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ストレージとデータ転送

フランクフルト、ロンドン、チューリッヒ、ベルギーで提供が開始された Google Cloud Storage のデュアルリージョン ストレージに関するガイド

2024年9月4日
Subodh Bhargava

Product Manager, Google Cloud Storage

※この投稿は米国時間 2024 年 8 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

現代のデジタル社会では、データの信頼性、可用性、パフォーマンスが非常に重要です。企業や組織が採用するクラウド ストレージ ソリューションには、データの安全性だけでなく、中断のないアクセスと低レイテンシも求められます。Cloud Storage は、これらの課題に対処するための堅牢なソリューションであり、それぞれ長所と短所がある 3 つのバケット ロケーション タイプ(単一リージョン、デュアルリージョン、マルチリージョン)を提供しています。

Google Cloud は、企業がヨーロッパのデータ コンプライアンス規制に効率的に対応できるよう継続的に Cloud Storage デュアルリージョンのペアを追加しているため、Cloud Storage は時代の流れに即したソリューションであると言えます。このたび、フランクフルト / チューリッヒ、フランクフルト / ロンドン、ベルギー / ロンドンという 3 つのデュアルリージョンのペアを新たに追加しました。地理的には離れているものの近くにあるロケーション間でのデータ レプリケーションが可能になるため、データの復元力とデータ主権が強化されると同時に、厳格な規制要件を遵守できるようになります。

以降では、デュアルリージョン ストレージの概要、効果的な使用方法、メリットについて説明します。

デュアルリージョン ストレージとは

では、デュアルリージョン ストレージの概要とその仕組みについて具体的に見ていきましょう。Cloud Storage では、バケットを作成する際に、オブジェクト データを保存するための地理的ロケーションを設定する必要があります。デュアルリージョン バケットの場合、1 つの大陸内の地理的に離れた 2 つのリージョンにデータが冗長的に保存され、強整合性(詳細は以下で説明します)によって単一のバケット(名前空間)として表示されます。この手法では、災害やメンテナンスによって一方のリージョン全体が利用できなくなっても、もう一方のリージョンからデータへのアクセスを継続できるため、ダウンタイムが発生せず、データの復元力が強化されます。これは、ビジネスの継続性 / 障害復旧アーキテクチャの一環として、ワークロードを 2 つのリージョンに分割する必要があるお客様にとって特に魅力的です。

2 つのリージョン間でのアクティブ / アクティブの冗長性

アクティブ / パッシブ アプローチを採用し、「プライマリ」と「セカンダリ」の地理的ロケーションを実装する従来のストレージ モデルと異なり、Cloud Storage のデュアルリージョンでは、単一の地理的に冗長なバケットに基づくアクティブ / アクティブ アーキテクチャを使用します。これにより、一方のバケットから別のバケットにデータを複製したり、プライマリ リージョンのダウンタイムが発生した場合に手動でセカンダリ バケットにフェイルオーバーしたり、プライマリ リージョンの可用性が回復した場合に手動でプライマリ バケットにフェイルオーバーしたりする手間が省けるため、障害復旧プロセスが簡素化されます。リージョンのサービスが停止した場合も、Cloud Storage のデュアルリージョン バケットならリージョン間で複製されたすべてのデータの提供を必要に応じて継続できるため、目標復旧時間(RTOゼロを達成できます。通常は、ユーザーが一時的なリージョンのサービス停止に気づくことはありません。

ベスト プラクティスとして、デュアルリージョン バケットを構成する 2 つのリージョン間で残りのワークロードのロード バランシングを行い、アクティブ / アクティブのストレージ アーキテクチャのメリットを活かすことを検討してください。このアプローチを採用すると、どちらかのリージョンでサービスが停止した場合も、人間が介入することなくワークロードが継続的に処理されるようになります。または、なんらかの理由でアクティブ / アクティブ アーキテクチャを利用できない場合、デュアルリージョン ストレージでも、2 つのリージョンで従来のプライマリ / セカンダリ モードによって残りのユースケースを実行することが可能です。この場合、プライマリ リージョンのサービスが停止すると、コンピューティングやその他のリソースをセカンダリ リージョンにフェイルオーバーする必要がありますが、セカンダリ リージョンではデュアルリージョン バケットがすでにデータを提供できる状態にあります。

