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セキュリティ & アイデンティティ

欧州の組織は Google の Sovereign Cloud ソリューションでイノベーションを実現

2024年1月10日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 12 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

欧州の組織は、現在進めているデジタル トランスフォーメーションを支援するためにクラウドベースのソリューションを継続的に導入しています。ただし、生成 AI やデータ分析といった画期的なテクノロジーの導入が新たなイノベーションの加速につながるのは、クラウド サービスの使用においてデータの安全性、プライバシー、制御が確保されている場合だけです。これが、デジタル主権を実現、維持できることがきわめて重要となる理由であり、Google Cloud が業界でも特に広範なポートフォリオの主権クラウド ソリューションを「ヨーロッパで求められる条件に即したクラウド」イニシアチブの一環として市場に導入している理由でもあります。

この投稿では、今年一年間、Google Cloud と Google のパートナー(ドイツの T-Systemsフランスの S3NS)の広範な主権クラウド ソリューションが、欧州のさまざまな革新的な組織にとって真のビジネス アクセラレータとなってきた最近の事例をいくつかご紹介します。こういった組織は、クラウド制御を強化するための固有のニーズに対処できるようになったことから、クラウドへの新しいワークロードの移行、規制義務への対応、効率性と規模の確保、顧客の信頼と信用の向上を実現しています。

クラウド サービスで信頼を高める

Groupe AGPM は、S3NS と連携してクラウド トランスフォーメーションを進めているフランスの保険会社です。「クラウドは、業務プロセスを迅速化することで AGPM に価値をもたらしており、このプロジェクトによって当社の業績が大きく改善されるものと期待しています」と、AGPM の情報システム担当ディレクターである Christian Gros 氏は述べています。これに加えて、「現在 AGPM で進めているクラウド移行戦略の具体的なメリットとして、最初のユースケースが、S3NS アーキテクチャによるローカル コントロールで 2023 年 12 月から利用可能になります」と、APGM のアーキテクチャおよび IT トランスフォーメーション部門責任者である Guillaume Hédoux 氏は語っています。

ENIO は欧州全土で、エレクトロモビリティのインフラストラクチャや制御のためのソフトウェアや、電子デバイスによるサービスの課金のためのソフトウェアを開発、販売しています。同社は、T-Systems Sovereign Cloud のアプリケーション モダナイゼーション機能を使用してアプリケーションをコンテナ化したことで、柔軟性、スケーラビリティ、費用を改善できているうえ、確実に GDPR を遵守したデータの処理と保存を行えるようになりました。

Birdz は、環境の IoT ソリューションの大手企業であり、S3NS と連携して、クラウドベースのアプリケーションのホストを行っています。「Birdz は、リソース管理の重要な課題に取り組むお客様を、Iot センサー、IoT 接続、データ処理における包括的な専門知識によってサポートしています。このため、S3NS との連携は当然の選択でした。このパートナーシップは、安全性が高いクラウドベースのサービスを通して地域のデジタル トランスフォーメーションをサポートするという当社の戦略に沿ったものです」と、Birdz の最高情報責任者である Ludovic Millier 氏は述べています。

個人データやその他の規制対象データタイプを処理する

MindDoc は、オンライン遠隔医療サービスを通して、精神保健医療を簡単に利用できるようにする取り組みを行っています。MindDoc は、T-Systems Sovereign Cloud を利用することで、個人データに関するドイツの規制要件を満たしながら、デジタル医療サービスの提供を実現できています。「Google Cloud を活用した T-Systems Sovereign Cloud によって、機密性の高い顧客データに関する多くの障害が軽減されており、患者と医師からの信頼を大幅に高めることができています」と、MindDoc の最高技術責任者である Raphael Lucchini 氏は語っています。

Club Med は、世界中で 70 か所近くの高級リゾートを運営している世界的に有名なホテル経営企業で、S3NS と緊密に連携して、データの利用を通した事業改善の取り組みを行っています。「データの急増と AI の急速な進歩が標準となっている時代において、Club Med はこういったデータをリアルタイムで活用して、お客様と従業員の双方のエクスペリエンスを向上させることに尽力しています。当社は、個人情報の重要性を深く理解しており、個人情報の綿密な保護を徹底して行っています。S3NS とのパートナーシップは、Thales と Google Cloud との共同事業から生まれました。これによって、アジリティと倫理性が高いだけでなく、GDPR の基準に完全に準拠した方法でデータを管理できるようになりました」と、Club Med のデジタル / マーケティング担当バイス プレジデントである Quentin Briard 氏は述べています。

