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Google Cloud

CIO 向けクラウド ガイド : トレードオフ解消のためのハイブリッド / ヒューマン ソリューション

2019年8月20日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2019 年 8 月 6 日に Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


CIO や CTO が会社にもたらすものは何でしょうか。「テクノロジー」と思われるかもしれませんが、それはほんの入口にすぎません。McKinsey の調査によると、2019 年春に調査に応じた CIO および CTO の 85 % は、CEO の 3 つの最優先事項(売上げ拡大、アジリティと市場投入までの時間の短縮、コスト削減)のうち少なくとも 2 つが自分たちに必要不可欠だと答えています。


クラウドへの移行を含む IT モダナイゼーションは、企業の成長とアジリティ向上において鍵を握っています。しかし、McKinsey の調査によれば、CIO の 80 % は、クラウドへの移行がどのレベルにあるかに関係なく、アジリティとビジネス上のメリットがまだ期待した水準に達していないと回答しています。その理由としては IT 担当者のトレーニングやスキルの不足が挙げられますが、意外に多いのは、目標達成を阻むトレードオフの存在です。CIO 自身が理想と現実の間でうまくバランスを取らなければならないと感じるような状況が前進を阻むのです。

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では、そうしたトレードオフが解消されたらどうなるでしょうか。Google の Office of the CTO でマネージング ディレクターを務める Will Grannis と、McKinsey & Company のパートナーである Arul Elumalai 氏が、最近開催されたデジタル カンファレンスで述べているように、新しいテクノロジーとアーキテクチャを導入し、会社全体でトランスフォーメーションのマインドセットを育てていけば、CIO が強いられているトレードオフの多くは消えてなくなります。McKinsey の調査においても、多くの CIO は、最良のクラウドを活用することで、セキュリティやアジリティ、柔軟性の面で妥協することがなくなったと語ってくれました。そこでこの投稿では、テクノロジーと運用モデルの改革を通じて、上位 3 つのトレードオフを解消する方法を紹介します。


トレードオフ 1 : 開発のアジリティ vs. 管理とガバナンス

クラウドへの移行はスピードアップの新たなチャンスです。しかし、69 % の組織は、厳格なセキュリティ ガイドラインとコード レビューによって開発スピードが大きく損なわれていると回答しました。ある多国籍企業の CISO は、クラウド開発はペースが速すぎるので、開発者のコードを手作業でチェックすることにしたらアジリティが失われたと述べています。


一部の回答者は、セキュリティに精通した人材を採用し、セキュリティと品質保証を自動化する DevOps によってこのトレードオフを克服し、開発スピードとセキュリティを両立させたと語っています。CI/CD パイプラインにセキュリティを組み込み、自動化の割合を高めた結果、トレードオフが解消されただけでなく、品質が向上し、イノベーションが加速化されたというのです。


Google Cloud でも、DevOps をきちんと実践されているお客様に関しては、市場投入までの時間が短く、製品 / サービスの品質が高いという印象を持っています。私たち自身、小規模プロジェクトの着手やオープンソースの採用から DevOps 文化の構築に至る 7 つのステップが重要だということを、経験から学んでいます。


トレードオフ 2 : 単一ベンダーであることのメリット vs. 囲い込みの回避

CIO たちは、複数のシステムを開発したり複数のスキルセットを維持したりしなくて済むという理由から、クラウドの数を最小限に抑えることにメリットを感じています。しかし、McKinsey の調査に応じた CIO の 83 % は、クラウド数の削減を望む一方で、1 つのベンダーに財務的、技術的に囲い込まれる危険を恐れ、実際には複数のプロバイダーを使っています。


成功を収めている会社の CIO は、契約上の予防線や役員および幹部の教育だけでなく、ハイブリッド クラウドという新しい選択肢を用いて囲い込みを回避していると述べています。コンテナ ベースのハイブリッド クラウドは、クラウド ベンダーを絞り込むことに伴うリスクをさらに緩和してくれます。インフラストラクチャの抽象化と高いポータビリティを実現するコンテナは、異質な環境の併用を可能にし、ハイブリッド アーキテクチャの成功を支えています。


Anthos を擁する私たちの戦略の中心にも、この考え方があります。Anthos は、抽象化のためのレイヤを作り、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境におけるアプリケーション モダナイゼーションのプラットフォームを提供します。Anthos を導入すれば、ハイブリッド クラウド環境の開発、運用、セキュリティ維持はモダナイズされ、クラウド環境全体が首尾一貫したものになります。


トレードオフ 3 : 最高のツール vs. 標準化と慣れ

環境ごとにツール チェーンを最適化すれば生産性が向上しますが、多くの CIO は、生産性を高めるためには機能とツールの絞り込みが必要だと考えています。CIO の 77 % は最小公分母のようなものへの標準化が必要だと答えていますが、もっと良い方法を見つけている人々もいます。チームが使いたいと思う言語、ライブラリ、フレームワークを諦めさせるのではなく、トレーニングによって能力を引き上げ、新しくオープンでベンダーに縛られないソリューションを採用することで成功を収めているのです。オープンソースのコンポーネントに基づいたアーキテクチャは、このトレードオフを解消し、最小公分母という概念を捨てるうえで鍵を握っています。


そしてこのことが、私たちが Kubernetes や Istio、Knative といったオープンソース コンポーネントを基盤に Anthos を構築した理由です。Anthos は企業が必要とするものを提供します。好みのツール、言語、システムを使用して、ほとんどのシステムで動作するコードを作成できます。仕事のやり方を大きく変えることなく、今までよりも多くの仕事をこなせるのです。


現在のクラウド導入レベルはさておき、まずは『Unlock business acceleration in a hybrid cloud world』(ハイブリッド クラウドの世界でビジネスの加速化を促す)をご一読ください。そうすれば、他社の CIO がアジリティを引き出すために行っていること、トレードオフを解消する方法、クラウド移行に向けたチームの準備などに関する McKinsey の調査結果の詳細を知ることができます。また、今後の投稿では、新しいハイブリッド環境と戦略のもとで、セキュリティ、アジリティ、柔軟性について妥協することなく、トランスフォーメーションのマインドセットを育てていく方法を詳しく見ていきます。どうぞご期待ください。


- By Chandra Rangan, Sr. Dir, GCP Product & Solutions Marketing


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