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ストレージとデータ転送

プロジェクト間のバックアップと復元により GKE のデータ保護を強化

2025年7月29日
Ranjith Kumar Palthi

Product Manager

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※この投稿は米国時間 2025 年 7 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google Kubernetes Engine(GKE)のデプロイの拡大とスケーリングに伴い、Google Cloud でマルチプロジェクト戦略を採用することが、セキュリティと環境を重視する組織にとってのベスト プラクティスになります。開発環境、テスト環境、本番環境に個別のプロジェクトを使用することで明確な境界が生まれ、システムの分離性が高まり、アクセス制御がしやすくなります。

しかし、分離によってデータ保護の課題が生じます。これらのプロジェクト境界を越えてバックアップを効果的に管理するにはどうすればよいでしょうか。ネイティブ ソリューションがない場合、バックアップの一元化、IAM による職務分掌の明確化、確実な障害復旧体制の構築はすべて複雑なタスクとなり、多くの場合、チームはカスタム スクリプトや非効率的な手動プロセスに頼らざるを得なくなります。

プロジェクト間のバックアップと復元の概要

この問題を解決するために、現在プレビュー版の Backup for GKE では、プロジェクト間のバックアップと復元がサポートされています。この新機能により、1 つの Google Cloud プロジェクトの GKE クラスタからワークロードをバックアップし、2 つ目のプロジェクトに安全に保存して、3 つ目のプロジェクトのクラスタに復元できます。これは、データ保護の効率化、セキュリティ ポスチャーの強化、運用ワークフローの柔軟性向上につながります。バックアップを別の分離されたプロジェクトとリージョンに保存することは、最新の障害復旧に不可欠であり、リージョンの停止や Google Cloud プライマリ プロジェクトでの侵害が発生した場合でも復旧機能を保護し、レジリエントなインフラストラクチャの基盤となります。この分離により、規制遵守が簡素化されるとともに、潜在的なインシデントの影響拡大を防いでセキュリティが強化され、RTO/RPO の目標達成にも役立ちます。

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プロジェクト間のバックアップと復元の主なメリット

  • バックアップの一元管理: 各クラスタのバックアップ プランを、選択したバックアップ プロジェクトに指定することで、複数の Google Cloud プロジェクトの GKE バックアップを 1 つのプロジェクトに統合します。このシンプルな構成により、チームは 1 つのコントロール プレーンでモニタリングを監視し、バックアップ ポリシーを管理できます。

  • 強化された障害復旧: GKE バックアップを別のプロジェクトとリージョンに保存することで、重要な分離レイヤが提供され、リージョン停止などのイベントに対する復元力が向上します。ソース リージョンが利用できなくなった場合は、バックアップ プロジェクトから復元プランを作成して、別のプロジェクトのクラスタにワークロードを復元できます。

  • オペレーションの効率化: シード、クローン、コラボレーション環境間でのデータのコピーが簡略化されるため、プロジェクトをまたぐ機能によって開発ライフサイクルにアジリティがもたらされます。本番環境のバックアップ データをテストに活用したり、アプリケーション環境全体を迅速に複製したりすることが可能です。

    • 環境のシードとクローン: 以前のバックアップからデータをステージング環境に投入したり、サンドボックスを作成したりできます。バックアップ プロジェクトにある既存のバックアップ プランを使用して復元プランを作成し、シード用の本番環境からのバックアップや、クローン作成用の開発環境からのバックアップなど、バックアップを選択して、任意の他のプロジェクトのクラスタを宛先として指定します。これにより、テスト環境と分離されたサンドボックスを作成できます。

    • チーム間のコラボレーションの効率化: すべてのバックアップは一元化されたバックアップ プロジェクトに保存されるため、別のチームの開発者に対して委任された復元管理者などのロールを割り当て、特定のバックアップ プランとそれに関連するすべてのバックアップに対する読み取り権限を付与できます。権限を付与された開発者は、他のチームのライブソース プロジェクトにアクセスすることなく、そのバックアップを使用してクラスタを復元することが可能です。

  • セキュリティとコンプライアンスの職務分掌を実現バックアップを専用のプロジェクトに分離することで、責任を明確に割り当て、最小権限の原則を適用できます。アプリケーション チームに、中央のバックアップ リポジトリを制御する権限を与えることなく、自分たちのプロジェクト内でアプリケーションをバックアップおよび復元するセルフサービス権限を付与することが可能です。中央のプラットフォーム チームまたは運用チームにバックアップ プロジェクトの管理制御を付与すれば、不変性を持つ保持ポリシーの設定から監査の実施まで、データ ライフサイクル全体を管理することができます。本番環境にアクセスする必要はありません。こうした分離は、リスクを軽減し、監査を簡素化するうえで重要です。Backup for GKE の IAM ロールと権限に関する詳細なガイダンスについては、ドキュメントをご覧ください。

GKE のプロジェクト間のバックアップと復元により、複数の Google Cloud プロジェクトにわたってコンテナ化されたワークロードを保護できます。この機能は、障害復旧機能の強化、セキュリティ ポスチャーの改善、運用ワークフローの効率化に役立ちます。

使ってみる

この機能をぜひお試しください。プロジェクトでこの機能を有効にするには、こちらのフォームにご記入ください。

-プロダクト マネージャー、Ranjith Kumar Palthi

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