データドリブンのスタイル設定を発表: Google マップの行政界情報をスタイル設定して、必要な情報を的確に伝える
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 24 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
地図を使用してデータを表示すると、ユーザーをより視覚的に引きつけて直感的かつ適切な情報を伝達できます。このための方法の一つとして、ポリゴンを利用した地図の領域とデータを誇張表現することが挙げられます。ポリゴンのスタイル設定や階級区分図の作成に、独自の境界データを購入、更新、維持することはコストがかかり、多大な開発時間とリソースが必要になると多くの方からお話しを頂いております。特にリクエストが多かった機能の一つとして、よりユーザの目を引く地図を構築するために、Google マップで使用されている行政界ポリゴンデータへのアクセス提供があります。本日、Maps JavaScript API 向けデータドリブンのスタイル設定のプレビュー リリースを発表いたします。この機能を利用することにより、Google 境界の表示と属性情報を用いたスタイル設定が可能になります。
データドリブンのスタイル設定とは
データドリブンのスタイル設定とは、皆様が所有しているデータ(店舗の在庫など)や、公開されているデータ(人口統計や選挙結果など)を使用して、地図のスタイル設定を行い、必要な情報をユーザーに視覚的に伝えることができる新機能です。
データドリブンのスタイル設定で可能になる最初の機能は、行政界情報として Google が使用しているポリゴンを、お客様独自の表形式のビジネスデータ等と紐づけて表現できるようにするものです。これにより、ポリゴンのスタイル設定や、多彩でカスタマイズされた階級区分図の作成ができるようになります。また、ユーザーを視覚的に引きつける新たなエクスペリエンスの可能性が開かれます。関心のあるエリアについて新たなコンテキストがユーザーに提供され、より多くの情報に基づいた意思決定が可能になり、時間とコストを節約することも期待できます。
Announcing: Data-driven styling preview
データドリブンのスタイル設定を使用すると、Google マップに表示されている世界中の行政界ポリゴンも同様に提供されます。世界中の国境にアクセスでき、一部の国では、地域区分や郵便番号などの追加の行政界タイプへのアクセスが提供されます。繰り返しになりますが、Google が行政界データを今後も継続的に管理するため、境界データをご自身で購入、更新、維持する必要がなくなります。
地図上の地理的境界にハイライト設定する機能は、お客様が待ち望んでいた機能でした。これまで難しい技術的な側面やデータ取得にかかるコストが心配されていたユースケースの多くが、この機能により新たに可能になります。Google Maps Platform は、高品質のポリゴンを提供するソースです。
Ubilabs、共同創設者, Martin Kleppe 氏
主なユースケース
データドリブンのスタイル設定により、不動産、旅行、メディア、行政機関、教育などのさまざまな業界にわたる境界データを利用した幅広いユースケースが可能になります。選択した特定の行政界のスタイルを定義し、ポリゴンを表示できます。デモにアクセスして、各種ユースケースをご確認ください。
掲載情報が目的のエリアにあるかどうか簡単に可視化できるように、ユーザーが検索した地域区分または郵便番号のポリゴンを表示することで、自宅、ホテル、または店舗の検索に応じたコンテキストを提供できます。
日本の只見町の地域区分と田子倉駅のマーカーを表示しているポリゴン
また、Google の行政界データと、独自または外部から調達した表形式ビジネスデータを使用して、行政界タイプの階級区分図を作成できます。たとえば、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の症例数、住宅価格、または選挙結果、複数の国、広域的な行政区域(州・都道府県など)における地域区分、郵便番号の境界のスタイル設定が行えます。
データドリブンのスタイル設定は、インタラクティブなユーザー エクスペリエンスもサポートします。地図上のポリゴンをクリックすると、Place ID、対象物タイプ、クリックしたポリゴンの表示名などのメタデータがアプリに返されます。このようなイベントは、ユーザーの操作に基づいて地図のスタイルを変更したい場合に便利です。
データドリブンのスタイル設定の使用
