株式会社クボタ:Google Meet が持つ強固なセキュリティで社外との情報交換にも活用。Google Jamboard との連動でさらに機能をパワーアップ
Google Cloud Japan Team
Google Workspace の利用促進のため IT ポータルサイトを創設
農業機械ばかりでなく、建機や水処理システムでも高い技術とシェアを誇る株式会社クボタ。海外売上が 67% を占めるグローバル企業だ。
同社では旧 G Suite (現 Google Workspace)を国内で 2013 年から導入、翌年には世界の拠点でも使い始めた。 当時は国内海外の拠点で 50 ほどのメールシステムが使われており、セキュリティ体制がバラバラだったことから、その統一を図ることも導入の目的の 1 つだった。ICT 企画部の細川 氏は「Google Workspace はアップデートを含めてすべてクラウド サービスですから、新しい拠点でも 1 週間以内には全員が Google Workspace を使えます。オンプレミスにはないそのスピード感が最大の魅力でした」と語る。
2015 年から Google ハングアウトのビデオとテキスト チャットを利用してきたが、Google Meet と Google Chat に分割され、ともに機能が大幅に向上したこともあって昨年から業務での Google Workspace の徹底活用を図ってきた。社内 800 名のキーマンにトレーニングを施して各部署での普及を進めるとともに、ICT 企画部では全社ポータルからリンクする IT ポータルサイトを設けてさまざまな情報発信を行ってきた。
IT ポータルには Google Workspace のマニュアル動画などを用意。たとえば Google Meet の利用中に音声がハウリングした場合は一度マイクをオフにするなどの FAQ や、チャット ツールを活用するともっとコミュニケーションがよくなるなどの Tips、先進的な使い方をしている部署の事例なども掲載して利用促進を図っている。
固定観念がなくなり効率化や働き方改革にも大きく貢献
コロナ禍により自宅でのリモートワークが増え、Google Meet の利用率が一気に高まった。それまでは 15% 程度の利用率だったが、出社率を一時 3 割まで下げたため、社内の打ち合わせはなるべく Google Meet で、という社内通達があったこともあり、9 月には海外を合わせた kubota ドメインのアクティブ ユーザーの約 60% で使われるようになった。
Google Meet の利点は招待することによって社外の人にも参加してもらえることだ。社外のサプライヤーなどの取引先との打ち合わせなども、Google Meet で図面を見せながら行うことが当たり前になっている。それができるのは Google Meet のセキュリティが強固で安心感があるからだ。
細川氏は「いままでは図面などが必要な話し合いはアポを取り、出向いて説明する必要がありましたが、Google Meet を使うことで “では、いまからやりましょう” と、スピードアップにつながっています。お願い事や説明は相手先に伺ってやらないと失礼に当たるという固定観念のようなものがなくなってきたようです」と語る。
Google Meet は海外とのミーティングでも威力を発揮している。時差があるため社内のテレビ会議システムでは、そのためだけに遅くまで会社に残らなければならなかったが、Google Meet を使って自宅からでもできるようになり負担が大幅に減少した。日本の人事担当者が海外の人を面接することもある。時間や場所に制約を受けずに仕事ができるようになったことは効率化や働き方改革にも大きく貢献している。
最近は面識のない 10 人くらいでディスカッションするような会議でも使われるようになってきた。「当初は、熱い思いをもった議論が必要な場で Google Meet が使えるのかと懐疑的な部分もありましたが、Google Meet でも十分できると実感しています」と古谷氏。
学生たちの目の輝きが一目でわかる Google Meet ならではのメリット
ICT 企画部が運営するインターンシップも今年は Google Meet で行った。これまではクボタを知ってもらうために、工場見学などを実施していたが今年は難しく、代わりにできるかぎり多くの部門に参加してもらい自部署を紹介する機会をもった。Google Meet だと職場を離れる必要がないことから、これまで忙しくて出席してもらえなかった各部門の人に自身の体験を話してもらうこともできた。
「Google Meet だと参加している学生の顔が俯瞰できるので、目の輝きでこの学生はどの分野に興味を持っているかが一目でわかります。目が輝いているときは質問もたくさん出てきます」という。
もちろん採用面接でも使われた。「採用担当者に聞くと、今年は内定を出すまでのプロセスを Google Meet で実施しました。採用面接においても Google Meet は十分活用できると高く評価しています」と細川氏。
Google Jamboard で設計図面等を共有して課題と対策を話し合う
デジタル ホワイトボード Google Jamboard は今年から主要な拠点に導入し、すでに 42 台が稼働している。会議室だけではなく通常の執務フロアでも使っているのが特徴だ。Google Meet と連動させ全画面を Google Meet 画面にすることもできるので、プロジェクトのタスクやマイルストーンを Jamboard 上で視覚的に検討しながら Google Meet でその内容を共有。また Jamboard 上で図面を共有したうえで手書きして課題を探り対策を練っていくという製造業らしい使い方も模索されている。
古谷氏は「実は Jamboard の導入は、テレビ会議システムの老朽更新という意味合いもありました。従来のテレビ会議は社外の方に加わってもらえないという不満がありましたが、Google Meet であれば参加してもらえる。またディスプレイなどさまざまな周辺機器が必要になるテレビ会議システムよりも Jamboard のほうがコストパフォーマンスに優れていたことも採用の理由でした」という。現在は主要拠点のみだが、今後さらに拠点数を増やしていく計画だ。
「導入から日が浅いこともあって、まだ Jamboard が持つ機能を十分に引き出せていません。Google Meet との連携だけでなく様々なシーンで活用することで、もっと効果を上げることができるはずです」と細川氏。
使い勝手が最も良い点は、ホワイトボードは消すと一から書き直さなければならないが、Jamboard はデータを保存しておけば後日続きからミーティングができること。今後は先進的な部門での使い方を IT ポータルに掲載していくことで利用を促進していく。
社員の IT リテラシーの向上にもつながった
Google Meet が普及したことで社内のコミュニケーションにも変化が感じられるようになった。ICT 企画部は問い合わせを受けることが多いが、Google Meet だと全国から気楽に問い合わせることができコミュニケーションの壁が小さくなった。
細川氏は「Google Workspace の勉強会を開いてほしいという要望も出てきました。みなさん忙しいので、自身では Google Workspace の有効な使い方を学ぶ時間がなかなか取れません。そうした勉強会をもっと増やして業務の効率化を進めていきたいと思っています」と笑顔を見せる。
今回お話を伺った皆さま:
・グローバル ICT 本部 ICT 企画部 企画グループ長 兼 新技術開発グループ長 古谷 嘉三 氏
・グローバル ICT 本部 ICT 企画部 新技術開発グループ シニアマネージャー 細川 龍哉 氏
1890(明治 23 )年の創業以来、農業機械、建設機械などの産業機械、上下水道インフラ製品などの製造・販売・サービスを展開。世界 120 か国以上でビジネスを展開しており、売上 1 兆 9,200 億円、連結子会社 187 社、海外売上比率約 67%(2019 年 12 月期)。グループ従業員数 41,027 人(2019 年 12 月 31 日時点)。
*2020 年 10 月、G Suite は新たに Google Workspace としてブランドを刷新しました。