Google Cloud が英国のフィンテック企業 Fluidly の顧客 5 万社以上への拡大を支援
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 12 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
中小企業は、経済の屋台骨です。英国に拠点を置く新興企業 Fluidly は、この 4 年以上をかけて、中小企業とその経理担当が最も重要な会計業務とキャッシュフロー業務を簡素化できるよう支援する業界最先端のプラットフォームを構築しました。Fluidly は、企業にインテリジェントなキャッシュフロー管理サービスを提供しています。NYCA Partners のマネージング パートナーで Fluidly の早くからの投資家である Hans Morris 氏は、このサービスについて「Fluidly が提供するようなイノベーションが長く待ち望まれている分野」と述べています。
起業家の Caroline Plumb 氏が 2017 年に設立した Fluidly は、人工知能(AI)、機械学習(ML)、データ分析などの技術を応用して、中小企業が自信を持って計画を立て、資金を確保し、安心して経営できるよう手助けする「インテリジェント キャッシュ」に向けた新しいアプローチでフィンテック業界に参入しました。Fluidly は、創業から 12 か月以内に、英国の会計事務所上位 20 社のうち 9 社と提携し、ニューヨークの NYCA や Octopus Ventures などの投資家から 500 万英ポンドの資金を調達しました。
Plumb 氏は、手作業による現金管理の難しさとこれに時間がかかることを身をもって知り、英国に500 万社以上存在する中小企業がより効果的に現金管理できるよう支援する機会を見出しました。
Google Cloud にプラットフォームを再構築する決断
2018 年までに、Fluidly のチームは約 20 名のスタッフを抱えるまでに成長し、顧客ベースは英国および欧州全域で合わせて 300 社から 3 万社以上に拡大しました。成功した多くのスタートアップと同様に、Fluidly も規模の問題に直面し、より多くの企業に迅速にサービスを提供するためのインフラストラクチャが必要でした。Fluidly の CTO である Mike Hancock 氏は、「以前のインフラストラクチャは、Fluidly のプロダクトがよりシンプルであったときには問題ありませんでしたが、Fluidly が使いたかったより高度な AI や ML に対応できませんでした」と語りました。
Fluidly のチームは、複数のクラウド事業者を評価して、そのプロダクト全体のプラットフォームを Google Cloud に再構築することに決めました。これにより、Google Kubernetes Engine(GKE)を使用した迅速なデプロイとスケーリングが可能になり、Fluidly 独自の予測ソリューションを支援する何千もの ML モデルのトレーニングを行えるようになりました。Fluidly が Google Cloud を選択した理由と最初の移行の詳細については、こちらをご覧ください。
Fluidly が Google Cloud に移行し、AI / ML をスケールアップしたことで、同社のチームは、デプロイにかかる時間を 1 時間から5 分未満に短縮できました。これにより、サービスをオンラインで利用し続けられるようになり、その信頼性と正確性を確保できるようになりました。
Fluidly はクラウドによってビジネスの次の段階にどのようにして移行したか
プラットフォームを Google Cloud 上に移行して以来、Fluidly は拡大を続け、現在では複数の国で 1,400 以上の会計事務所と 5 万社以上の中小企業にその存在が知られています。2021 年、Fluidly は、英国最大級の会計ネットワークである Azets や、300 万人以上の顧客を持つ英国大手銀行 Virgin Money といった企業との新たなパートナーシップを発表しました。また、45 社以上の伝統的金融機関および新興金融機関と提携し、市場全体からの顧客のニーズに合わせた資金調達を実現しています。
Fluidly の共同創業者兼最高データ責任者である Johnnie Ball 氏は、「迅速にスケーリングする必要があるということは、どのスタートアップにとっても取り組み甲斐のある課題です。Google Cloud 上でサービスを提供することで、新しいソリューションとサービスを迅速に立ち上げることができ、拡大するお客様の需要に応えることができました」と述べています。
Fluidly は、Google Cloud の AI と分析機能を利用して、プラットフォーム内に新しい機能を立ち上げることにも成功しました。2020 年 1 月には、BigQuery で構築された新しいシナリオ プランニング ツールを発表し、Fluidly のユーザーが財務上の重要な決定に向けた計画を立てられるようになりました。スタッフの雇用から新しい設備投資まで、Fluidly のPlan 機能は、企業とそのアドバイザーがさまざまな状況に対して十分なキャッシュを確保できているかどうかを把握するのに役立ちます。
2020 年 3 月、英国のロックダウンから数日のうちに、Fluidly は、パンデミックの影響を受けた企業の多さに応えて、企業が減収と費用削減を予測できるよう支援するため、Plan を更新しました。更新版の発表後、このツールの利用社数が前月比で 75% 増加しました。
Fluidly のデータ機能は、会計士へのサービス提供において大きな役割を果たしており、会計士は Fluidly のキャッシュ フロー ツールを使用して会話を始め、顧客についての理解を深めています。Cornish Accounting Solutions のマネージング ディレクターである Paul Miller 氏は「会計士にはそれほど時間がありません。ターゲットとすべきお客様のリストが最初から用意されているため、自分の記録を長時間かけて探し回る必要がありません。Fluidly のおかげで、数段上のレベルに到達できています」と述べています。
Fluidly の関係者としては、Google Cloud に完全移行したことで、新サービスまたは新機能の開発において、より多くのテストを行えるようになりました。移行直後から、本番環境用のリリースが週 4 回から 1 日 36 回に加速し、その後、1 日 60~90 回に増加しました。
Fluidly の CTO である Mike Hancock 氏は、「Google Cloud は、技術パートナーを超えた存在です。Google Cloud の支援によって、Fluidly はより迅速で、より信頼性が高く、日々変化するお客様の要求に応えるためサービスを提供することができます。」と述べています。
Fluidly の詳細については、www.fluidly.com をご覧ください。また、Fluidly のような革新的な急成長企業が Google Cloud でどのようにスケーリングしているかについては、Google のブログをご覧ください。
- Google Cloud 英国およびアイルランド金融サービス部門長、公認管理会計士協会会員兼公認国際管理会計士 Adrian Poole