データドリブンのスタイル設定を有効にするには、Google Cloud コンソールで新規または既存の地図のスタイルに対して有効にする対象物レイヤを選択し、そのスタイルを JavaScript のベクターマップが有効になっているマップ ID に関連付けます。データドリブンのスタイル設定は、Static Maps または JavaScript のラスタータイル マップには対応していないことにご注意ください。
今後数日間で、地図のスタイルの設定に、対象物レイヤのプルダウンが表示されるようになります。
次に、FeatureStyleOptions オブジェクト、または FeatureStyleFunction をご自身のコードの対象物レイヤに適用します。各対象物レイヤの属性情報を用いた塗りつぶしと線の色、塗りつぶしと線の不透明度、および線の太さをカスタマイズできます。
AppGeo では、長年にわたって Google Maps Platform でアプリケーションを構築してきました。データドリブンのスタイル設定機能は、マッピングの初心者もエキスパートも同じように空間分析情報をわかりやすく表示することを簡単に行えるように Google が取り組み続けている方法のもう一つの例です。データドリブンのスタイル設定により、データの集約と可視化に最も多く求められる地理情報へのアクセスがはるかに簡単になります。サポートするデータのインフラストラクチャを減らして、クライアント データをより迅速に活用できるようになりました。このような新しいアセットの活用方法を学びたい方々を喜んで支援いたします。
AppGeo、アナリティクス担当主任 / ディレクター, David Breeding 氏
対象範囲
今回のプレビュー リリースでは、データドリブンのスタイル設定により、国、地域区分、郵便番号などの行政区域の対象物タイプにアクセスできます。
サポートされている国と利用可能な対象物タイプを確認するには、ドキュメントの対象範囲表にアクセスしてください。プレビュー段階の間、対象範囲を引き続き追加する予定です。追加したい特定の国と対象物タイプがある場合は、Issue Tracker を使用して、フィードバックをご提供ください。
Place ID を使用した、ポリゴンのスタイル設定
データドリブンのスタイル設定の一般的なユースケースは、一連の限られた国や地域区分などの対象物タイプ内の個々のポリゴンまたはポリゴンのサブセットのスタイル設定を行うことです。一番いい方法は、Place ID を使用して境界を参照することです。これにより、無期限でキャッシュに保存できます。
個々の地域の Place ID の事前設定を簡易化するために、地理座標、住所、場所の名前、ISO コード、または FIPS コードを提供するオプションをもたらし、その場所で利用可能な地域の Place ID を返すリージョン ルックアップ ユーティリティを提供しています。このユーティリティは、GitHub の Google マップ リポジトリで提供されている JavaScript のオープン ソース ライブラリです。または、ジオコーディング、Place Search、オートコンプリートを使用して、ある領域の Place ID を取得することもできます。
はじめてみよう
データドリブンのスタイル設定は、Maps JavaScript API 向けの Dynamic Maps に含まれています。デベロッパーは、Google Cloud コンソールで JavaScript Vector Map 構成の MapID を作成することで、Dynamic Maps のデータドリブンのスタイル設定機能とその他の Cloud ベースのマップのスタイル設定機能を使用できます。将来的には、データドリブンのスタイル設定を拡張する追加機能を導入する予定です。この追加機能により、ユーザー向けにさらにカスタマイズされた可視化とインタラクティブなエクスペリエンスを構築できるようになり、独自のデータを活用できます。
データドリブンのスタイル設定は、来週から、Maps JavaScript API のプレビュー版で利用できるようになります。ドキュメントにアクセスしてご試用いただいたうえで、ぜひ、ご意見をお寄せください。また、新しい Dynamic Maps のウェブページをチェックして、詳細を確認し、デモを試して、他の Cloud ベースのマップのスタイル設定のユースケースと機能についてもご確認ください。この機能により開かれるマップスタイル設定の新たな可能性に期待したいと思います。
Google Maps Platform について詳しくは、ウェブサイトをご覧ください。
- Google Maps Platform 担当プロダクト マネージャー Alicia Sullivan