Oviva は、体重に関連した疾患を持って生活している個人にオンライン医療サービスを提供しています。欧州のデジタル医療規制を満たすために、これまで Oviva のアーキテクチャは、さまざまなオンプレミス データセンターに分割されていました。Oviva は T-Systems Sovereign Cloud を使用することで、インフラストラクチャを Google Cloud に統合し、ドイツの規制を遵守しながら、全体的な効率だけでなく、信頼性、セキュリティ、イノベーション能力も向上させることができました。「Sovereign Cloud に移行して得た大きな利点は、環境全体で同一の設定を使用できるようになったことです。これにより、チームとしての生産性が大幅に高まっています」と、Oviva の DevOps エンジニアである Demian Jäger 氏は語っています。

AI データの管理を強化する

Xayn は、言語モデルの能力を大規模に活用した、安全かつサステナブルで主権を維持する AI システムの構築を行っている欧州のスタートアップです。「最先端の AI テクノロジーに取り組むには、クライアントのセンシティブ データの保護をサポートしてくれる、安全で信頼できる強固なパートナーが必要です。これが、当社のエンタープライズ AI ソリューションに Google と T-Systems の Sovereign Cloud を利用することを決断した理由です」と、Xayn の最高経営責任者である Leif-Nissen Lundbæk 博士は述べています。

Lengoo は、企業が自社データを使用してファインチューニングした言語モデルを構築できるように支援している欧州の言語テクノロジー企業です。Google Cloud を活用した T-Systems Sovereign Cloud を使用することで、Lengoo の顧客データの安全性と保護に関するセキュリティ上の懸念が軽減されています。「Google Cloud を活用した T-Systems Sovereign Cloud の利用により、データ主権が強化され、当社の言語ベースの AI ソリューションにおいて、お客様からの信頼を高めることができています」と、Lengoo の最高マーケティング責任者である Alexander Gigga 氏は語っています。

デジタル主権の取り組みを加速する

これらの組織にとって、主権クラウド ソリューションの導入におけるビジネス上のメリットは明白です。しかし、制御とイノベーションのバランスを取るデジタル主権戦略を策定することは難しい場合があるため、Google Cloud はさまざまなリソースをご用意しています。

Google Cloud は最近、Accenture との新しい戦略的提携を発表しました。これによりお客様に、欧州経済領域と英国におけるデジタル主権のニーズに対処していただけるようになります。Accenture は、地域における要件を深く理解し、クライアントがその地域で主権ソリューションの構築、実現、管理を行えるよう支援します。Accenture のクラウド ファースト欧州担当リードである Valerio Romano 氏は、次のように述べています。「Google との提携により、当社のクライアントは、新興の主権クラウド市場の混乱を克服して、デジタル領域で価値の源泉を新たに見出すことができています。」

Google Cloud の Digital Sovereignty Explorer は、オンラインの対話型ツールで、組織のデジタル主権の要件に関するガイド付きの質問を通じて個人を導くものです。用語を簡素化し、重要なコンセプトを説明することが念頭に置かれています。Digital Sovereignty Explorer での回答を完了すると、適用可能なさまざまな主権クラウド ソリューションに関する追加の参考資料や推奨事項とともに、回答を要約したパーソナライズされたレポートが届きます。

12 月 7 日に開催された Financial Times の最新のカンファレンス Tackling The Complexities Of Digital Sovereignty In Europe(欧州におけるデジタル主権の複雑性に挑む) の内容もぜひご覧ください。これは、Google Cloud とのパートナーシップにより制作されたイベントで、EU の一流の政策立案者をはじめ、ビジネス部門や公共部門でデータ ガバナンスやセキュリティを担当するリーダーが一堂に会し、デジタル主権の複雑さに対処しながらテクノロジーからメリットを得て、経済成長をサポートしていく方法についてディスカッションが行われました。再生は、digitalsovereigntyeu.live.ft.com から行えます。

-ストラテジック インダストリー担当バイス プレジデント(EMEA)Laurence Lafont

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