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Warner Bros. Discovery、Media CDN の送信元オフロードの活用により、キャッシュヒット率を改善

2024年9月4日

Krishna Garimella

Senior Product Manager

Prakash Daga

Product Manager

※この投稿は米国時間 2024 年 8 月 29 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

動画が氾濫する今日の世界において、コンテンツプロバイダは、高品質でシームレスなストリーミング体験を求める視聴者からの過酷な要求に直面しています。そのため、バッファリングや再生に失敗するたびに、視聴者や収益を失うリスクがあります。効率的な送信元オフロード戦略は、プロバイダにとって極めて重要なツールの一つであり、このプロセスにより、エンドユーザーに近いキャッシュサーバーからコンテンツを保存および配信し、送信元サーバーの負荷を軽減できます。これは次のような点で不可欠です。

スケーラビリティ: インフラストラクチャに負担をかけることなく、トラフィック急増に対応します。
パフォーマンス: コンテンツをより低レイテンシで高速に配信し、バッファリングを削減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。
費用削減: 送信元サーバーからのデータ転送費用を最小限に抑えます。

Google Cloud のコンテンツ配信ネットワークである Media CDN は、Google が過去 10 年間にわたって YouTube コンテンツを 20 億人以上のユーザーに配信するために開発してきたインフラストラクチャと同じものを活用して、Google Cloud のお客様に大規模なメディアを提供しています。Media CDN は、送信元サーバーからコンテンツをオフロードすることに優れており、効率的で信頼性の高いメディア配信を可能にします。また、送信元のシールドを別個の機能として提供する他のコンテンツ配信ネットワークとは異なり、高い送信元オフロードを優先するように設計されているため、メディアプロバイダは送信元のシールドに依存する必要がありません。この統合されたアプローチは、複雑な構成やアドオンを必要とせず、優れた効率性とパフォーマンスを実現します。

ストリーミングメディア大手の Warner Bros. Discovery は、Media CDN の送信元オフロードを活用することで、没入型体験を提供しています。

「Google Cloud の Media CDN で利用できる送信元オフロードは、効果的であるだけでなく、操作も驚くほど簡単です。このソリューションは、私たちが経験した中で最も強力であることは明らかであり、当社のサービス全体で常に最高のキャッシュ ヒット率を提供しています。このソリューションの特徴は、送信元のシールドの機能を実現するために追加のコンポーネントを必要とせず、簡単に実装できることです。」- Warner Bros. Discovery、プリンシパル エンジニア Sourav Ghosh 氏

Media CDN の送信元オフロードの仕組み

Media CDN の送信元オフロードは、一連の分散キャッシュ、高性能ネットワークインフラストラクチャ、大規模な使用可能容量、インテリジェントな機能で構成されています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/How_Media_CDNs_Origin_Offload_Sets_a_New_S.max-2200x2200.png

1. キャッシュの多層化

ショートテール キャッシュ: ISP ネットワーク内にデプロイされ、頻繁にアクセスされるコンテンツをエンドユーザーの近くで保持することで、高速配信と低レイテンシを実現します。
ミディアムテール キャッシュ: Google Cloud の世界中のポイントオブプレゼンス（PoP）に配置され、人気度とストレージ効率のバランスをとりながら、より幅広いコンテンツを保存します。
ロングテール キャッシュ: Google Cloud の特定の PoP に戦略的に配置され、頻度の低いリクエストを処理し、ニッチなコンテンツも迅速に利用できるようにします。この階層化されたキャッシュアプローチにより、送信元のサーバーにアクセスする必要性が最小限に抑えられます。

2. Google Cloud の世界規模のネットワーク

Media CDN のキャッシュインフラストラクチャは、Google Cloud の世界規模のネットワークによって相互接続されており、キャッシュ間の効率的なデータ転送と、あらゆる場所からのコンテンツの迅速な取得を実現し、送信元の負担をさらに軽減します。

3. 膨大なキャッシュ容量

Media CDN では大容量のキャッシュを利用でき、階層化されたキャッシュレイヤ全体に膨大な量のコンテンツを保存できます。これにより、送信元からコンテンツを取得する必要性が大幅に減り、オフロード効率が最大化され、トラフィックのピーク時でもスムーズなコンテンツ配信が可能になります。

4. リクエストの結合

複数のユーザーが同じコンテンツを同時にリクエストすると、Media CDN は、これらのリクエストを送信元への単一のリクエストにインテリジェントに結合します。これにより、特に需要が高くなる期間などに送信元のトラフィックを大幅に削減できます。

Warner Bros. Discovery で実証されているように、この統合された送信元オフロードアーキテクチャは、堅牢なキャッシュとネットワーク最適化とを組み合わせることで、比類のない送信元オフロードパフォーマンスを実現します。Media CDN を使用すれば、送信元のサーバーを保護し、視聴者にシームレスな体験を提供しつつ、優れたコンテンツの作成に専念することができます。

技術面以外のメリット

送信元オフロードは、コンテンツプロバイダに単なる技術的な機能だけではなく、戦略的なメリットも提供します。Media CDN のシームレスで効率的な送信元オフロードは、可能な限り最高のユーザーエクスペリエンス、費用、セキュリティ、管理オーバーヘッドを提供するという Google Cloud の取り組みを明確にするものであり、次のようなメリットがあります。

視聴体験の向上: スムーズで中断のない動画再生により、エンゲージメントを向上させ、顧客離れを防止します。
インフラストラクチャ費用の削減: 送信元のトラフィックの削減により、帯域幅とサーバーリソースの費用を大幅に削減します。
アジリティの向上: トラフィックの急増に自信を持って対応できるようになります。新しいコンテンツを迅速に立ち上げることが可能になり、障害対応ではなくイノベーションに注力できるようになります。
コンテンツのセキュリティ: Media CDN は、多層的なアプローチにより、コンテンツの著作権侵害に対する堅牢な保護を提供します。また、Cloud Armor と統合することで、必須のジオフィルタリング、IP 拒否 / 許可リスト、カスタム L7 セキュリティポリシーを提供します。さらに、WASM のインラインサポートにより、トークンをリアルタイムで取り消せるため、不正アクセスを迅速に阻止できます。これらの機能と、デュアルトークン認証や署名付き URL などの高度なセキュリティ対策を組み合わせることで、Media CDN は、著作権侵害の試行をエッジで特定してブロックするための包括的なソリューションとなります。