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顧客事例

ワークマン、Gemini と Veo で EC コンテンツ制作を変革──「少数精鋭」で挑む新たな顧客体験

2025年11月20日
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Google Cloud Japan Team

作業服・作業用品の専門店から、高機能・低価格製品でアウトドアやスポーツ、ふだん着の領域へもフィールドを広げ、近年目覚ましい成長を遂げている株式会社ワークマン(以下、ワークマン)。現在では約 2,000 アイテムもの多品種を展開し、お客様に「選ぶ楽しさ」と「ワクワク感」を届けています。

しかし、全国に 1,000 店舗以上を展開しながら、社員数は 500 名以下という少数精鋭チームで運営するワークマンにとって、魅力的な商品を顧客に伝えるためのコンテンツ制作は大きな挑戦でした。

この課題を解決するため、ワークマンは Google Cloud のメディア系生成 AI である Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)や Veo、さらに実験的な取り組みとして Virtual Try-on(VTO)API の活用を開始しました。EC サイトにおける顧客体験の向上から、社内コミュニケーションの円滑化まで、すでに多岐にわたる成果を生み出しています。

今回は、ワークマンのご担当者様にお話を伺い、その先進的な取り組みと成果について詳しくご紹介いたします。

「撮れなかった」シーンを新たな魅力に: 制作プロセスを補完する生成 AI のチカラ

EC サイトにおいて、商品の魅力を伝えるビジュアルコンテンツは顧客の購買意欲を大きく左右します。ワークマンでも、効果的な画像や動画コンテンツの有無で購入率が大きく変わるというデータがあり、その重要性を認識していました。しかし、従来の写真・動画撮影は、少数精鋭で構成されるチームにとって大きな負担となっていました。

「オンラインでの購買体験では、いかに魅力的な商品ページを作れるかが重要となります。ただし、少人数で多品目の商品を扱う中で、人手には限界がありました」と担当者は語ります。この課題を解決したのが Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)と Veo でした。

Nano Banana と Veo を選定した理由について 営業企画部 E コマースグループの堀氏は次のように話します。

「当社は飛び抜けた天才に頼るのではなく、標準的な能力を持つ社員が仕組みで成果を出す『100 年続く凡人経営』を掲げています。そのため、導入するツールは専門家でなくとも直感的に扱える UI であることが必須条件でした。これらのプロダクトはその要件を満たしつつ、システムの信頼性や将来性、そしてコストの柔軟性においても、私たちのニーズに合致していました。」

商品の機能を最も効果的に伝えるには、その商品が実際に使われるシーンを顧客に想起させることが不可欠です。

「例えば、特定の機能を持つジャケットを紹介する際、その機能が活きるシーンのためだけに撮影が必要になります。撮影場所を決め、カメラマンやモデルなど 5 人から 10 人のクルーを派遣し、半日以上かけて撮影を行うことも珍しくありません。それが Imagen を使えば、たった一人、5 分から 10 分で高品質なイメージ画像を生成できます。勿論、全ての撮影を生成 AI に置き換えることができるわけではないのですが、伝えきれなかったイメージをアシストする手段として、積極的に活用したいです。さまざまなシーンを生成することで、断念していたカットも作れるようになりました。」と同部の神谷氏は話します。

また、EC サイトでの動画の重要性が高まる中、ワークマンでは動画生成モデル Veo の活用も進めています。すでに、防水シューズの商品ページでは「濡れた床を歩く」シーンを Veo で生成し、採用しています。

「一見すると普通のスニーカーに見える商品でも、動画で防水性能を示すことで、お客様に機能性が直感的に伝わります。雨の日でも安心して使えるというイメージが湧きやすくなるのです」と神谷氏は話します。

一方で、AI を使いこなす上での試行錯誤も続いています。「雨の降らせ方を自然に見せるなど、プロンプトの調整にはまだ工夫が必要です。また、手を使わずに履ける靴の『素材の柔らかさ』のように、人の手でなければ伝わりにくい繊細な表現もあり、商品や活用シーンによって AI 活用の向き不向きを見極めています」と神谷氏は語り、現実的な視点で活用を進めつつ、Veo のさらなる進化にも大きな期待を寄せています。

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社内業務から未来の「試着」体験まで: 広がり続ける生成 AI の可能性

メディア系生成 AI の活用は、顧客向けのコンテンツ制作だけに留まりません。ワークマンでは、社内のコミュニケーションツールとしても Imagen を活用し、業務効率を大きく向上させています。

「例えば展示会ブースや販促物のレイアウトを検討する際、これまでは言葉や参考写真でイメージを共有していましたが、どうしても認識のズレが生じがちでした。Imagen を使えば『こんな雰囲気で』『こういう照明をつけたらこう見える』といった具体的なイメージをビジュアルで瞬時に共有できます。このようにコミュニケーションが『抽象的な言葉』から『具体的なビジュアル』にシフトしたことで、関係者間の認識合わせが格段にスムーズになりました。」(荻原氏)

企画の初期段階で具体的な完成イメージを共有できるため、手戻りが減り、意思決定のスピードも向上しました。これもチームの生産性を高める大きな要因となっています。

さらにワークマンは、未来の顧客体験を見据え、Virtual Try-on(VTO)の実験的な導入にも着手しています。元々 AI 技術への関心が高く、様々なサービスを試してきた担当者は、Google Cloud の Virtual Try-On API について、その品質の高さを次のように評価します。

「今回試した Virtual Try-On API の品質は、私たちの想像をはるかに超えていました。衣服のしわや光の反射、素材の質感が驚くほどリアルに再現されていて、AI に細かく指示をしなくても状況を正しく理解して画像を生成してくれます。まるで、自分がその服を着ているもう一つのリアルな世界が存在するのではないかと感じるレベルです。」と荻原氏は語ります。

少数精鋭のチームにとって、生成 AI は単なる効率化ツールではありません。自分たちのクリエイティビティを拡張し、これまで時間やコストの制約で実現できなかったアイデアを可能にする強力なパートナーです。

ワークマンはこれからも、Google Cloud と共に AI テクノロジーを駆使して新たな顧客体験を創造し、業界の常識を塗り替えていくことでしょう。そのあくなき挑戦から、今後も目が離せません。

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株式会社ワークマン
ワークマンは、プロの実用ニーズに応える高機能・低価格な独自製品を武器に、国内 1000 店舗以上を展開する作業服の国内最大手企業です。 一般向けの「WORKMAN Plus」に加え、最新業態「Workman Colors」ではデザイン性を前面に打ち出し、ファッション市場への本格参入も果たしました。 全店の約 95% をフランチャイズ加盟店が運営する高収益モデルを確立しており、職人からトレンド重視の層まで幅広く支持を拡大しています。

株式会社システムサポート
Google Cloud の認定パートナーとして数多くの生成 AI 案件の実績を持ち、今回の事例での仮想試着や Gemini 2.5 Flash Image (Nano Banana)、動画生成 AI Veo の実装を行いました。

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