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政治広告透明性レポート データセットの使用方法

2023年2月3日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

2022 年は、世界中でいくつかの大きな選挙が行われました。2023 年と 2024 年にも多くの国で選挙が予定されているため、Google が提供している、選挙広告関連の一連の透明性ツールを再度紹介したいと思います。

選挙広告は、民主的なプロセスにおける重要な要素です。候補者は広告を使用して自分のキャンペーンの認知度を高め、情報共有を行い、投票してくれるかもしれない人たちに訴えかけます。私たちは、Google のプラットフォームでの選挙広告を信頼に値するものにしたいと思っています。そのため、私たちは 2018 年、選挙広告の掲載を望むすべての広告主に適格性の確認プロセスを完了するように要求する、選挙広告に関する適格性確認ポリシーをリリースしました。広告主の身元の確認、広告主が選挙広告を掲載するための特定の資格要件を満たすことの確認などが、このポリシーに含まれています。現在、選挙広告に関する適格性確認は、35 か国以上でサポートされています。

また Google は、この適格性の確認プロセスで収集された情報を使用して、政治広告透明性レポートをリリースしました。このレポートでは、選挙広告ポリシーに基づいて Google 広告、YouTube、Google ディスプレイ&ビデオ 360 で公開された広告に関する重要な分析情報やデータが提供されます。

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政治の透明性に関するデータセットの、ユーザー フレンドリーなインターフェース

このブログ投稿では、データセットで利用できるデータとそのアクセス方法、いくつかの活用例をご紹介します。これを読めば、このような情報から得られる貴重な分析情報についてより深く理解できるようになるはずです。このデータをご利用いただき、Google とともに選挙広告のエコシステムにおけるアカウンタビリティを向上させましょう。

データセットの活用方法

選挙広告透明性レポートの対象となる広告の条件と、データセットで公開されているデータについて詳しく見ていきましょう。

データセットには、確認済みの広告主が Google 広告、YouTube、Google ディスプレイ&ビデオ 360 に掲載する選挙広告についての情報が含まれています。Google における選挙広告の定義は、対象とする国または地域によって異なります。たとえば米国では、州レベルまたは連邦政府の候補者または官職保有者、政党、投票法案に言及する広告を掲載することを望む広告主は、適格性の確認プロセスを完了する必要があります。そうすることで、その広告は透明性レポートの対象になります。

2018 年から始まるこのデータセットは、広告を 7 年間保持します。データセットには広告クリエイティブそのものに加えて、次のような広告に関する意義深いデータが含まれます。

  • ターゲット オーディエンス(広告主は、年齢、性別、コンテキスト、おおよその地域という 4 つの大きなカテゴリのみを選挙広告のターゲットとして設定できます)

  • 広告を見たユーザー数

  • 広告に対して支出された費用

これらの特徴は、業界における透明性とアカウンタビリティに対する Google のコミットメントを示す典型的な例です。ジャーナリストや研究グループは選挙広告支出に関する傾向を把握するうえでこの透明性レポートのデータセットが非常に役立つと感じています。それだけでなく、このデータとその開示によって、投票者は Google で目にする選挙広告についての信頼のおける情報を得ることができています。

選挙広告データセットにアクセスする

このデータセットにアクセスするには、使いやすいインターフェースを使用するか、SQL で BigQuery で利用できる一般公開データセットを使用します。

2022 年に更新されたインターフェースには対話型のプルダウン ツールが含まれており、ユーザーは特定の広告主、候補者、地域、広告フォーマット、形式、期間を選択およびフィルタできます。結果として適合する広告が表示され、表やグラフなどのわかりやすい可視化された形式で、分析情報が自動的に生成されます。また、広告主の経時的な支出額と地域ごとの支出額に関するレポートを作成することもできます。このようなレポートにより、選挙広告に資金を投じている人が誰なのか、どの地域に資金が投じられているかについての貴重な情報を得ることができます。

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UI を使用して、米国で 2018 年 5 月 31 日から 2022 年 12 月 13 日までに表示された広告についての上位の広告主を表示する

BigQuery の一般公開データセットを使用すると、SQL を使用してデータを分析できます。たとえば、データを他の一般公開データセットや、BigQuery に読み込んだ個人のデータと結合できます。さらに、BigQuery API を使用したデータへのアクセス、Looker Studio またはコネクテッド シートでのデータの可視化、Google Cloud のサービス間でさまざまな目的のためにデータを統合することなども可能になります。

これから、UI を使用した検索や、BigQuery でのデータ分析の例をいくつか紹介します。

選挙広告データセットのユースケース

地域ごとの広告費用に関する調査

ユーザー インターフェースを使用すると、特定の地域における広告支出を検索して分析できます。地域には、国全体のような広い範囲から、特定の州または下院選挙区のような狭い範囲までを設定できます。例として、2018 年から 2022 年までのアラバマ州での支出を検索すると、上位の広告主や、選挙区ごとの支出額を確認できます。

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アラバマ州での選挙広告費用(2018 年~2022 年)

ターゲット政治広告の調査

データセットを使用して、ターゲット ユーザー層に対する政治広告の広告主を特定することもできます。たとえば BigQuery を使用して、2022 年 11 月 8 日に行われた米国中間選挙前の 6 週間に、フロリダ州の女性をターゲットとした政治広告の広告主を特定するクエリを作成できます。

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BigQuery コンソールでこのクエリを実行すると、結果として 149 の広告と、広告主の名前、広告主のページ、広告のターゲットである性別と地域、このユーザー層に対してその広告主が掲載した選挙広告の合計数などの詳細が表示されます。

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BigQuery コンソールでのクエリ結果

インプレッションが多い選挙広告の調査

別のユースケースは、たとえば 100 万回以上など、インプレッションが非常に多い選挙広告の分析です。これを行うには、BigQuery で次の SQL クエリを使用します。

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クエリによって 24,790 を超える広告が返されます。各行には選挙広告 ID(これは UI で広告を見つけるのに役立ちます)、インプレッション、広告主の名前、選挙広告詳細へのリンクなどの追加情報が含まれます。選挙広告詳細のリンクをクリックすると、その広告に関する情報をさらに確認できます。

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インプレッションが 100 万回に達した広告の数と、選挙広告のその他の詳細を調べるクエリの結果

次のステップ

これらは、政治広告透明性レポートの数ある活用方法のうちのほんの一例にすぎません。

データセットを活用するためには、ビジュアル UI の利用をおすすめします。たとえば、特定の広告主が掲載したすべての選挙広告を確認できます。その後、BigQuery サンドボックスを作成して、BigQuery データセットに対して SQL クエリを無料で実行できます。BigQuery サンドボックスを使用する場合、無料枠の範囲内で、データに対してクエリを実行できます(クレジット カードは不要です)。課金を有効にして無料枠の基準を超えて使用した場合は、BigQuery の料金が適用されます。

政治広告透明性レポート データセットの詳細については、Marketplace リスティングをご覧ください。


このブログ投稿に協力してくれた Juan Uribe(ソフトウェア エンジニア)と Michael Yu(ソフトウェア エンジニア)に感謝します。


- デベロッパー アドボケイト Bukola Ayodele
- プロダクト マネージャー Steve Weiss

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