AI レンズ: マルチモダリティと BigQuery でアドテックに革命を起こす Arpeely の事例
Roee Sheffer
VP of Research & Development, Arpeely
Moran Cohen-Koller
Director of Data, Arpeely
※この投稿は米国時間 2025 年 3 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
従来のプログラマティック広告では、ターゲットを外すことがよくあります。固定価格や限定的なターゲティング、長期的な顧客価値よりも即時のコンバージョンを重視する仕組みでは、広告主の期待に応えることができません。Arpeely では、以下の 3 つの方法で変革をもたらしています。
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独自のビジネスモデルを構築し、パフォーマンス向上のために資金を投入する。
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クリエイティブとファネルをエンドツーエンドで管理する。
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ライフタイム バリューを最適化する。
Arpeely は、広告主がオンラインでオーディエンスとつながる方法を変革することを使命としています。その原動力となっているのは、たったひとつのシンプルな信念「インターネットを真に理解するには、実際に『見る』ことが不可欠である」という考えです。ウェブページをユニークにするものは、テキストやコードだけでなく、画像、感情、ニュアンスなどもあります。当社が Google Cloud 上の広告テクノロジー プラットフォームに力を入れているのはそのためです。
この投稿では、Google Cloud が Arpeely のビジネスにどのように役立っているかを詳しく説明します。当社では、BigQuery や Gemini などのプロダクトでマルチモダリティと AI の力を活用することで、メディア購入がよりスマートで効率的になり、長期的な価値に集中できるようになりました。
マルチモーダル AI でインターネットを「見る」方法を変革
当社の AI アルゴリズムは、膨大なデータセットを分析することで、当社のお客様にとって忠実で価値の高い顧客になりうるユーザーを特定します。これを効果的に行うには、ウェブをより深いレベルで理解する必要があります。そこで必要となるのが、複数の種類のデータを処理できるマルチモダリティです。テキストだけを見るのではなく、Google Cloud の強力なマルチモーダル AI である Gemini Pro Vision や Gemini Flash 1.5 などを使用してウェブページのスクリーンショットを分析し、視覚情報を抽出することで、リアルタイムで理解を深めることができます。これにより、数十億ものウェブサイトを驚くほど高速かつ正確にクラスタリングでき、従来の方法では見逃していた関連性やインサイトを明らかにできます。
BigQuery と Pub/Sub でデータの急増を制御
AI を活用したマルチモーダル広告プラットフォームを構築するには、驚異的な量のデータを処理する必要があります。BigQuery を使用することで、25 ペタバイトを超える圧縮データから、常にデータを処理し、ユーザー行動を分析し、インサイトを生成して、リアルタイム入札エンジンを強化できます。
しかし、AI にはスケーリングだけでなくスピードも求められます。そのため、Google Cloud のリアルタイム メッセージング サービスである Pub/Sub を利用して情報の流れを維持しています。Pub/Sub は、人間の中枢神経系のような役割を果たし、当社のマイクロサービス同士を接続して、AI アルゴリズムがスマートな意思決定に必要な最新データを確実に取得できるようにします。
キーワードを超えた広告配信: これまでにない広告の関連性を BigQuery ベクトル検索で発見
従来の広告ターゲティングはキーワードに依存しており、オンライン行動の微妙なニュアンスを捉えるには不十分でした。当社では、BigQuery ML 内の ML.GENERATE_EMBEDDING 関数を使用して、ウェブページのエンベディングをリアルタイムで生成するという、よりスマートなアプローチを採用しています。ウェブページと広告クリエイティブを多次元空間内のベクトルとして表現し、BigQuery ベクトル検索を使用することで、それらの間のセマンティックな関係をリアルタイムで把握できます。これによって、単純なキーワード マッチングを超えて、高度なコンテキスト広告を提供できるようになり、関連性とクリック率が高まった結果、顧客向けキャンペーンのパフォーマンスが向上し、収益が 15% 増加しました。


Visual Question Answering で広告を自然に溶け込ませ、際立たせる
視覚的なウェブを理解するための当社の取り組みは、Visual Question Answering(VQA)によってさらに進化しました。画像を「見る」ように AI モデルをトレーニングし、解釈させることで、ウェブページの詳細な情報(ドミナント カラー、レイアウト、感情的なトーンなど)を抽出できます。当社の VQA モデルを使用すると、各ページのコンテキストに合わせて広告のデザインを動的に調整できるため、よりシームレスで魅力的なエクスペリエンスをユーザーに提供することが可能になり、ユーザー エンゲージメントが 28% 向上しました。


Gemini を使用して作成した画像
Google Cloud のメリット: アドテックの未来を築く
Arpeely を Google Cloud で 構築したことで、AI 活用における当社のビジョンを実現できました。プラットフォームのスケーラビリティ、サーバーレス サービス、統合されたエコシステムは、迅速なイノベーションに必要なアジリティと効率性を当社にもたらしました。
広告テクノロジーの未来と、AI が今後も果たす役割にも大きな期待を寄せています。信頼できる Google Cloud とのパートナーシップによって、よりインテリジェントで効果的、かつ価値を重視する広告環境を当社が引き続きリードできることを確信しています。
ぜひ、BigQuery のマルチモダリティによって実現されるユースケースをご確認ください。
-Arpeely、研究開発担当 VP Roee Sheffer 氏
-Arpeely、データ担当ディレクター Moran Cohen-Koller 氏