マネージド データベース サービスの価値を理解する
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 4 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
各組織では、データベースを管理し、要望に合わせてデータベースを調整するための時間、人材、リソースの不足の問題が大きくなってきています。このため、多くの企業が、データのやり取りを常時行いたいという世間の要求に応えるためにインフラストラクチャを構築し、そのスケーリングを行えるよう、フルマネージド型のデータベース サービスに注目しています。
Cloud SQL は、業界標準のリレーショナル データベースを提供し、MySQL、PostgreSQL、SQL Server の一般的なデータベース管理タスクを管理します。Cloud SQL を使用することで、企業はデータベース インフラストラクチャの管理に費やす時間を減らし、より多くの時間をアプリケーションに費やせます。
大企業から中小企業まで、何千社ものお客様が Cloud SQL にデータベースを託しており、Cloud SQL は Google Cloud で最も急成長しているサービスの 1 つとなっています。お客様からは、これまでデータベースの管理に費やしていた時間を Cloud SQL のおかげで短縮できたというフィードバックを多くいただいています。Cloud SQL は、Google のフルマネージド型クラウド サービスの 1 つです。一般的に、マネージド サービスを導入することで、お客様の組織が自由に使える時間とリソースを増やせます。
マネージド データベースとは
マネージド データベースとは、オンデマンド型のクラウド コンピューティング サービスで、データベースの運用に必要なものをすべて備えています。以下は、データベースをデプロイするために必要な一般的なテクノロジー スタックの図です。
マネージド データベース サービスを導入すると、お客様は、このようなことを一切行う必要がなくなります。代わりに、インフラストラクチャの維持管理、パッチの適用など、通常は多大な時間とリソースが費やされる保守作業をクラウド事業者が担います。
Cloud SQL のようなマネージド データベースの利点
マネージド データベースがなぜそれほど人気なのでしょうか。以下にいくつかの例を挙げてみましょう。
セルフサービスによる開発速度の向上
手動でのデータベースのプロビジョニングには時間がかかるため、臨機応変にリソースのスケーリングを行うことは困難です。Cloud SQL を使用すれば、開発者はデータベース サーバーの作成、変更、クローン作成、複製のプロセスを簡単に自動化できます。直感的でわかりやすいインターフェースのおかげで、これらのタスクを簡単に使用し、自動化できます。
Google SRE チームが 24 時間 365 日サポート
Google は、サイト信頼性エンジニアリングに関する書籍を発行しています。また、Cloud SQL は、信頼性の高い安全なサービスを保証するため、24 時間体制の SRE サポートを提供するとともに、複数の保護レイヤを実装しています。
タスク自動化による時間の節約とデータ保護
新しい機能のアップデートやセキュリティを提供するためのメンテナンスは、日々のデータベース管理の一環として行われますが、時間のかかるものでもあります。Cloud SQL では、HA、バックアップ、障害復旧、セキュリティ パッチ適用、アップグレードのタスクを自動化でき、お客様のデプロイをスムーズかつ安全に行えます。
組織のポリシーにより安全を確保
開発部門は常に仕事のスピードアップを目指しているものの、セキュリティ部門とコンプライアンス部門はこれについていくのに苦労することがあります。Cloud SQL の組織のポリシーを使用すると、イノベーションを遅らせることなく、組織のクラウド リソースをプログラムによって一元管理できます。
より多くのことが可能に
ビジネスの規模が拡大し、ユーザーの要求が増え、ビジネス上の要望が変化する中、より短時間でより多くの成果を挙げなければならないプレッシャーに常にさらされています。Google のマネージド Cloud SQL サービスに移行することで、各チームは人員を増やすことなく、より多くのことができるようになります。
柔軟な従量課金プラン
現在の使用パターンを基にデータベースをプロビジョニングし、必要に応じてフットプリントと費用を調整できます。
高度なセキュリティと信頼性
ハードウェアは Google が管理、構築し、そのセキュリティを強化しています。サービス間には信頼がないと想定します。すべての ID、ユーザー、サービスは、厳密に認証されます。Google のインフラストラクチャに保存されたデータは、自動的に保存時の暗号化が行われます。インターネットを介したクラウド サービスへの通信は暗号化されます。Google のインフラストラクチャの規模のおかげで、多くのサービス拒否攻撃を吸収でき、Google Cloud の SRE チームも 24 時間 365 日体制で待機して、脅威の検出とインシデントへの対応を支援します。
超高速で高性能のグローバル ネットワーク
Google のネットワークには、世界中に張り巡らされた大容量の光ファイバー ケーブル システムを介して世界のどこからでも接続できます。これにより、Google Cloud のリージョン間に専用の接続を確立することなく、シンプルかつ堅牢なリージョン間の運用と冗長性が確保されます。このネットワークを利用することで、データベース サービスは異なるリージョンにリソースを作成でき、お客様が世界のどこにいても、アプリケーションをスムーズに利用できます。
