アライシップについてきちんと話し合える環境を整える
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 9 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Jenae Butler は Google に入社してからまだ 1 年未満ですが、6 月には社内外で名が知られるようになりました。きっかけは米国全土で人種差別による不当な扱いに注目が集まったことでした。Jenae は何が起きているのかを同僚が理解できるよう、プレゼンテーションを作成しました。その資料「Standing United」は評判になり、Google 社内だけでなくソーシャル メディアでもすぐに拡散されました。プレゼンテーションでは、最初に「ジョージ・フロイドの死」の背景や、警察による暴行が黒人社会に及ぼしている影響を解説しながら、肌の色で差別されるコミュニティにとってよきアライ(理解者、支援者)になりたい人々のために実践的なヒントや助言を示しています。
今回、テクノロジー分野における黒人女性としてどのように道を切り拓いてきたか、またアライシップを効果的に実践するための助言を Jenae に尋ねました。
Google に入社するまでの経緯を教えてください。
大学在学中、テクノロジー分野でインターンシップとして採用されるのは難しいと感じました。企業は経験や資格がすでにある人を求めているようでしたが、私はそれをおかしいと思いました。私はジョージア州立大学でコンピュータ情報システムを専攻し、プロジェクト管理の道に進みたいと考えていました。その当時は運に恵まれずインターンとして採用されませんでしたが、Microsoft の販売店で働くことでテクノロジー分野に潜り込むことができました。このとき初めてテクノロジー分野の現場を実体験しましたが、これがきっかけで、この分野でキャリアを積むことになりました。
その後、Microsoft の販売職から、社内に用意されていた学生向け育成プログラムに移りました。SQL をテーマとするプロジェクトを専門に扱うコンサルタントを務めた後、Microsoft の販売店サポートチームのプログラム管理に携わることになりました。この時点で、Microsoft の黒人社員リソース グループ(ERG)の一員としてコミュニティでの奉仕活動に深く関わっていました。多様性、公平性、機会均等(DEI)への強い関心はここで生まれています。
Microsoft を 5 年で退社後、Google に入社し、プログラム マネージャーとしてオースティンの Cloud Systems チームに加わりました。担当者向けツールの継続的な改善とメンテナンスに取り組むチームです。当時は、テクニカル プログラム マネージャーとしてエンジニアとともに、ワークロードを維持するために問題を解消し、プロダクト オーナーと連携して解決策をタイムリーに提供していました。現在は、同じチームのイネーブルメント プログラム マネージャーとして、新たにトレーニングやコミュニケーション メディアに取り組んでいます。
Standing United のプレゼンテーションについて教えてください。
私自身のキャリアの共通テーマとして、チーム内で数少ない黒人、女性の一人であるということがあります。これの良い面は、一般に白人男性中心の場で仕事をすることに慣れ、インパクトを残す方法が容易に見つかることです。しかし、人種問題をはらんだ抗議活動が発生すると、このような場は気詰まりに感じます。
こういったことをじかに経験していたため、私はジョージ・フロイドの死が話題に上ることはわかっていました。この話題に入るのは黒人にとって気まずいものです。複雑な問題ですし、黒人以外の人は多くの場合、反論したり、保身に走ったりします。Google には多くの資料がすでにありましたが、チームに役立つ情報を提供するとともに、私自身の考えを整理し、個人的な体験を語れるように準備を整えたいと考えました。これほど多くの Google 社員から反響があるとは思っていませんでした。
このプレゼンテーションがこれほど多くのリソースハブ、チーム ミーティング、外部のネットワークに広がることは想定外でした。この夏の間に、何千人もの人々と話をし、数々の DEI のワーキング セッションやイベントに関わり、またいくつかのワークグループやリソース グループには委員会のリーダーとして参加する機会をいただきました。
これほど大規模なことをするのは不安でしたが、本能に身を任せることで、すばらしい成果を得ることができました。特に人種間の公平においては、勇気を出すことで生まれることに誰もが衝撃を受けるでしょう。影響力を身につけ、時代遅れで間違っているストーリー、そしてそれを中心に構成されているシステムを本当に変えたいと望んでいる人々にとって、勇気は必要不可欠だと思います。私自身に関しては、私の小さな行動がこのように広範囲で影響力を持つことになるとは思っていませんでした。
同じような取り組みが誰にでも可能であると心から信じています。どのような取り組みでも、どのような規模でも、それが波及効果を生み、予想よりも多くの人々に刺激を与え、より多くの変化を呼び起こす可能性があります。
読者、特にテクノロジー分野の黒人女性にアドバイスはありますか?
ありのままの自分でいること。成功のために、ある特定の外見、ふるまい、話し方をする必要などありません。私は南部出身の黒人女性として、ドレッドヘア、タトゥー、ピアスの姿で毎日出勤しています。勤務地など、キャリアのために犠牲を払うこともあるかもしれませんが、自分のアイデンティティはその一つにすべきではありません。特にキャリアのために自分が育ったコミュニティを離れなければならない場合は、時間をかけて第二の故郷となるコミュニティを探してください。
黒人女性が企業内で生き抜くためには戦略が必要であり、白人男性中心の場の中で自分の立ち位置を模索するときには、できる限りのインパクトを残すことに力を尽くすようにします。そのためには、直面する課題を克服するための粘り強さ、その手段における柔軟性、そして目標への執着心が必要です。