Google Cloud の新しい Digital Sovereignty Explorer のお知らせ
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 3 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
デジタル主権は、デジタル トランスフォーメーションに関する取り組みを推進または始動しようとしている組織にとって最優先事項であり続けています。過去数年間、Google Cloud は世界中のお客様、パートナー、政策立案者、政府と幅広く協力して、進化を続ける主権の要件の把握に努めてきました。ヨーロッパでは、これが「ヨーロッパで求められる条件に即したクラウド」イニシアチブや、より多くのワークロードがクラウドに移行されるなか、お客様の現在のニーズおよび新たなニーズをサポートするためにすでに市場に投入されているソブリン ソリューションの幅広いポートフォリオにつながっています。
市場で続けられている議論から明らかになっていることが 1 つあります。それは、制御とイノベーションのバランスをとるデジタル主権戦略を策定することは、次の理由から困難であるということです。
規制要件、法的保護、リスク管理など、基本的なコンセプトが十分に理解されているとは限らない。
多くの組織にとって、特に主権戦略をデジタル トランスフォーメーションの推進にどう役立てるかという点において、具体的な要件を明確にするのは容易ではない。
組織のニーズに最も適したテクノロジーとソリューションを選択することが困難な場合がある。
市場におけるアドバイザリー能力と専門知識の不足により、こうした課題の克服がさらに困難になる可能性がある。
Google Cloud の Digital Sovereignty Explorer は、こうしたすべての問題の解決を促進するために設計されています。当初はヨーロッパの組織のニーズに重点を置いていたオンラインの対話型ツールである Explorer は、組織のデジタル主権の要件に関するガイド付きの質問を通じて個人を導くものです。用語を簡素化し、重要なコンセプトを説明することが念頭に置かれています。
Digital Sovereignty Explorer は、その過程の各ステップで、デジタル主権のオプションにおける重要な考慮事項とトレードオフを明確にし、利用可能なソリューション オプションを把握し、特定のクラウド ワークロードで使うソリューションをより多くの情報に基づいて選択できるようにすることを目的としています。
Digital Sovereignty Explorer での回答を完了すると、Google Cloud とヨーロッパのパートナーの適用可能なソリューションに関する追加の参考資料と推奨事項とともに、回答を要約したパーソナライズされたレポートが届きます。
Google Cloud は、Digital Sovereignty Explorer のようなリソースの必要性を認識しました。業界アナリストも同意見です。デジタル主権戦略についてグローバル組織に助言している IDC は、次のように述べています。
「クラウドのデータ主権という比較的新しい概念は、まだ進化の途上にあり、ユーザーは、それがクラウド戦略に与える影響のすべてを理解し始めたばかりです。購入者が十分な情報に基づいて決定を下せるようにするには、主権が実際に何を意味するのかを一から定義することが不可欠です」と、IDC のヨーロッパ クラウド担当アソシエート リサーチ ディレクターであり、ワールドワイド デジタル主権担当グローバル リードでもある Rahiel Nasir 氏は述べています。
デジタル主権の探求
デジタル主権に関する議論では、多くの場合、データの所在地のみに焦点が当てられます。Digital Sovereignty Explorer は、次の 3 つの柱からなる Google Cloud の主権に関するビジョンに沿って議論を広げることを目的としています。
データ主権(暗号化とデータアクセスに対する制御を含む)
運用主権(プロバイダの運用に対する可視性と制御)
ソフトウェア主権(切迫した状況下での出口計画などの特殊な状況を含む、特定のプロバイダにロックインされずにクラウド ワークロードを実行、移動する能力を提供)
Digital Sovereignty Explorer は、明確に認識されている要件とあまり明確でない要件の両方を明らかにするように設計された質問を使用して、それぞれの柱について掘り下げていきます。たとえば、データ主権のガイド付き調査では、地域のデータ所在地、管理者権限の制御、第三者のアクセス制限、暗号鍵の管理戦略などのトピックを扱います。運用主権では、技術サポートの担当者の属性指定オプションを含む、ローカル パートナーによる運用における優先事項や、パートナーの監視の望ましい範囲などのトピックを掘り下げます。ソフトウェア主権では、オンプレミスのストレージ、インフラストラクチャ、または非接続型の操作に対するワークロード固有のニーズや、関連する潜在的なトレードオフなどのトピックを調査します。
たとえば、Digital Sovereignty Explorer を通じて、メーカーは知的財産に対する社内アクセスを限定するためにどの安全措置を採用するかを決定できます。政府機関は、最も機密性の高いデータを処理するクラウド インフラストラクチャに対する非接続型の操作オプションについて知ることができます。このツールのインタラクティブな性質を利用して、組織はデータの機密性、運用、ポリシー、および規制上の義務に基づいて、クラウド ワークロードの適切な制御戦略を策定することができます。
ご利用方法
Digital Sovereignty Explorer は現在、こうした重要なトピックに関するガイド付き調査が有益となる可能性のあるすべての組織に無料で公開されています。また、英語、フランス語、ドイツ語で利用でき、イタリア語とスペイン語のバージョンは 4 月中に公開されます。
新しいソリューションが利用可能になり次第、Digital Sovereignty Explorer を進化させ、追加の機能とリージョンを組み込む予定です。デジタル主権についての理解を深めるうえで、また、クラウドの変革を加速させるための要件とソリューション ロードマップを策定するうえで皆様のお役に立てることを願っています。