人気のツールや Google Cloud サービスとの最適な統合
データベースにはエコシステムが必要です。Google は、数十種の Google Cloud サービス、最も人気のある ORM、ツール、ライブラリ、フレームワークを幅広くサポートしています。サポート対象のサービスには、Google Kubernetes Engine(GKE)との堅牢な統合、BigQuery からの直接クエリ、Cloud Dataflow、Data Fusion、Pub/Sub などの複数のデータ統合サービスが含まれます。
マネージド データベースの経済的メリット
IDC のリサーチ担当バイス プレジデント Carl Olofson 氏によると、IDC では、企業がデータベースを自社で構成、管理していた環境からマネージド データベース クラウド サービスに移行したときの経験に着目したビジネス価値調査を数多く実施しています。これらの調査では、自社管理型データベースでハードウェア、ソフトウェア、スタッフが費やす総時間費用と、マネージド クラウド データベース サービスでスタッフが費やす時間とサブスクリプションの総費用を 5 年間にわたって比較しました。次に示すように、得られた結果の一部は、データベースのブランドやクラウド サービス事業者に関係なく一貫したものでした。
企業が 5 年間で総じて 400% を超える ROI の伸びを示している。
回収期間が 1 年未満である。
データベースの性能と一貫性が向上したとユーザーが実感した。
計画外のダウンタイムが大幅に低減し、データが利用できないことによる費用発生も大幅に回避できた。
クラウド環境移行によるセキュリティ向上と、DBMS コードへの定期的なセキュリティ パッチの適用により、数字では表せないほどの大きな安心感がもたらされた。
Cloud SQL の仕組み
Cloud SQL では、ユーザーはインスタンスを作成し、ワークロードに適した vCPU コアと RAM の組み合わせによってインスタンスを構成するだけでよく、残りの作業は自動で行われます。Cloud SQL が、データベースの信頼性、安全性、スケーラビリティを自動的に確保してくれるため、中断されることなくビジネスを継続できます。また、インスタンスの形式に柔軟性があるため、コンピューティング、ストレージ、メモリのバランスをデプロイごとに最適化できます。基盤となる Google Cloud のインフラストラクチャは、ストレージ ベースの HA などのエディションに依存しない機能を備え、予測可能で高い性能を発揮できるよう高度に最適化されており、SRE の原則に従って運用されます。
まず、Cloud SQL がインストールを管理し、自動アップグレードとパッチ適用によりデータベースを最新の状態に保ちます。また、定期的に行われる自動バックアップにより、お客様のデータを最大 1 年間保護します。
Google はさらに、障害復旧のためのリージョン間レプリケーションを目的とした同期レプリケーションを使用して、ヘルスチェックや自動フェイルオーバーを含む高可用性(HA)などのオプションも提供しています。
Cloud SQL は、このテクノロジー スタックを開発者と運用チームにとって意味のある、直感的に使えるインターフェース(API、CLI、UI)に統合しています。お客様のチームは、数分で簡単にデータベースをプロビジョニングできます。また、スタック全体が監視されるため、問題が発生したときにはすぐに根本原因を特定できます。
マネージド データベースの導入により、組織内のチームにとって新たな可能性が開かれます。
マネージド データベースへの移行
オンプレミスからマネージド データベース ソリューションへの移行には、リスクが伴います。マネージド サービス移行により、データベースの導入と保守のストレスを軽減できますが、アプリケーションが継続して動作すること、同じツールとスキルセットを使用し続けられることについて確証を得ておく必要もあります。
Cloud SQL の導入によりこのようなリスクが排除され、Database Migration Service を利用して最小限のダウンタイムで移行を迅速に開始できます。
これを可能にしているのは何でしょうか。
通常どおりの運用が可能。慣れ親しんだ MySQL、PostgreSQL、SQL Server の各エンジンを追加変更なしに利用でき、最新の強化機能も自動的に利用できます。
お好みのツールとシームレスに統合可能。MySQL Workbench、Toad SQL、SQuirrel SQL、pgAdmin などの一般的なデータベース管理ツールやレポートツールを使用して Cloud SQL インスタンスに接続できます。
サービス中断も混乱もなく移行可能。ネイティブな Database Migration Service を使用して、数回クリックするだけで、ダウンタイムを生じさせることなくデータベースの移行を簡単に開始できます。
Cloud SQL(およびその他のデータ ストレージ、データ管理、データ分析のプラットフォーム)についてもっと知りたいという方は、近日開催予定の Data Cloud Summit にご参加ください。
- Product Manager, Google Cloud, Kelly Stirman