データポータル: BigQuery 上でフィルタリング可能なダッシュボードを構築するために使用。
Cloud Functions: スケジュール設定とデータ ワークフローの同期を維持するためのトリガーとして機能する。
Kubernetes 単一リージョンへのデプロイでサーバー側のコードを実行して自動スケーリングする。米国東部リージョンの 3 つのゾーンで、ゾーンごとに 4 つ以上のノードを備えている。
Cloud Armor: アプリケーションやウェブサイトを攻撃から保護し、NIST に準拠したポリシーを設定する。
Google のコンテンツ配信ネットワーク(CDN): コンテンツにアクセスし、キャッシュに保存する。
インフラストラクチャのライフサイクルを管理するために、オープンソースのツールである Terraform スクリプトを使用し、以下の 5 つのフォルダ環境に分けて構造化しています。
管理者
開発者
QA と UAT
ネットワーク
本番環境
共有サービス(開発者と本番環境の間の CI / CD パイプラインに使用)
導入の成果
技術担当なら誰でも抱くであろう懸念には次のようなものがあります。
対象ユーザーはこのツールを気に入って、採用してくれるだろうか?
Osman 氏は、当時はジョブコーチが在宅勤務に不慣れで、チームはコーチが新しい多くの技術に圧倒されるのではと懸念していた、と指摘します。
ジョブコーチに概念実証を提示したところ、ポジティブに受け止めてもらえたのは嬉しい驚きでした。
ジョブコーチの 95% が VCC を価値あるソリューションと評価し、87% が「とても効果的」または「極めて効果的」と回答しています。
このような賛同を得られたのは、ユーザーを念頭に置いてツールを設計し、開発当初からユーザー調査を実施して、日々のニーズに対応できるようにしたからです。


未来に向けた新たなイノベーション
一元化されたハブを作り、業務をデジタル化することで、さらに多くの利点が生まれます。たとえば、統合されたデータのアナリティクス ビューでは、求職者、コーチ、プログラム関係者、州の機関など、さまざまなユーザー向けにカスタマイズできる有意義なダッシュボードを作成できます。


Maven Wave による分析ダッシュボードのスクリーンショット
キーワードをそのまま検索するだけでなく、機械学習を統合して履歴書からキーワードを取り出し、関連するさまざまなジョブクラスタと照合して履歴書の作成と解析をサポートすることで、仕事の検索可能性が向上します。


Maven Wave による ML 自然言語に基づく求人情報検索のスクリーンショット
また、chat bot を組み込み、自然言語処理を活用し、迅速に回答して求職者をサポートすることで、州のコールセンターの負荷軽減にも貢献します。


結論
ロードアイランド州の仮想キャリア センターは、素晴らしい成功事例です。経験豊富なパートナーと連携して業務をデジタル化したことで、対面式の業務ができない期間にも市民のニーズに応えることができたのです。また、その過程で、より有効なマッチングやレポートを行う機会を見出しました。
Maven Wave によると、公共部門、大学、民間企業など、あらゆる組織がこのプラットフォームを活用し、ニーズに合わせてカスタマイズできるように、要件、IT リソース、予算に応じて機能を選択できるオプション メニューを提供するとのことです。
- Google Cloud、デベロッパー アドボケイト Alexandrina Garcia-Verdin