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Media & Entertainment

コンテンツの難題: 質の低いパーソナライズと検索エクスペリエンスがストリーミング プラットフォームとその視聴者に与える影響

2023年12月1日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 11 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

予想外の展開で、ストリーミング プラットフォームは現在、かつてないほど登録者数の伸びが鈍化するという厳しい局面に立っています。Macquarie の調査によると、Netflix、Disney+、Hulu、ESPN+、HBO Max / Discovery+、Paramount+、Peacock、AMC+C の 2022 年第 1 四半期の登録者純増数は、前年比で 80% 以上の減少となっています。多数のプラットフォームで際限なくコンテンツを利用できるようになった現在、どのストリーミング プラットフォームにとっても、対価を払う価値のある独自の視聴エクスペリエンスを創り出すことが極めて重要です。質の低いパーソナライズと検索エクスペリエンスの「真の費用」を調査するため、Google Cloud は Harris Poll に依頼して、世界各国の 2,200 人以上の消費者を対象とするアンケートを実施しました。

時間泥棒: 貧弱な技術が視聴者の貴重な時間を奪う

このアンケートによると、視聴者は見たいものを探すために週に最長 3 時間、セッションあたり平均で 24 分コンテンツを検索しています。これまで以上に多くの選択肢を柔軟に選択し、自由に消費できるようになった結果、視聴者の堪忍袋の緒はとても切れやすくなっています。Google Cloud のアンケート結果によると、回答者の約半数(48%)は見たいものが見つからないとサービスを解約しており、ストリーミング プラットフォームの重要なサブスクリプション収入が失われています。

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わずかな差はありますが、消費者はサブスクリプションの更新に関して、見たいものを簡単に見つけられることは手頃な料金と同じくらい重要だと認めています。FX Content and FX Productions 会長の John Landgraff 氏によれば、昨年は過去最多となる 599 作のオリジナル シリーズが制作されました。これほど選択肢が多いと、適切なコンテンツを探して適切な視聴者に提供することが難しくなります。当然ですが、視聴者は興味のある番組や映画を見つけようと、プラットフォームを次々に変える傾向があります。その一方、興味のあるコンテンツが見つかれば、登録ボタンを押す可能性も高くなります。アンケート結果によると、回答者の 79% は新しいコンテンツを発見するとサブスクリプションを継続しています。また、サブスクリプション料金の支払いを伴うアップグレードの 85% には、コンテンツの検索能力が影響しています。ストリーミング プラットフォームにとって、消費者が自分の興味に適したコンテンツを見つけられるようにすることは利益になります。ほとんどの大手ストリーミング プロバイダは依然として採算が取れていないため、登録者の保持、卓越したエクスペリエンスの提供、収益性の確保が不可欠となっています。

ストリーミング会社は、ユーザーの過去の好みと今後の意識の両方を把握するという課題に直面しています。ユーザー ジャーニーを見てみましょう。

  • 視聴者の 41% は、特定の番組を見ようとしてテレビをつけるわけではありません。ブラウジングしていい番組が見つかることを期待しています。
  • それと同時に、81% もの視聴者がストリーミング サービスに対し、高度にパーソナライズされたサービスの提供を求めています。

コンテンツの発掘、たとえば具体的なタイトルや特定の俳優が出演するコンテンツの検索などは特に、登録者の満足度を維持するうえで重要な役割を果たします。消費者の 54% は、おすすめされたコンテンツを閲覧する前に、タイトルを直接検索しています。残念なことに、視聴者の約半数は、検索しても期待した結果が得られないと感じています。この質の低いユーザー エクスペリエンスを受け、31% はアプリケーションを終了し、37% は他のストリーミング サービスに切り替え、31% は完全に別の活動に移行しています。

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ビジネス上の必須事項: 収益性確保への道

ストリーミング プラットフォームでのコンテンツ発掘に関して、ユーザー満足度を左右するのがおすすめ機能と検索機能です。しかし現在は、生成 AI が業界全体の革新的なソリューションを実現しつつあります。エクスペリエンスのパーソナライズ、ユーザー離脱の抑制から、サブスクリプションや広告収入の維持と拡大、さらには運用費用やコンテンツ制作費用の合理化まで、生成 AI はパラダイム シフトを象徴しています。

Google は、Google Cloud の生成 AI ソリューション(Vertex AI など)を活用して高度にパーソナライズされた関連性の高いコンテンツをおすすめすることにより、視聴者の視聴エクスペリエンスを向上させ、視聴者がコンテンツを選ぶ時間を減らし、視聴する時間を増やしています。

多くの選択肢があるため、消費者はよくサブスクリプション疲れを起こし、多くのプラットフォームのサブスクリプションや支払いを継続したいと思わなくなります。その結果、広告型ビデオ オンデマンド(AVOD)や無料広告付きテレビ(FAST)の利用が増えています。これらのモデルでは、消費者は費用対効果の高いコンテンツ視聴手段を利用し、コンテンツ プロバイダは視聴者が最も重視するプラットフォームを通じて、適切な視聴者にリーチできます。

プロバイダが新たな広告ティアを導入するなか、視聴者の 65% はパーソナライズド広告を好むだけでなく、それを期待するようになっていることがわかっています。パーソナライズされたおすすめでは、コンテンツのタイトルやシーンといった具体的な要素を考慮に入れることができるため、個々の消費者により的確なパーソナライズド広告を提供できます。さらに、視聴者の 64% は、自分と広告の関連性が高いと感じると、そのサービスを見続ける傾向が高くなります。業界が進化し、新たなビジネスモデルに挑戦するにともない、メディア企業にとって広告の最適化はこれまで以上に重要となるでしょう。

ストリーミング戦争を再定義する

Fortune Business Insights によると、動画ストリーミング市場は 2029 年までに約 1 兆 7,000 億ドルまで成長すると予測されています。ストリーミング戦争は始まったばかりですが、その戦い方は変わりつつあります。多くのことがつながっているため、ユーザーと関係を築き、プラットフォームの長期的な成功を強固なものにするには、高度にパーソナライズされた視聴および広告エクスペリエンスを創出することが不可欠です。エンターテイメント企業は、それを独力でやる必要はありません。

Google Cloud は、動画ストリーミング プラットフォーム、音声配信者、放送局、ニュース メディアなど、メディア&エンターテイメント企業を支援します。Google は AI を活用して、最も差し迫ったビジネス上の課題を解決できる実用的なソリューションを見つけることに全力を注いでいます。今年に入って Vertex AI を通じた Google の大規模言語モデル(LLM)の利用をリリースして以来、企業は現在使用している多くのツールやプロセスを効率化し、チーム全体で新たな理解や分析情報を獲得しています。

Google Cloud のメディア&エンターテイメント企業向けソリューションについて詳しくは、こちらのウェブサイトをご覧ください。

-Google Cloud、戦略的コンシューマー産業担当マネージング ディレクター Anil Jain

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