強整合性

デュアルリージョン バケットでも、単一リージョン バケットとマルチリージョン バケットで受けられるものと同じ強整合性の保証を受けられます。強整合性は、アクティブ / アクティブ トポロジを実現する鍵となります。データがいつ、どこでデュアルリージョン バケットに書き込まれても、ユーザーには最新のデータビューが表示されます。複数のリージョン バケットが互いに同期していないのではないかという懸念は不要です。強整合性が特に重要なのは、データ分析などのシナリオで、不正確な結果や不完全な結果を回避するために、すべての関連データを分析で確実に利用可能にする必要がある場合です。

Cloud Storage のデュアルリージョン バケットは、非同期のデータ レプリケーションを介して地理冗長を実現します。このプロセスにおいて、新しく書き込まれたオブジェクトは最初、単一リージョン内の複数のアベイラビリティ ゾーンにまたがり冗長性を備えたリージョン オブジェクトとして保護されます。指定された目標復旧時点(RPOの時間枠内に、サービスがこれらのオブジェクトを 2 番目のリージョンに複製し、地理的に冗長なオブジェクトとします。2 つのリージョン間でのオブジェクトのレプリケーションにかかる時間は、バケットのレプリケーション設定によって決まります。

  • デフォルトのレプリケーションでは、新しく書き込まれたオブジェクトの 99.9% については 1 時間以内という RPO 目標に沿って、100% については 12 時間以内という RPO 目標に沿ってリージョン間の冗長性を確保します。新しく書き込まれたオブジェクトには、アップロード、書き換え、コピー、作成が含まれます。その名前が示すとおり、このタイプのレプリケーションはマルチリージョンとデュアルリージョンのデフォルト設定です。

  • ターボ レプリケーションは、業界トップクラスの 15 分という RPO を実現するプレミアム機能です。このレプリケーションは Cloud Storage サービスレベル契約SLA)に基づいており、新しく書き込まれたオブジェクトの 100% を、オブジェクトのサイズにかかわらず 15 分以内にデュアルリージョンの両方のリージョンに複製します。ターボ レプリケーションは、デュアルリージョン バケットのデータにリージョン間での冗長性をより迅速に提供することで、リージョンでサービスが停止した際のデータ損失のリスクを削減し、中断のないサービスの実現を支援します。
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デュアルリージョン レプリケーションの流れ

デュアルリージョン ストレージの利点

  1. 可用性と信頼性の向上: デュアルリージョン ストレージは、リージョン ストレージと比べて大幅に高い可用性を提供します。一方のリージョンでダウンタイムが発生している場合やメンテナンスが行われている場合、もう一方のリージョンからデータが透過的に提供されます。

  2. アクティブ / アクティブおよびアクティブ / パッシブ障害復旧アーキテクチャのサポート: アクティブ / アクティブ トポロジでは、デュアルリージョンの 2 つのリージョン間でワークフロー全体のロード バランシングを行うのがベスト プラクティスです。これを可能にするのは、デュアルリージョン ストレージの強整合性です。ただし、ユーザーの要望に応じて、デュアルリージョンでプライマリ / セカンダリ トポロジも同様にサポートできます。

  3. 管理しやすさ: デュアルリージョンのデータ レプリケーションと、必要に応じたリージョンのフェイルオーバー / フェイルバックは自動的に実行され、人間が介入する必要は一切ありません。これによってゼロの RTO が実現し、ビジネスの継続性と障害復旧が強化されます。

  4. パフォーマンスの向上: 最も近いリージョンからデータにアクセスするため、ワークロードのパフォーマンスが向上します。さらに、デュアルリージョン バケットは、単一リージョン バケットに匹敵する 1 秒あたり数テラビットの読み取り帯域幅をサポートできます。

  5. コンプライアンスとデータ主権: デュアルリージョン ストレージを導入した組織は、冗長性と可用性を確保しながら、特定の地理的境界内にデータを保持することで、データ主権に関する規制を遵守できます。たとえば、デュアルリージョン ストレージを使用して、データのコピー間の物理的な距離に関する業界固有の要件に対応できます。

つまり、Google Cloud のデュアルリージョン ストレージは、データの復元力、可用性、パフォーマンスを強化するための優れた手段です。地理的に離れたリージョン間で冗長ストレージを利用することで、リスクを軽減し、信頼性を高め、規制要件を遵守できます。ミッション クリティカルなアプリケーションの実行や機密データの管理など、その目的を問わず、デュアルリージョン ストレージは Google Cloud でクラウド インフラストラクチャのニーズに対応するための強固な基盤となります。今すぐデュアルリージョン ストレージの利用を開始し、そのメリットを活かしてデータの信頼性をレベルアップしましょう。

詳しくは、Cloud Storage のデュアルリージョンに関するドキュメントをご覧ください。

ー Google Cloud Storage プロダクト マネージャー Subodh Bhargava

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