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セキュリティ & アイデンティティ

Cloud CISO の視点: サイバーをビジネス用語で語ると賛同を得やすい

2025年1月31日
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Phil Venables

VP, TI Security & CISO, Google Cloud

※この投稿は米国時間 2025 年 1 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

2025 年 1 月最初の「Cloud CISO の視点」をご覧いただきありがとうございます。今年は企業のトップたる取締役会からスタートしましょう。サイバーセキュリティについてビジネス用語で語ると、組織が直面しているサイバーセキュリティ リスクのコストと優先度をより的確に伝えられることについて説明します。

これまでのすべての「Cloud CISO の視点」と同様、このニュースレターのコンテンツは Google Cloud 公式ブログに投稿されます。このニュースレターをウェブサイトでご覧になっており、メール版の受信をご希望の方は、こちらからご登録ください。

--Google Cloud、TI セキュリティ担当 VP 兼 CISO、Phil Venables

サイバーセキュリティについて議論する際は、より幅広い支持を得るためにビジネス用語を使用する

Google Cloud、TI セキュリティ担当 VP 兼 CISO、Phil Venables

サイバー攻撃は第一級のビジネスリスクであること、そして堅牢なサイバーセキュリティ プログラムはビジネスの推進要因になり得ることに疑いの余地はありません。そのため、サイバーセキュリティに関する議論の場が SOC から経営幹部や役員室に移ったときは、サイバーセキュリティの用語をより一般的に理解されているビジネス用語に言い換える(さらには、必要に応じて翻訳する)ことに注意を払う必要があります。

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一般的なビジネス用語を使用すれば、サイバーセキュリティに対する認識が広がり、より優れたサイバーセキュリティのポリシーや実践をビジネスの目標として推進するのに役立ちます。経営幹部や役員レベルでサイバー攻撃の結果をビジネスへの影響という観点から議論するとき、私たちは重要な関係者が理解しやすいように話します。そうすることで、賛同が得られる可能性が高まります。

論点は大まかに言って次の 4 つのカテゴリに分けられます。

  • 金銭的損失。これは製品のリコール、損傷したコンポーネントの交換、影響を受けた顧客への補償によるもので、その額はすぐに数百万ドルに達する可能性があります。参考までに、2024 年のセキュリティ侵害の被害額は 1 件あたり平均 488 万ドルでした。
  • 評判の失墜。セキュリティ侵害の報道による評判の失墜は、顧客の信用や忠誠心を損ない、売上の減少を招くだけでなく、ブランドに長期的なダメージを与える可能性もあります。
  • 法律や規制の影響。組織は顧客からの訴訟や規制上の罰則の可能性に直面するため、予算が根底から覆される可能性があります。
  • 業務の混乱。業務上の混乱が起こると、往々にしてリソースが別の仕事に回されます。また、ビジネスの継続性にも影響が及び、パートナーとの関係がこじれて生産が遅れる可能性があります。

サイバーリスクをビジネスの文脈に置く

サイバー攻撃は、重要なサービスを直接妨害し、機密データを漏洩させ、ブランドの評判を傷つけ、顧客の信用を損ない、最終的には収益源と株主価値に影響を与える可能性があります。サイバーセキュリティのリスクを効果的に管理し、それをビジネス文化に根付かせるため、次の 3 つの重要な対策を取ることをおすすめします。

  1. サイバーリスクを定量化する。潜在的なサイバー脅威の財務的影響を評価する明確な方法を開発することで、サイバーリスクを定量化します。組織のリーダーが技術的な専門用語をビジネス上の結果に言い換えることができれば、意思決定者は全体的なサイバーリスク エクスポージャーを財務的な観点から理解できます。
  2. サイバーセキュリティをビジネス用語で表現する。これにより、サイバーセキュリティのリスクをより的確に伝えることができます。これは、組織の戦略的目標や優先事項に対する潜在的な影響に焦点を当てることを意味します。技術的な指標の代わりに、サイバー脅威が収益や業務にどのような悪影響を与えるかを強調するナラティブを使用します。
  3. セキュリティとともにビジネス上のメリットも提供する。リスクの軽減策を導入する際に、付随するメリットも実現します。リスク モデリング、費用便益分析、ビジネス目標に沿ったパフォーマンス指標の追跡は、強固なセキュリティとビジネス リターンの構築に役立ちます。

たとえば、リスク評価を実施するときは、現在のリスクレベルを維持する管理策を評価し、それらを置き換え、統合、改善することによって付随するメリットを実現できるかどうかを見極めます。必ずしも成功するとは限りませんが、挑戦するという行為自体がさまざまな部署との関係を強化することにつながります。

これを実行に移す

取締役会は、最高情報責任者または最高技術責任者、最高情報セキュリティ責任者、および事業部門との間で次の 4 つのトピックについて話し合う必要があります。

  • ビジネスに不可欠なサービスを明確に定義する。それらのサービスの依存関係(サードパーティ プロバイダを含む)を文書化し、潜在的な脆弱性を明らかにします。
  • 復元力を最優先事項とする。サイバーセキュリティ対策による脅威からの保護と、重要なサービスの復元力強化を優先し、冗長性、災害復旧計画、インシデント対応機能への投資を提唱します。
  • セキュリティをすべてのビジネス プロセスに組み込む。すべての部門からの積極的な参加を促すことで、セキュリティをすべてのビジネス プロセスに組み込みます。これにより、セキュリティが(後付けではなく)組織の DNA の不可欠な一部になります。
  • 復元力のある労働力を作り上げる。競争力のある報酬と福利厚生、および専門能力開発の機会を提供し、熟練したサイバーセキュリティ専門家がやりがいを感じる職場環境を育むことで、復元力のある労働力を作り上げます。サイバーセキュリティとリスク管理のスキルを組織全体で育成する包括的なトレーニングやメンターシップ プログラムに投資することは、人材の獲得、育成、維持にも役立ちます。

サイバーセキュリティを重要なビジネス サービスと連携させることに重点を置いた協調的なアプローチは、組織のセキュリティ ポスチャーを強化し、重要な資産を保護して、進化し続けるサイバー脅威ランドスケープに対する復元力を高めます。

この記事の一部は、「取締役会のためのセキュリティの視点」レポート第 6 版から再掲したものです。このレポートでは、サプライチェーンの脅威や情報共有のベスト プラクティスも取り上げられています。レポートの全文はこちらでお読みいただけます。

その他の最新情報

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-Google Cloud、TI セキュリティ担当 VP 兼 CISO Phil Venables

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